西部 ・ 黒海沿岸の低地と石灰岩の丘陵

サメグレロ地方のワイン

Samegrelo (Mingrelia) ・ სამეგრელო

サメグレロ(Samegrelo)は、ジョージア西部、黒海に面するコルヘティ低地とその北東の丘陵に広がるワイン産地です。黒ブドウオジャレシの故郷で、ブドウを樹に這わせる高仕立て(マグラリ)で育て、収穫が11月に及ぶ極晩生の品種として知られます。マルトヴィリ市サルヒノ周辺には、黒海沿岸で唯一のPDO(原産地呼称)「サルヒノ・オジャレシ」(2020年登録)があります。

位置
ジョージア西部
黒海に面した低地と丘陵
気候
湿潤な亜熱帯
冬は温和、夏は暑い
ブドウ畑
547 ha
州全体、全国の約1.7%(2014年農業センサス)
主要品種
オジャレシ
ツォリコウリ(株数の約84%)
PDO
1
サルヒノ・オジャレシ(2020年)

01 — 位置

サメグレロは、黒海に面した古代コルヘティの地。

国立ワイン庁は、グリアとサメグレロをジョージアで最も古いワイン造りの中心地の一つとし、古代のコルヘティ(კოლხეთი)にあたる地域と記しています。

サメグレロの位置と行政区分
位置ジョージア西部。西は黒海に面し、南はリオニ川を挟んでグリア、北西はエングリ川を挟んでアブハジア、東はイメレティ、北東はレチュフミに接する
行政区分サメグレロ=ゼモ・スヴァネティ州(州都ズグディディ)。ブドウ畑は低地・丘陵部のマルトヴィリ、ズグディディ、ツァレンジハ、チホロツク、セナキ、ホビ、アバシャの各市にある(2014年農業センサス)
国立ワイン庁の産地区分「黒海沿岸ゾーン」(グリア、サメグレロ、アジャラ、アブハジア)
主要な河川・地形コルヘティ低地と、北のサメグレロ山脈へ向かう丘陵。テフリ川(PDOサルヒノ・オジャレシ区域の南西の境界)
主な村マルトヴィリ市サルヒノ(PDO区域)、チカドゥアシ(19世紀にアシル・ミュラがオジャレシを植えた村)、タマコニ、アベダティ(国立ワイン庁がオジャレシの適地として挙げる)
主要品種オジャレシ(黒)、ツォリコウリ(白。2014年センサスで株数の約84%)、チヴィティルリ、チェチペシ(白)
代表的な製法辛口赤(PDO)、半甘口の赤、白。伝統は樹に這わせる高仕立て(マグラリ)
PDOサルヒノ・オジャレシ(2020年3月30日登録、登録番号977)

02 — 畑の広さ

黒海沿岸でいちばん広い、547 haの畑。

2014年農業センサスでは、サメグレロ=ゼモ・スヴァネティ州のブドウ畑は547 haで、黒海沿岸ゾーンで最も大きな産地です。市別ではマルトヴィリとズグディディが多く、畑の外に単独で植えられた「散在株」も23.4万本あります。

ブドウ畑
547ha
全国32,960 haの約1.7%
マルトヴィリ市
186ha
PDOの村サルヒノがある市
ブドウ畑の株数
115.9万本
うちツォリコウリ97.0万本(約84%)
オジャレシの畑
141ha
2004年、国立ワイン庁
市別の畑の広さと主な村を開く(7市)
サメグレロ=ゼモ・スヴァネティ州の市別ブドウ畑面積と主な村
市ブドウ畑(2014年)主な村・記述
マルトヴィリ市186 haサルヒノ(PDO区域。境界の村はガチェディリ、バルダ、ノブレヴィ、テフリ川対岸のディディ・チコニ、タレリ)、チカドゥアシ、タマコニ、アベダティ。ツォリコウリ34.1万本
ズグディディ市142 ha(市街地は別に1 ha)州都。ツォリコウリ21.4万本、散在株4.9万本
ツァレンジハ市69 ha州北部、エングリ川寄り。ツォリコウリ14.5万本
チホロツク市61 ha州北部の丘陵。ツォリコウリ13.1万本
セナキ市45 haコルヘティ低地。散在株3.0万本
ホビ市37 ha海岸寄りの低地。散在株3.8万本
アバシャ市6 haリオニ川に近い低地。散在株2.4万本

面積は2014年農業センサス(農業経営体のブドウ畑)。「散在株」はブドウ畑の外に単独で植えられた株の数です。国立ワイン庁のブドウ畑カダストルは2023年にサメグレロを含む西部4地域へ広がり、全国48,642 haが登録されました(2024年2月)。

統計の基準年と出典を開く
このページで使った統計の基準年と出典
項目基準年出典
産地区分、気候の記述、歴史、在来品種の一覧2026年9月確認国立ワイン庁「Viticulture and Winemaking Regions: Black Sea Coastal Zone」(wine.gov.ge)
ブドウ畑面積、株数、市別内訳、ツォリコウリの株数2014年ジョージア統計局(geostat)2014年農業センサス 表3.42、表3.48
PDOの登録番号・登録日、区域、気候・土壌の数値、規定、歴史2020年3月30日登録PDO「サルヒノ・オジャレシ」仕様書(登録番号977。国立ワイン庁 PDO頁・Sakpatenti)
ブドウ畑カダストルの範囲と全国値2023年(2024年2月公表)国立ワイン庁 2023年年次報告書(2024年)、カダストル更新の告知(2024年2月20日)
オジャレシの面積(141 ha)、適地の村2004年国立ワイン庁 品種頁(2024年確認)
PDOの登録状況(33名称)2025年9月30日国立ワイン庁 PDO一覧

03 — 気候と土壌

海と山に囲まれた丘、サメグレロの気候と土壌を解説。

西の黒海と、北のサメグレロ山脈・コドリ山脈に囲まれた、海洋性の湿潤な亜熱帯気候です。冬は温和で夏は暑く、長い秋が、収穫が11月に及ぶ極晩生のオジャレシを熟させます。

年平均気温
14℃
7〜8月は22.5℃、1月は4.8℃
降水量
1,810mm
年間。うち生育期に1,070mm
日照
2,000–2,050時間
年間。生育期に1,500時間
畑の標高
250m
サルヒノの区域

数値はPDO「サルヒノ・オジャレシ」の規定によるサルヒノ周辺の値です。年平均相対湿度76%、降雹は年0.6日。

海辺から標高500mまで

国立ワイン庁は黒海沿岸ゾーンの気候を「亜熱帯性で湿潤、場所によっては過湿」とし、ブドウ畑は海抜2〜4mから500mまでにあると記しています。雨の多い土地なので、うどんこ病などへの対策に手をかけて育てます。

石灰の丘の土

サルヒノ村には、ローム質・砂質の沖積草地土、石灰岩や泥灰岩の上の黒色炭酸塩土、古い礫層の上の重粘土、赤色系・黄色系の土壌が広がります。国立ワイン庁は、サルヒノ、タマコニ、アベダティの石灰質の土をオジャレシの適地に挙げています。

05 — 造り方

樹に這わせた伝統と、辛口オジャレシ。

オジャレシの名はメグレル方言で「木に生える(もの)」を意味し、かつては柿やハンノキなどの樹に這わせる高仕立て(マグラリ)で育てられました。19世紀後半にはフランスのアシル・ミュラ(Achille Murat)がサルヒノとチカドゥアシにオジャレシの畑を開き、そのワインは国際博覧会で受賞したとPDO仕様書にあります。

1942年からは半甘口の赤「オジャレシ」が生産されて人気を得ました。2020年登録のPDOサルヒノ・オジャレシは辛口(残糖4 g/L以下)を定め、果汁の完全発酵、オジャレシ100%、収量8 t/ha以下、収穫時の糖度22%以上などを規定しています。半甘口と辛口、2つのオジャレシが楽しめます。

サメグレロのスタイルと品種
スタイル主な品種味わいの傾向
辛口の赤(PDOサルヒノ・オジャレシ)オジャレシ濃いガーネット色、果実の香り。アルコール11%以上、残糖4 g/L以下
半甘口の赤オジャレシルビー色の半甘口として知られる
白ツォリコウリ酸を保った辛口〜半甘口

06 — PDO

黒海沿岸で唯一のPDO、サルヒノ・オジャレシ。

PDO(原産地呼称)は、区域・品種・製法を国が定めたワインの名前です。サメグレロのサルヒノ・オジャレシは、グリア、アジャラを含む黒海沿岸ゾーンで登録されている唯一のPDOです。

07 — よくある質問

よくある質問。

サメグレロとは、どんなワイン産地ですか?

ジョージア西部、黒海に面するコルヘティ低地とその北東の丘陵に広がる産地です。国立ワイン庁の産地区分では「黒海沿岸ゾーン」に含まれます。黒ブドウのオジャレシの故郷で、マルトヴィリ市サルヒノ周辺には、黒海沿岸で唯一のPDO(原産地呼称)サルヒノ・オジャレシがあります。

オジャレシとは、どんなブドウですか?

サメグレロを故郷とする黒ブドウです。名はメグレル方言で「木に生える」を意味し、かつては樹に這わせて育てられました。収穫が11月に及ぶ極晩生の品種で、辛口と半甘口の赤ワインになります。国立ワイン庁の2004年調査では141 haでした。

サルヒノ・オジャレシとは、どんなワインですか?

マルトヴィリ市サルヒノ周辺の区域で、オジャレシ100%から造る辛口の赤ワインです。残糖4 g/L以下、収量8 t/ha以下、収穫時の糖度22%以上などが定められています。2020年3月30日にPDOとして登録されました(登録番号977)。

「樹に這わせる栽培(マグラリ)」とは何ですか?

柿やハンノキなどの樹にブドウを這わせて高く仕立てる、黒海沿岸の伝統的な栽培法です。国立ワイン庁は、このゾーンでは19世紀までほぼ全面的にこの高仕立てだったと記しています。

半甘口のオジャレシもありますか?

あります。1942年から半甘口の赤「オジャレシ」が生産されて人気を得ており、今も造られています。PDOのサルヒノ・オジャレシは辛口の赤を定めています。

サメグレロで最も多く育つブドウは?

白ブドウのツォリコウリです。2014年の農業センサスでは、ブドウ畑の株数115.9万本のうち97.0万本(約84%)がツォリコウリでした。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(相互確認)
初回公開2026年9月6日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国立ワイン庁の産地区分・PDO仕様書・政府統計)
主要出典国立ワイン庁 産地区分「黒海沿岸ゾーン」(2026年9月確認)、PDO「サルヒノ・オジャレシ」仕様書(登録番号977、2020年)、2014年農業センサス(geostat、表3.42・3.48)、国立ワイン庁 2023年年次報告書(2024年)とカダストル更新の告知(2024年2月)、国立ワイン庁 品種頁(2004年面積、2024年確認)、国立ワイン庁 PDO一覧(2025年9月30日時点)。詳細は出典一覧
注記気候・土壌の数値はサルヒノ周辺のPDO仕様書によります。味わいとスタイルは、この地域の代表的なワインの傾向として記しています。統計の基準年は「畑の広さ」の節と出典一覧に記載しています。

根拠の強さは、記述のもとになった資料がどれだけ確かかを A〜E で示す本サイトの目安です(A がもっとも確かで、B は政府機関の統計や PDO の規定などの公的資料)。定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

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