紀元前6000年ごろのブドウ酒の痕跡
ジョージア南部の新石器時代の遺跡から出土した土器に、ブドウ酒由来の成分が検出されたことが2017年に査読論文(PNAS)で報告されました。世界最古級のワインづくりの証拠の一つです。証拠の中身は歴史のページで詳しく読めます。
入門ガイド ・ 読了目安 5分
南コーカサスの国ジョージアで造られるワインの総称です。
特別な理由は3つ。紀元前6000年ごろの土器に残るブドウ酒の痕跡、土器の甕クヴェヴリを地中に埋めて醸す伝統製法、そして記録に残る約525の品種名です。白・赤・アンバー・半甘口と幅が広く、最初の1本は色と製法で選べます。このページでは、その5分の道筋を順に案内します。
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01 — どこの国
ジョージアは黒海の東、コーカサス山脈の南に位置する国です。かつて日本では「グルジア」と呼ばれていましたが、2015年に日本政府の呼称が「ジョージア」に変わりました。同じ国、同じワインです。古い本や輸入業者の資料に「グルジアワイン」とあれば、それがジョージアワインです。
国土は北海道の8割ほどで、リヒ山脈を境に東西で気候が分かれます。東部のカヘティは乾燥した大陸性気候で、ジョージアのブドウ畑の7割超が集まる最大の産地です(2014年農業センサスで72%、国立ワイン庁の2023年カダストルでは約88%)。西部のイメレティなどは黒海の影響で湿潤で、酸を保った軽快なワインが生まれます。産地ごとの違いは産地一覧にまとめています。
02 — 3つの理由
8000年、クヴェヴリ、約525の品種名。3つの数字の中身を知ると、ラベルの言葉がぐっと読みやすくなります。
ジョージア南部の新石器時代の遺跡から出土した土器に、ブドウ酒由来の成分が検出されたことが2017年に査読論文(PNAS)で報告されました。世界最古級のワインづくりの証拠の一つです。証拠の中身は歴史のページで詳しく読めます。
素焼きの大きな甕を地中に埋め、ブドウを発酵・熟成させる製法です。2013年にUNESCO無形文化遺産に登録されました。登録されたのは、甕で醸す製法とそれを受け継ぐ文化です。現在はステンレスタンクで造るワインも多く、両方の味わいを楽しめます。
1960年の品種誌に約525の品種名が記録されています。いまワインになる品種のほか、研究機関のコレクションで守られる品種、歴史資料に名前を残す品種があります。品種ごとの今の状態は、品種マスターリストにまとめています。
03 — オレンジワイン
ジョージアは、白ブドウを果皮ごと醸す「アンバー(オレンジ)ワイン」の本場の一つです。そのうえで、生産されるワインの多くは通常の白と赤。ステンレスタンクで造る現代的なワインも広く流通しています。
ジョージアでは伝統的に、この色のワインを「アンバー(琥珀色)」と呼び、本サイトもこの呼び方を使います。「オレンジワイン」は同じスタイルを指す国際的な通称で、どちらも同じワインのことです。
クヴェヴリ、アンバー、自然派は、それぞれ別の軸です。クヴェヴリで造る赤ワインも、ステンレスで造るアンバーワインも、慣行農法のアンバーワインもあります。
04 — 味の目安
初めての1本を選ぶための、ざっくりした地図です。品種と製法がわかれば、グラスの中身をおおよそ思い描けます。
| タイプ | 見た目 | 味の傾向 | 代表的な品種・例 |
|---|---|---|---|
| 白(果汁だけを発酵) | 淡い黄色 | クリーンな酸。柑橘や白い花の香り。和食にも合わせやすい | ルカツィテリ、ツォリコウリ、キシ |
| アンバー(白ブドウを果皮ごと醸す) | 琥珀色からオレンジ | 白なのに渋み(タンニン)がある。紅茶、ドライアプリコット、蜂蜜の香り | ルカツィテリ、キシ、ムツヴァネ・カフリをクヴェヴリで醸したもの |
| 赤 | 濃い紫。黒に近いものも | 濃厚で酸もしっかり。黒い果実とスパイス。肉料理向き | サペラヴィ |
| 半甘口(赤が多い) | 赤 | 甘みと酸のバランス。少し冷やすと軽やか | キンズマラウリ(サペラヴィ)、フヴァンチカラ(アレクサンドロウリほか) |
香りや味の表現の根拠と、品種ごとの傾向は味わいの特徴で解説しています。
05 — 最初の1本
白・赤・アンバーの3タイプから始めると、全体像がつかめます。3本を飲み比べると、ジョージアワインの幅がひととおり分かります。
クリーンな酸で飲みやすい。和食にも合わせやすい白。ジョージアで最も広く栽培される白品種。
濃くて力強い赤。肉料理と好相性。果肉まで色付く珍しい品種で、半甘口もある。
紅茶やドライフルーツの香り。ジョージアらしさを体験するなら、まずはルカツィテリかキシから。
06 — よくある質問
初めての人がまず気になる6つの疑問に、一次資料をもとに答えます。
同じものです。2015年に日本政府の呼称が「グルジア」から「ジョージア」に変わりました。国も産地も品種も同じです。
アンバー(オレンジ)ワインの本場の一つで、生産量の多くは通常の白と赤です。ステンレスタンクで造る現代的なワインも広く流通しています。
クヴェヴリは容器と製法の名前で、農法や添加物の方針とは別の軸です。クヴェヴリで造る慣行農法のワインも、ステンレスで造る自然派のワインもあります。
約525は、1960年の品種誌に記録された品種名の数です。ワインとして飲めるのはその一部で、ほかは研究機関のコレクションで守られるか、歴史資料に名前を残しています。本サイトの品種マスターリストで、品種ごとの今の状態を確かめられます。
最古級のワインづくりの証拠が見つかっている地域の一つです。紀元前6000年ごろの土器からブドウ酒の成分が検出されたことが、2017年に査読論文(PNAS)で報告されています。
生産の大半は辛口です。キンズマラウリやフヴァンチカラのような半甘口の赤も有名で、ラベルの Dry / Semi-sweet の表記で見分けられます。
07 — 飲んでみる
5分で知ったジョージアワインを、グラスで確かめる。白・アンバー・赤を1本ずつ選べば、この国のワインの幅がひととおりわかります。