温度の安定
地中の温度は年間を通じて安定しています。発酵の暴走を防ぎ、冷却設備なしで長期の醸しと熟成を可能にします。
製法 ・ ქვევრი ・ Qvevri
クヴェヴリは、ワインの発酵・熟成に使うジョージアの素焼きの甕(かめ)です。伝統的には地中へ埋設して使用します。数百リットルから数千リットルまで大きさはさまざまで、2013年には「クヴェヴリによる伝統的ワイン醸造法」がUNESCO無形文化遺産に登録されました。
地中の温度は年間を通じて安定しています。発酵の暴走を防ぎ、冷却設備なしで長期の醸しと熟成を可能にします。
底に向かってすぼまる卵形の内部では、発酵中に自然な対流が起こり、果皮や澱が中心に集まります。攪拌の手間が少なく、澱との接触が穏やかに進みます。
大型の甕は地中に固定することで破損リスクが下がり、清掃・封をする作業面だけが地表に出ます。
工程の詳細は生産者・地域により異なります。以下は一般的な流れです。
同じ甕醸造でも、果皮をどれだけ使うかで結果は大きく変わります。表は一般的傾向です。
| 項目 | カヘティ式(東部) | イメレティ式(西部) |
|---|---|---|
| 甕の呼称 | クヴェヴリ | チュリ(同種の甕の地域名) |
| 果皮の使用 | 全量〜大部分を投入 | 少量のみ、または果汁主体 |
| 醸し期間 | 数か月(越冬が典型) | 短い |
| 白ブドウの結果 | 琥珀色、タンニン、複雑さ | 淡い色、酸の生きた軽快さ |
| 代表産地 | カヘティ | イメレティ |
「アンバー(オレンジ)ワイン」はカヘティ式の長い果皮接触から生まれる代表的スタイルです。アンバーワインの解説へ
2013年、「クヴェヴリによる伝統的ワイン醸造法(Ancient Georgian traditional Qvevri wine-making method)」がUNESCO無形文化遺産に登録されました。
登録の対象は製法とそれを支える文化・知識の継承です。「ジョージアワイン」や「クヴェヴリ(器そのもの)」が登録されたのではありません。この区別は誤解されやすいため、本サイトでは登録名称を明記します。
甕づくりの職人は現在も少数で、産地・家系ごとに技術が継承されています。
| 登録年 | 2013年 |
| 区分 | 無形文化遺産(代表一覧) |
| 対象 | クヴェヴリを用いる伝統的ワイン醸造法 |
| 対象外 | ワインそのもの・器そのもの |
いいえ。クヴェヴリでは赤ワインも、果皮接触の短い白ワインも造られます。アンバーワインは「白ブドウ+長い果皮接触」の結果であり、容器の名前ではありません。
いいえ。クヴェヴリは容器・製法であり、栽培方法や添加物の方針とは独立です。クヴェヴリを使う慣行農法のワインも、ステンレスタンクの自然派ワインも存在します。
いいえ。生産量の多くはステンレスタンクなどの近代的設備によるものです。クヴェヴリ醸造は文化的に重要ですが、量的には一部です。
厳密には異なります。アンフォラは運搬・貯蔵用の把手付き容器を指すことが多く、クヴェヴリは把手がなく、地中に埋めて発酵・熟成に使う醸造容器です。近年、世界各地の「アンフォラ醸造」はクヴェヴリに着想を得たものが多くあります。