南西部 ・ 黒海と山あいの小さな産地

アジャラ地方のワイン

Adjara (Ajara) ・ აჭარა

アジャラ(Adjara)は、ジョージア南西部、黒海に面しトルコと国境を接するアジャラ自治共和国のワイン産地です。海岸のバトゥミやコブレティから、アジャリスツカリ川に沿って山あいのケダへ。ブドウ畑はケダに集まり(2014年センサスで108 haのうち70 ha)、ツォリコウリの白や淡赤のチハヴェリが育ちます。国立ワイン庁は、ブロラ、ホパトゥリ、クラルジュリなど古い在来品種の復興が近年始まったと記しています。

位置
ジョージア南西部
黒海とトルコ国境にはさまれた山と海
気候
湿潤な亜熱帯
生育期間が長く、収穫は11月
ブドウ畑
108 ha
うちケダ70 ha(2014年農業センサス)
主要品種
ツォリコウリ
チハヴェリ(淡赤)
在来品種
10
ブロラ、ホパトゥリ、クラルジュリほか

01 — 位置

アジャラは、海から山へ続く川の谷。

黒海沿いのバトゥミから、アジャリスツカリ川をさかのぼってケダ、シュアヘヴィ、フロへ。ブドウ畑は、川の中流の山あいに集まります。

アジャラの位置と行政区分
位置ジョージア南西部。西は黒海、南はトルコ、北はグリア、東はサムツヘ=ジャヴァヘティに接する。海岸部と、内陸のアジャリスツカリ川に沿う山あいからなる
行政区分アジャラ自治共和国(首府バトゥミ)。バトゥミ市、コブレティ市、ヘルヴァチャウリ市、ケダ市、シュアヘヴィ市、フロ市
国立ワイン庁の産地区分「黒海沿岸ゾーン」(グリア、サメグレロ、アジャラ、アブハジア)
主要な谷アジャリスツカリ川の谷(ケダ、シュアヘヴィ、フロ)。ブドウ畑はケダに集まる
主な村ケダ市街と、メリシ、オクトンベリ、コロタウリ、ズヴァレ、クヴァシュタ、サバドゥリ、ツフモリシの各村
主要品種ツォリコウリ(白。2014年センサスで株数の約72%)、チハヴェリ(淡赤)。歴史的な在来品種はブロラ、ホパトゥリ、クラルジュリなど10
代表的な製法小規模な生産者による白・ロゼ・赤

02 — 畑の広さ

108 haの畑の、3分の2がケダに。

2014年農業センサスでは、アジャラのブドウ畑は108 ha、全国32,960 haの約0.3%にあたる小さな産地です。畑の外に単独で植えられた「散在株」が10.2万本と、畑の株数の半分近くあり、家屋や樹木のまわりでブドウを育てる形が広く残っています。

ブドウ畑
108ha
全国の約0.3%
ケダ市
70ha
自治共和国の約65%
畑の外の散在株
10.2万本
畑の株数は20.7万本
ツォリコウリ
15.0万本
畑の株数の約72%。うちケダ11.1万本

国立ワイン庁は2025年、ケダ市の市街と7つの村でブドウ畑の航空写真を作成し、畑の登録(ブドウ畑カダストル)を進めています。

市別の畑の広さを開く(6市)
アジャラ自治共和国の市別ブドウ畑面積と主な村
市ブドウ畑(2014年)主な村・記述
ケダ市70 ha自治共和国のブドウ畑の約65%。ツォリコウリ11.1万本、散在株2.1万本。2025年に国立ワイン庁がケダ市街とメリシ、オクトンベリ、コロタウリ、ズヴァレ、クヴァシュタ、サバドゥリ、ツフモリシの各村でブドウ畑の航空写真を作成
コブレティ市14 ha海岸部の北側。散在株3.7万本と、畑の株数(2.1万本)より多い
シュアヘヴィ市13 haアジャリスツカリ川中流の山あい。ツォリコウリ2.0万本
ヘルヴァチャウリ市7 haバトゥミ近郊。散在株1.9万本
バトゥミ市2 ha首府。散在株1.0万本
フロ市2 haアジャリスツカリ川最上流の山岳部。散在株0.7万本

面積は2014年農業センサス(農業経営体のブドウ畑)。村の記述は国立ワイン庁の2025年年次報告書によります。

統計の基準年と出典を開く
このページで使った統計の基準年と出典
項目基準年出典
産地区分、気候の記述、歴史、在来品種の一覧2026年9月確認国立ワイン庁「Viticulture and Winemaking Regions: Black Sea Coastal Zone」(wine.gov.ge、英語版・ジョージア語版)
ブドウ畑面積、株数、市別内訳、ツォリコウリの株数2014年ジョージア統計局(geostat)2014年農業センサス 表3.42、表3.48
ブドウ畑カダストルの範囲と全国値2023年(2024年2月公表)国立ワイン庁 2023年年次報告書(2024年)、カダストル更新の告知(2024年2月20日)
ケダ市で航空写真を作成した村2025年国立ワイン庁 2025年年次報告書
チハヴェリのアジャラでの栽培2024年確認国立ワイン庁 品種頁
ケダ・メリシでのチハヴェリ苗木配布2012年CENN・USAID の気候適応事業の報告(Adaptation at Altitude 掲載)
PDOの登録状況2025年9月30日国立ワイン庁 PDO一覧

03 — 気候

海の湿りと山の斜面、アジャラの気候を解説。

国立ワイン庁は黒海沿岸ゾーンの気候を「亜熱帯性で湿潤、場所によっては過湿」と記し、ブドウ畑は海抜2〜4mの海岸部から500mまでにあるとしています。アジャラは海岸の低地と、アジャリスツカリ川に沿って標高を上げる山あいからなり、ブドウ畑の多くは内陸のケダにあります。

11月の収穫

黒海沿岸ゾーンの収穫は11月と遅く、かつては1月末まで続くこともあったと国立ワイン庁は記しています。長い生育期間が、この土地のブドウを熟させます。

斜面を守るチハヴェリ

山あいのケダでは2012年、斜面の保全を兼ねて、メリシ周辺でチハヴェリの苗木を配る事業が行われました(CENN・USAIDの報告)。

04 — 品種

アジャラのブドウ品種。

今の畑で多いのはツォリコウリとチハヴェリ。国立ワイン庁はこれとは別に、アジャラの歴史的な在来品種を挙げ、近年その復興が始まったと記しています。

品種マスターリストに収録したアジャラの在来品種は、ブロラのほかクラルジュリ(白。歴史的地域名クラルジェティに由来)、ホパトゥリ(白)、メクレンチヒ(黒)、ジネシ(淡赤)、サツラヴィ(黒)、バトムラ(淡赤。名はバトゥミに由来)、歴史資料に名前が残るブルズガラ、ブトコ、クヴィリスタヴァの10です。

05 — 造り方

古い品種がよみがえる、小さな産地。

国立ワイン庁はアジャラについて、近年になって古い品種の復興が始まり、ワイン造りが再び動き出したと記しています。黒海沿岸ゾーン全体と同じく、19世紀まではブドウをほぼ全面的に樹に這わせる高仕立て(マグラリ)で育て、収穫は11月以降でした。

今も家屋や樹木のまわりでブドウを育てる形が広く残り、チハヴェリのロゼや軽い赤、ツォリコウリの白が造られています。

アジャラのスタイルと品種
スタイル主な品種味わいの傾向
ロゼ・淡い赤チハヴェリ淡い色、軽い口当たり。辛口も半甘口もある
白ツォリコウリ株数で最多。酸を保った辛口〜半甘口

07 — よくある質問

よくある質問。

アジャラとは、どんなワイン産地ですか?

ジョージア南西部、黒海に面しトルコと国境を接するアジャラ自治共和国の産地です。海岸部のバトゥミやコブレティから、アジャリスツカリ川に沿って山あいのケダ、シュアヘヴィ、フロへと続きます。国立ワイン庁の産地区分では「黒海沿岸ゾーン」に含まれます。

アジャラのブドウ畑は、どこにありますか?

内陸の山あいのケダ市に集まっています。2014年の農業センサスでは、自治共和国のブドウ畑108 haのうち70 ha(約65%)がケダにありました。コブレティ、シュアヘヴィ、ヘルヴァチャウリが続きます。

アジャラには、どんな在来品種がありますか?

国立ワイン庁は、ブロラ、ホパトゥリ、クラルジュリなど、アジャラの歴史的な在来品種を挙げ、近年その復興が始まったと記しています。本サイトの品種マスターリストには10の名前を収録し、その多くは研究機関のコレクションで保存されています。

アジャラでは、どんなワインが造られていますか?

株数で最も多い白ブドウのツォリコウリから造る白と、淡赤のチハヴェリから造るロゼや軽い赤が代表的です。チハヴェリのワインには辛口も半甘口もあります。

アジャラのワインは、何を手がかりに選べばよいですか?

アジャラのワインは、産地名と品種名をラベルに記して届きます。チハヴェリ、ツォリコウリなどの品種名が手がかりです。黒海沿岸ゾーンのPDO(原産地呼称)は、サメグレロのサルヒノ・オジャレシです。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(相互確認)
初回公開2026年9月6日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国立ワイン庁の産地区分・政府統計)
主要出典国立ワイン庁 産地区分「黒海沿岸ゾーン」(2026年9月確認)、2014年農業センサス(geostat、表3.42・3.48)、国立ワイン庁 2023年年次報告書(2024年)とカダストル更新の告知(2024年2月)、国立ワイン庁 2025年年次報告書、国立ワイン庁 品種頁(2024年確認)、国立ワイン庁 PDO一覧(2025年9月30日時点)。ケダの苗木配布はCENN・USAIDの報告(2012年)。詳細は出典一覧
注記味わいとスタイルは、この地域の代表的なワインの傾向として記しています。統計の基準年は「畑の広さ」の節と出典一覧に記載しています。

根拠の強さは、記述のもとになった資料がどれだけ確かかを A〜E で示す本サイトの目安です(A がもっとも確かで、B は政府機関の統計や PDO の規定などの公的資料)。定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

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