歴史 ・ 考古学的証拠に基づく解説

ジョージアワインの歴史

始まりは、紀元前6000〜5800年ごろの土器です。

ジョージア南部の新石器時代の遺跡で見つかった土器から、ブドウ酒由来の成分が検出されました。このページでは、その証拠から、クヴェヴリ文化、ソ連時代、そして今の品種の復興までを年表でたどります。

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01 — 8000年の中身

「8000年」の中身。

考古学の証拠と、文献で追える時代。8000年を1本の帯で見てみます。

前6000年前3000年4世紀2013年現在
考古学的証拠がある時期文献で連続が追える時期資料の少ない期間

オレンジは考古学的証拠のある時期、緑は文献で連続が追える時期です。帯の長さは模式です。

確認されている事実

土器からの化学的検出

トビリシ南方の新石器時代遺跡(ガダチリリ・ゴラ、シュラヴェリス・ゴラ)から出土した土器の内面に、酒石酸などブドウ酒に特徴的な成分が検出されました。年代は紀元前6000〜5800年ごろ。2017年に国際共同研究チームが査読誌で発表しています。

ユーラシアで最古級の、ブドウ酒づくりの証拠です。

8000年の読み方

証拠は点、文化はつながり。

「世界最古」の答えは、醸造と栽培のどちらの証拠を見るか、地域をどう区切るかで決まります。近隣地域の古い証拠とあわせて、研究が続いています。

8000年の歴史は、新石器時代の土器、青銅器時代の貯蔵甕、4世紀以降の文献といった証拠を、点としてつないで読むものです。

02 — 年表

8000年を、年表でたどる。

前6000〜5800年
ブドウ酒の化学的痕跡。新石器時代の土器からブドウ酒由来の成分。栽培化の初期段階と考えられるブドウ種子も周辺遺跡から出土しています。
前3000年〜
青銅器時代。大型の貯蔵甕やブドウのモチーフを持つ遺物が現れ、ブドウ栽培文化の定着がうかがえます。
4世紀
キリスト教の国教化。聖ニノがブドウの蔓で作った十字架の伝承に象徴されるように、ワインは信仰・儀礼と強く結びつきます。教会・修道院が醸造文化の担い手となります。
中世
クヴェヴリ文化の成熟。各地の家庭・修道院に醸造施設(マラニ)が備わり、地域ごとの品種と製法が分化していきます。
19世紀
近代ワイン産業の始まり。ロシア帝国下でツィナンダリなどに近代的ワイナリーが設立され、瓶詰めワインの生産が始まります。一方で害虫フィロキセラの流入が畑に打撃を与えました。
20世紀(ソ連時代)
大量生産への転換。ソ連向け供給を目的に生産は量重視となり、栽培品種はルカツィテリとサペラヴィなど少数に集約。多くの土着品種が商業栽培から姿を消しました(研究機関のコレクションが保存の受け皿となりました)。
1991年
ジョージア独立。市場の混乱を経て、品質重視への転換と輸出市場の多角化が始まります。
2006年
ロシアによる禁輸。最大の輸出市場を失ったことが、品質向上と欧米・アジア市場開拓の転機となりました。
2013年
クヴェヴリ製法がUNESCO無形文化遺産に登録。伝統製法の再評価が国際的に進みます。クヴェヴリの解説へ
2017年
「8000年前」の科学的裏付け。国際共同研究が紀元前6000年ごろのブドウ酒の痕跡を査読誌で発表。ジョージアワインの国際的注目を後押ししました。
現在
伝統と現代の共存、品種の復興。クヴェヴリと近代設備の併用が一般化し、キシやアレクサンドロウリなど一度衰退した品種の復興栽培が広がっています。品種データベースへ

左の帯は時代の順を示す模式で、長さは年数と別に描いています。

03 — 品種に残る歴史

歴史は、品種に残っている。

記録に残る約525の品種名は、この歴史の堆積そのものです。ソ連時代に商業栽培から消えた品種の多くは研究機関のコレクションで保存され、DNA解析で「名前は違っても同じ品種」「名前は同じでも別の品種」といった関係の整理が進んでいます。

本サイトの品種データベースは、こうした歴史的経緯を「今の状態」(商業栽培/少量・復興栽培/コレクション/歴史資料のみ)として品種ごとに記録しています。

04 — よくある質問

よくある質問。

ジョージアワインの歴史は何年?

約8000年です。ジョージア南部の新石器時代の遺跡(ガダチリリ・ゴラ、シュラヴェリス・ゴラ)から出土した土器の内面に、紀元前6000〜5800年ごろのブドウ酒の成分が検出されました。2017年に国際共同研究チームが査読誌で発表しています。

ジョージアはワイン発祥の地?

最古級のワインづくりの証拠が見つかっている地域の一つです。ジョージアの土器の痕跡は、ユーラシアで最古級のブドウ酒づくりの証拠にあたります。近隣地域の古い証拠とあわせて、研究が続いています。

クヴェヴリの製法が UNESCO 無形文化遺産に登録されたのはいつ?

2013年です。登録されたのは「クヴェヴリによる伝統的ワイン醸造法」で、伝統製法の再評価が国際的に進むきっかけになりました。クヴェヴリの解説

ソ連時代、ジョージアワインはどう変わった?

ソ連向けの供給を目的に生産は量重視になり、栽培品種はルカツィテリとサペラヴィなど少数に集約されました。商業栽培から姿を消した多くの土着品種は、研究機関のコレクションで保存されました。

2006年のロシアの禁輸は、何を変えた?

最大の輸出市場を失ったことが、品質の向上と、欧米・アジア市場の開拓の転機になりました。

いま復興している品種は?

キシやアレクサンドロウリなど、一度衰退した品種の復興栽培が広がっています。キシはソ連時代にほぼ消え、2000年代に復興した白品種です。キシの品種ページ