用語集 ・ Glossary ・ 36語

ジョージアワイン用語集

ジョージアワインを理解するために必要な用語を、容器、製法・スタイル、品種・分類、産地・制度・ラベル、食・文化の5つに分けて定義します。各項目には日本語表記、ジョージア語原綴りとラテン文字(確認できたもののみ)、2文以内の定義、詳しく読めるページへのリンクを付けています。用語ごとにURLの末尾(#qvevri など)で直接参照できます。

01 — 容器・設備

甕と、醸造の場所。

クヴェヴリ#qvevri
ქვევრი ・ Qvevri

ワインの発酵・熟成に使うジョージアの素焼きの甕(かめ)で、伝統的には地中に埋設して使います。この甕を用いる「クヴェヴリによる伝統的ワイン醸造法」は2013年にUNESCO無形文化遺産に登録されました(登録対象は製法であり、器やワインそのものではありません)。

チュリ#churi
ჭური ・ Churi

西部イメレティなどで、クヴェヴリと同種の甕を指す地域名です。器としての基本は同じで、呼称の違いは地域差によります。

マラニ#marani
მარანი ・ Marani

ワインを醸造・貯蔵する場所を指す語で、クヴェヴリを埋設した建物や区画をいいます。家庭、ワイナリー、修道院に備わり、ジョージアのワイン文化の中心となる空間です。

02 — 製法・スタイル

どう造るか、何ができるか。

カヘティ式#kakhetian-method
Kakhetian method

東部カヘティに伝わるクヴェヴリ醸造で、果皮・種(生産者により梗も)の全量〜大部分を果汁とともに投入し、発酵後も密封して数か月、多くは越冬させて醸します。白ブドウからは琥珀色でタンニンを持つアンバー(オレンジ)ワインが生まれます。

イメレティ式#imeretian-method
Imeretian method

西部イメレティの甕(チュリ)醸造で、果皮を少量のみ加えるか果汁主体で仕込み、醸し期間も短いのが特徴です。白ブドウからは淡い色で酸の生きた軽快なワインになります。

果皮接触(スキンコンタクト)#skin-contact
Skin contact / maceration

発酵中や発酵後に果汁を果皮・種とともに置くことで、色素・タンニン・香りが抽出されます。赤ワインでは通常の工程ですが、白ブドウに施すとアンバーワインになります。

アンバーワイン#amber-wine
ქარვისფერი ღვინო ・ Amber wine(オレンジワイン)

白ブドウを果皮・種とともに醸造して造る琥珀色のワインで、国際的には「オレンジワイン」と呼ばれることが多い、ほぼ同じ対象です。すべてのジョージアワインがアンバーではなく、すべてのアンバーワインがクヴェヴリ醸造でもありません。

チャチャ#chacha
ჭაჭა ・ Chacha

ふたつの意味があります。ひとつは醸造で果汁とともに甕に入れる果皮・種などの固形物(搾りかす)、もうひとつはその搾りかすなどを蒸留して造るジョージアの蒸留酒です。

テントゥリエ#teinturier
Teinturier

果皮だけでなく果肉まで着色するブドウ品種の総称です。ジョージアではサペラヴィが代表で、濃い色調のワインになります。

天然半甘口#semi-sweet
Naturally semi-sweet

補糖ではなく、ブドウ本来の糖分を発酵で使い切らずに残して造る半甘口ワインです。ジョージアでは赤の半甘口が伝統的に知られ、フヴァンチカラ(ラチャ)、キンズマラウリ(カヘティ)が代表的なPDOです。

03 — 品種・分類

本データベースの分類語。

品種名の判定、現存状態、出典の強さを表すために本サイトが使う語です。定義の詳細は方法論にあります。

正規品種#canonical
canonical

本データベースで独立した品種として認め、同義語や転写の揺れを統合する基準となる名称です。一つの正規品種には一つの正規URLのみを与えます。

同義語#synonym
synonym

同じ品種を指す別の名称です。日本語の表記ゆれ(サペラビ)やロシア語転写(Ркацители)も含み、独立ページは作らず正規品種へ統合します。

同名異種#homonym
homonym

異なる品種が同じ、または似た名で記録されている状態です。「ムツヴァネ」はムツヴァネ・カフリ(カヘティ)とゴルリ・ムツヴァネ(カルトリ)という別品種を含むため、地域名を付して区別します。

未確定#unresolved
unresolved

名称の言及はあるものの、実在性や他品種との関係を一次資料で確認できていない判定です。確認できるまで個別URLは作成せず、台帳で「実在性調査中」と表示します。

現存状態#status
status

品種が現在どの程度栽培・保存されているかを示す本サイトの4区分で、商業栽培、少量・復興、コレクション、歴史資料のみに分けます。個別ページと台帳の両方に表示します。

コレクション保存#collection
collection

研究機関の圃場や遺伝資源バンクに株が保存されている状態です。商業栽培はほぼなく、栽培・醸造の再開が確認されれば「少量・復興」へ更新します。

歴史資料のみ#historical
historical

文献に名称が残るものの、現存する株が確認できていない状態です。実在性調査の対象になります。

検証レベル#verification-level
verification level 1–5

情報の裏付けとなる出典の強さを1〜5で示す指標で、1=DNA・現存アクセッション、2=VIVC・OIV・政府・PDO仕様書、3=査読論文・学術機関、4=歴史的品種誌、5=生産者・輸入業者・メディアです。数字が小さいほど確認の強い資料に基づきます。

VIVC#vivc
Vitis International Variety Catalogue

国際品種カタログの略で、ドイツのユリウス・キューン研究所(JKI)ガイルヴァイラーホーフが運営するブドウ品種データベースです。品種ごとに登録番号があり、サペラヴィは10708、ルカツィテリは10116です。

SSR / SNP#ssr-snp
microsatellite / single nucleotide polymorphism

いずれも品種同定に用いるDNAマーカーです。SSR(マイクロサテライト)は短い塩基配列の反復回数、SNP(一塩基多型)は1塩基の違いを比較し、同義語・同名異種の判定に使われます。

アクセッション#accession
accession

遺伝資源コレクションに登録・保存されている個々の株(系統)と、その登録単位を指します。保存品種の「実在」は、生きたアクセッションが確認できるかで判断します。

実在性調査#existence-check
existence verification

名称のみが伝わる品種について、品種誌・VIVC・研究機関のアクセッションで実在を確認し、他品種の同義語でないかを調べる作業です。一次資料で確認できるまで個別URLは作成しません。

04 — 主要な品種名

まず知っておきたい品種名。

品種の全体はブドウ品種一覧で扱います。ここでは本文中に頻出する3つの名称のみ定義します。

サペラヴィ#saperavi
საფერავი ・ Saperavi ・ VIVC 10708

ジョージアを代表する黒ブドウ品種で、果肉まで色付くテントゥリエです。カヘティを主産地とし、ムクザニやキンズマラウリなど主要PDOの基幹品種です。

ルカツィテリ#rkatsiteli
რქაწითელი ・ Rkatsiteli ・ VIVC 10116

ジョージアで最も広く栽培される白ブドウ品種で、しっかりした酸と穏やかな香りを持ちます。辛口白からクヴェヴリのアンバーワインまで幅広く使われ、PDOツィナンダリの主体品種です。

ムツヴァネ#mtsvane
მწვანე ・ Mtsvane

ジョージア語で「緑」を意味し、複数の白品種名に含まれる同名異種の代表例です。カヘティのムツヴァネ・カフリとカルトリのゴルリ・ムツヴァネは別品種で、地域名を付して区別します。

05 — 産地・制度・ラベル

土地、呼称、ラベルの言葉。

PDO(原産地呼称)#pdo
Protected Designation of Origin

産地・品種・製法を法的に定めた区分です。ジョージアではムクザニ、ツィナンダリ、キンズマラウリ、フヴァンチカラなどが登録されており、仕様書は本サイトの出典レベル2に位置づけます。

フヴァンチカラ#khvanchkara
ხვანჭკარა ・ Khvanchkara

北西部ラチャ地方の天然半甘口赤ワインのPDOです。アレクサンドロウリを主体にムジュレトゥリをブレンドして造られます。

アラザニ渓谷#alazani
ალაზანი ・ Alazani Valley

東部カヘティを流れるアラザニ川に沿った渓谷で、ジョージアのブドウ栽培の中心地です。左岸と右岸で土壌・日照が異なり、PDOの区分にも反映されています。

リヒ山脈#likhi
ლიხის ქედი ・ Likhi Range

ジョージアを東西に分ける山脈です。この山脈を境に、乾燥した大陸性気候の東部(カヘティ、カルトリ)と、湿潤な西部(イメレティ、ラチャなど)で気候とワインのスタイルが異なります。

ジョージア/グルジア#georgia-name
საქართველო ・ Georgia

同じ国の呼称で、「グルジア」はロシア語由来の旧呼称です。日本政府は2015年に呼称を「ジョージア」へ変更し、本サイトも「ジョージアワイン」で統一して「グルジアワイン」は同義語として扱います。

ラベルのジョージア語#label-georgian
Georgian words on labels

ラベルに現れる基本語は、ღვინო(ghvino, ワイン)、თეთრი(tetri, 白)、წითელი(tsiteli, 赤)、მშრალი(mshrali, 辛口)、ნახევრად ტკბილი(nakhevrad tkbili, 半甘口)、ქვევრი(qvevri)です。産地名・品種名とあわせて読むと、色・甘辛・製法の見当がつきます。

06 — 食・文化

ワインを囲む言葉。

スプラ#supra
სუფრა ・ Supra

ジョージアの伝統的な宴で、食卓に料理を重ね、乾杯の言葉を重ねながら長い時間をかけて進みます。ワインは宴の中心にあり、乾杯は進行役のタマダが導きます。

タマダ#tamada
თამადა ・ Tamada

スプラの進行役で、乾杯の言葉(トースト)を述べて宴を導く人です。話術と酒量の両方が求められる、名誉ある役割とされます。

ムツヴァディ#mtsvadi
მწვადი ・ Mtsvadi

豚や仔羊などの肉を串に刺して直火で焼く料理です。サペラヴィなどの赤ワインと合わせるのが定番とされます。

ハチャプリ#khachapuri
ხაჭაპური ・ Khachapuri

チーズを詰めた、または載せて焼いたパンで、地域ごとに形が異なります(イメレティ風、アジャラ風など)。アンバーワインや白ワインとの相性が良いとされます。

ヒンカリ#khinkali
ხინკალი ・ Khinkali

香辛料で味付けした挽肉などを生地で包んで茹でた、大きな包み料理です。肉汁を逃さないよう、上のつまみ部分を持って手で食べます。

このページの検証状態

このページの検証状態
執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(相互確認)
初回公開2026年9月4日
最終確認2026年9月6日
検証レベル3(各用語の出典ページに準拠)
主要出典各用語のリンク先ページの出典に準拠(UNESCO登録情報、VIVC、国立ワイン庁のPDO仕様書、Maghradze 2012、外務省 ほか)。ジョージア語表記は確認できたもののみ掲載。詳細は出典一覧

検証レベルの定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

訂正を依頼する