入門ガイド ・ 読了目安 5分

ジョージアワインとは?はじめの5分。

南コーカサスの国ジョージアで造られるワインの総称です。

特別な理由は3つ。紀元前6000年ごろの土器に残るブドウ酒の痕跡、土器の甕クヴェヴリを地中に埋めて醸す伝統製法、そして記録に残る約525の品種名です。白・赤・アンバー・半甘口と幅が広く、最初の1本は色と製法で選べます。このページでは、その5分の道筋を順に案内します。

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01 — どこの国

黒海の東、コーカサスの南の国。

ジョージアは黒海の東、コーカサス山脈の南に位置する国です。かつて日本では「グルジア」と呼ばれていましたが、2015年に日本政府の呼称が「ジョージア」に変わりました。同じ国、同じワインです。古い本や輸入業者の資料に「グルジアワイン」とあれば、それがジョージアワインです。

国土は北海道の8割ほどで、リヒ山脈を境に東西で気候が分かれます。東部のカヘティは乾燥した大陸性気候で、ジョージアのブドウ畑の7割超が集まる最大の産地です(2014年農業センサスで72%、国立ワイン庁の2023年カダストルでは約88%)。西部のイメレティなどは黒海の影響で湿潤で、酸を保った軽快なワインが生まれます。産地ごとの違いは産地一覧にまとめています。

02 — 3つの理由

特別な理由は、3つ。

8000年、クヴェヴリ、約525の品種名。3つの数字の中身を知ると、ラベルの言葉がぐっと読みやすくなります。

8,000年前

紀元前6000年ごろのブドウ酒の痕跡

ジョージア南部の新石器時代の遺跡から出土した土器に、ブドウ酒由来の成分が検出されたことが2017年に査読論文(PNAS)で報告されました。世界最古級のワインづくりの証拠の一つです。証拠の中身は歴史のページで詳しく読めます。

2013年

クヴェヴリという土器で醸す

素焼きの大きな甕を地中に埋め、ブドウを発酵・熟成させる製法です。2013年にUNESCO無形文化遺産に登録されました。登録されたのは、甕で醸す製法とそれを受け継ぐ文化です。現在はステンレスタンクで造るワインも多く、両方の味わいを楽しめます。

約525

記録に残る、約525の品種名

1960年の品種誌に約525の品種名が記録されています。いまワインになる品種のほか、研究機関のコレクションで守られる品種、歴史資料に名前を残す品種があります。品種ごとの今の状態は、品種マスターリストにまとめています。

03 — オレンジワイン

オレンジワインの、本場の一つ。

ジョージアは、白ブドウを果皮ごと醸す「アンバー(オレンジ)ワイン」の本場の一つです。そのうえで、生産されるワインの多くは通常の白と赤。ステンレスタンクで造る現代的なワインも広く流通しています。

ジョージアでは伝統的に、この色のワインを「アンバー(琥珀色)」と呼び、本サイトもこの呼び方を使います。「オレンジワイン」は同じスタイルを指す国際的な通称で、どちらも同じワインのことです。

クヴェヴリ、アンバー、自然派は、それぞれ別の軸です。クヴェヴリで造る赤ワインも、ステンレスで造るアンバーワインも、慣行農法のアンバーワインもあります。

04 — 味の目安

白・アンバー・赤、味の目安。

初めての1本を選ぶための、ざっくりした地図です。品種と製法がわかれば、グラスの中身をおおよそ思い描けます。

白・アンバー・赤・半甘口の味の目安
タイプ見た目味の傾向代表的な品種・例
白(果汁だけを発酵)淡い黄色クリーンな酸。柑橘や白い花の香り。和食にも合わせやすいルカツィテリ、ツォリコウリ、キシ
アンバー(白ブドウを果皮ごと醸す)琥珀色からオレンジ白なのに渋み(タンニン)がある。紅茶、ドライアプリコット、蜂蜜の香りルカツィテリ、キシ、ムツヴァネ・カフリをクヴェヴリで醸したもの
赤濃い紫。黒に近いものも濃厚で酸もしっかり。黒い果実とスパイス。肉料理向きサペラヴィ
半甘口(赤が多い)赤甘みと酸のバランス。少し冷やすと軽やかキンズマラウリ(サペラヴィ)、フヴァンチカラ(アレクサンドロウリほか)

香りや味の表現の根拠と、品種ごとの傾向は味わいの特徴で解説しています。

05 — 最初の1本

最初の1本は、3タイプから。

白・赤・アンバーの3タイプから始めると、全体像がつかめます。3本を飲み比べると、ジョージアワインの幅がひととおり分かります。

白:ルカツィテリ

クリーンな酸で飲みやすい。和食にも合わせやすい白。ジョージアで最も広く栽培される白品種。

赤:サペラヴィ

濃くて力強い赤。肉料理と好相性。果肉まで色付く珍しい品種で、半甘口もある。

アンバー:クヴェヴリ醸造

紅茶やドライフルーツの香り。ジョージアらしさを体験するなら、まずはルカツィテリかキシから。

საფერავი SAPERAVI KINDZMARAULI SEMI-SWEET QVEVRI 2021 ・ 12% ・ 750ml 1 2 3

ラベルで見る、3つの目安

  1. 1品種名を探す。ラベルで最も大きく書かれているのは品種名か、産地呼称(PDO)名です。「Rkatsiteli」「Saperavi」とあれば、上の表で方向が読めます。
  2. 2辛口か半甘口かを見る。赤には半甘口も多くあります。英語表記なら Dry(辛口)/ Semi-sweet(半甘口)です。
  3. 3「Qvevri」の表記を見る。甕で造ったことを示します。クヴェヴリで造る白・赤・アンバーがあります。

PDO名や甘辛表記、ジョージア文字の読み方はラベルの読み方で詳しく説明しています。

06 — よくある質問

よくある質問。

初めての人がまず気になる6つの疑問に、一次資料をもとに答えます。

グルジアワインとジョージアワインは、別のもの?

同じものです。2015年に日本政府の呼称が「グルジア」から「ジョージア」に変わりました。国も産地も品種も同じです。

ジョージアワインは、全部オレンジワイン?

アンバー(オレンジ)ワインの本場の一つで、生産量の多くは通常の白と赤です。ステンレスタンクで造る現代的なワインも広く流通しています。

クヴェヴリで造れば自然派ワイン?

クヴェヴリは容器と製法の名前で、農法や添加物の方針とは別の軸です。クヴェヴリで造る慣行農法のワインも、ステンレスで造る自然派のワインもあります。

約525の品種、全部飲めるの?

約525は、1960年の品種誌に記録された品種名の数です。ワインとして飲めるのはその一部で、ほかは研究機関のコレクションで守られるか、歴史資料に名前を残しています。本サイトの品種マスターリストで、品種ごとの今の状態を確かめられます。

ジョージアは世界最古のワイン産地?

最古級のワインづくりの証拠が見つかっている地域の一つです。紀元前6000年ごろの土器からブドウ酒の成分が検出されたことが、2017年に査読論文(PNAS)で報告されています。

甘いワインが多い?

生産の大半は辛口です。キンズマラウリやフヴァンチカラのような半甘口の赤も有名で、ラベルの Dry / Semi-sweet の表記で見分けられます。