海辺から標高500mまで
黒海沿岸ゾーンのブドウ畑は、海抜2〜4mの海岸部から500mまでに広がります(国立ワイン庁)。
01 — 位置
国立ワイン庁は、黒海沿岸ゾーンをジョージアで最も古いワイン造りの中心地の一つとし、古代のコルヘティ(კოლხეთი)にあたる地域と記しています。
| 位置 | ジョージア西部。西は黒海に面し、北はサメグレロ、東はイメレティ、南はアジャラに接する。海岸の低地から内陸の丘陵にブドウ畑が点在する |
| 行政区分 | グリア州(州都オズルゲティ)。オズルゲティ市、チョハタウリ市、ランチフティ市の3市 |
| 国立ワイン庁の産地区分 | 「黒海沿岸ゾーン」(グリア、サメグレロ、アジャラ、アブハジア) |
| 主要な河川 | スプサ川(チョハタウリ)、ナタネビ川(オズルゲティ)の流域の丘陵と、海岸寄りの低地(ランチフティ) |
| 主な村 | チョハタウリ市ブキスツィヘ(19世紀のワイン造りの拠点)、バフヴィ(ジャニの別名「ジャニ・バフヴィス」の由来)、オズルゲティ周辺(チハヴェリ) |
| 主要品種 | チハヴェリ(淡赤)、ジャニ、ムテヴァンディディ、アラダストゥリ(黒)、ツォリコウリ(白。2014年センサスで株数の約77%) |
| 代表的な製法 | 辛口〜半甘口のロゼと赤、白。伝統は樹に這わせる高仕立て(マグラリ) |
02 — 畑の広さ
2014年農業センサスでは、グリアのブドウ畑は244 haで、全国32,960 haの約0.7%にあたります。畑の外に単独で植えられた「散在株」が24.4万本あり、畑の形をとらないブドウの育て方が今も残ることを示しています。
| 市 | ブドウ畑(2014年) | 主な村・記述 |
|---|---|---|
| チョハタウリ市 | 156 ha | ブキスツィヘ: 1820年代にジェイコブ・マーが定住した村(国立ワイン庁)。ムテヴァンディディの再植地(1905〜06年)。ツォリコウリ25.9万本、散在株4.0万本 |
| オズルゲティ市 | 56 ha(市街地は別に1 ha) | 州都。チハヴェリの主産地の一つ(国立ワイン庁 品種頁)。バフヴィ村はジャニの別名の由来。散在株11.9万本 |
| ランチフティ市 | 31 ha | 黒海に近い低地。散在株6.7万本 |
面積は2014年農業センサス(農業経営体のブドウ畑)。国立ワイン庁のブドウ畑カダストルは2023年にグリアを含む西部4地域へ広がり、全国48,642 haが登録されました(2024年2月)。
| 項目 | 基準年 | 出典 |
|---|---|---|
| 産地区分、気候の記述、歴史、在来品種の一覧 | 2026年9月確認 | 国立ワイン庁「Viticulture and Winemaking Regions: Black Sea Coastal Zone」(wine.gov.ge) |
| ブドウ畑面積、株数、市別内訳、ツォリコウリの株数 | 2014年 | ジョージア統計局(geostat)2014年農業センサス 表3.42、表3.48 |
| ブドウ畑カダストルの範囲と全国値 | 2023年(2024年2月公表) | 国立ワイン庁 2023年年次報告書(2024年)、カダストル更新の告知(2024年2月20日) |
| 品種ごとの面積(チハヴェリ 20 ha、アラダストゥリ 44 ha、ジャニ 1 ha) | 2004年 | 国立ワイン庁 品種頁(2024年確認) |
| 歴史的品種の記述 | 1948年 | Ramishvili『グリア、サメグレロ、アジャラのブドウ品種』(Ujmajuridze ほか 2018 の引用による) |
| PDOの登録状況 | 2025年9月30日 | 国立ワイン庁 PDO一覧 |
03 — 気候と土壌
国立ワイン庁は黒海沿岸ゾーンの気候を「亜熱帯性で湿潤、場所によっては過湿」と記し、生育期間の長さを特徴に挙げています。雨が多い一方で秋が長く、収穫は11月。かつては1月末まで続くこともありました。
黒海沿岸ゾーンのブドウ畑は、海抜2〜4mの海岸部から500mまでに広がります(国立ワイン庁)。
チハヴェリはグリアで11月後半に熟すと国立ワイン庁の品種頁にあります。この地方には、熟すのが遅い晩生の品種が多く育ちます。
国立ワイン庁はチハヴェリについて、「石灰質土壌の冷涼な南向き斜面に適する」と記しています。
隣のサメグレロのサルヒノ(標高250m)では、PDOの規定に年降水量1,810mm、年平均気温14℃と記されています。湿潤な気候のもと、酸を保った軽快なワインが造られます。
04 — 品種
国立ワイン庁は、グリアの歴史的な在来品種としてチハヴェリ、ジャニ、ムテヴァンディディ、スヒラトゥバニ、サクミエラを挙げています。株数で最も多いのは、西部で広く育つ白ブドウのツォリコウリです。
05 — 栽培の歴史
国立ワイン庁によれば、黒海沿岸ゾーンは19世紀までブドウをほぼ全面的に樹に這わせる高仕立て(マグラリ)で育ててきた点で、ほかの地域と区別されます。1820年代にはスコットランド出身のジェイコブ・マー(Jacob Mar)がチョハタウリのブキスツィヘに定住し、在来品種からワインを造りました。国立ワイン庁は、これをグリアの近代的なワイン造りの始まりとして記しています。
19世紀後半の病害とフィロキセラのあと、ムテヴァンディディは1905〜06年にチョハタウリ周辺で低い仕立てにより植え直されたと品種誌にあります。国立ワイン庁によれば、今はジョージアで発達した自立式の二本梢仕立てが主流です。
| スタイル | 主な品種 | 味わいの傾向 |
|---|---|---|
| ロゼ・淡い赤(辛口〜半甘口) | チハヴェリ | 淡いピンク〜淡赤の色、軽い口当たり |
| 赤 | ジャニ、アラダストゥリ | アラダストゥリは果皮が濃くても、色の淡い赤やロゼになる |
| 白 | ツォリコウリ | 酸を保った辛口〜半甘口 |
06 — 選び方
グリアのワインは、産地名と品種名をラベルに記して届きます。チハヴェリやジャニの名前が手がかりです。黒海沿岸ゾーンのPDO(原産地呼称)は、北隣のサメグレロにあります。
07 — よくある質問
ジョージア西部、黒海に近い低地から内陸の丘陵に広がる小さな産地です。行政上はグリア州(オズルゲティ、チョハタウリ、ランチフティの3市)にあたり、国立ワイン庁の産地区分では「黒海沿岸ゾーン」に含まれます。淡赤のチハヴェリ、黒のジャニやムテヴァンディディなど、この土地の在来品種が残ります。
湿潤な亜熱帯性の気候で生育期間が長く、収穫は11月と遅めです。代表的なのは淡赤のチハヴェリから造るロゼや天然の半甘口で、酸を保った軽快なワインが造られます。
グリアを代表する淡赤のブドウで、果皮は薄いピンクがかった紫です。ロゼや天然の半甘口で知られ、アジャラやイメレティでも栽培されます。国立ワイン庁によれば、2004年の栽培面積は20 haでした。
グリアのワインは、産地名と品種名をラベルに記して届きます。チハヴェリ、ジャニなどの品種名が手がかりです。黒海沿岸ゾーンのPDO(原産地呼称)は、北隣のサメグレロのサルヒノ・オジャレシです。
国立ワイン庁によれば、黒海沿岸ゾーンは19世紀までブドウをほぼ全面的に樹に這わせる高仕立て(マグラリ)で育てていました。1820年代にはスコットランド出身のジェイコブ・マーがチョハタウリのブキスツィヘに定住し、在来品種からワインを造りました。国立ワイン庁は、これをグリアの近代的なワイン造りの始まりとして記しています。
国立ワイン庁は、グリアの歴史的な在来品種としてチハヴェリ、ジャニ、ムテヴァンディディ、スヒラトゥバニ、サクミエラを挙げています。株数で最も多いのは、西部で広く育つ白ブドウのツォリコウリです。
08 — 飲んでみる
黒海沿岸の在来品種にひかれたら、まずはジョージアワインの定番から。ジョージアワイン専門店なら、品種や産地から好きな一本を選べます。
| 執筆 | ジョージアワインストア データベース編集部 |
| レビュー | 編集部(相互確認) |
| 初回公開 | 2026年9月6日 |
| 最終確認 | 2026年9月28日 |
| 根拠の強さ | B(公的資料。国立ワイン庁の産地区分・政府統計) |
| 主要出典 | 国立ワイン庁 産地区分「黒海沿岸ゾーン」(2026年9月確認)、2014年農業センサス(geostat、表3.42・3.48)、国立ワイン庁 2023年年次報告書(2024年)とカダストル更新の告知(2024年2月)、国立ワイン庁 品種頁(2004年面積、2024年確認)、Ramishvili(1948)、国立ワイン庁 PDO一覧(2025年9月30日時点)。詳細は出典一覧 |
| 注記 | 味わいとスタイルは、この地域の代表的なワインの傾向として記しています。統計の基準年は「畑の広さ」の節と出典一覧に記載しています。 |
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