斜面の上の森林褐色土
仕様書は土壌を9種に分けています。斜面の上部、ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面には森林褐色土が3種。厚さ70〜100cm、腐植の層は30〜60cmの重い壌土で、上は暗褐色、下は麦わら色から白に変わります。
ジョージアの辛口白ワイン ・ カヘティ ・ PDO
Vazisubani ・ ვაზისუბანი
ヴァジスバニ(Vazisubani、ヴァジスヴァニとも)とは、ジョージア・カヘティ地方のアラザニ川中流右岸、ツィヴ・ゴンボリ山系から北東へ5〜6°傾く一枚の斜面にある特定区域で、ルカツィテリを主体にムツヴァネ・カフリを約15%まで加えて造られる辛口の白ワインです。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。仕様書は自然流下の果汁を完全に発酵させる製法、残糖4g/L以下、アルコール11%以上を定めています。1978年に専門家の手で生まれた比較的新しいワインで、2007年に登録番号794として登録されました。
出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。
01 — 規定
仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。どの生産者のヴァジスバニも、この枠の中で造られます。
| タイプ | 白・辛口。色は淡い麦わら色 |
| 使用品種 | ルカツィテリ。ムツヴァネ・カフリを約15%まで使用できる。いずれも区域内で収穫したもの |
| 地域・区域 | カヘティ地方、アラザニ川中流(北緯41°49′・東経45°27′)。ツィヴ・ゴンボリ山系から北東へ5〜6°傾く斜面で、南西を同山系、北東をアラザニの水路、北西をシュロマ渓谷、南東をツィリアニ渓谷に区切られる。ヴァジスバニ、カラウリ、シャシアニ、ヴァチナジアニの各村 |
| 畑 | 標高500〜600m。畝間1〜3m、株間0.8〜1.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由 |
| 収穫と輸送 | 完熟ブドウのみ、収穫時の糖度19%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台。ポリエチレンの袋は使用不可 |
| 収量 | ルカツィテリ10t/ha、ムツヴァネ・カフリ8t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下(1haから6,500L / 5,200L以下) |
| 製法 | 自然流下の果汁の完全アルコール発酵。使用できる操作・材料はジョージアの法令が認めるものに限る |
| 成分 | アルコール11%以上、残糖4g/L以下、エキス分16g/L以上、酸度5g/L以上 |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限る。処理と醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内であればカヘティ外でも可 |
| 表示 | ラテン文字で「VAZISUBANI」、「Protected Designation of Origin」または「PDO」。キリル文字の表記も定められている |
| 登録・管理 | 登録番号794、2007年12月10日。申請者・管理機関は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。
02 — 産地
ヴァジスバニの区域は、ツィヴ・ゴンボリ山系から北東へ5〜6°の角度で下る、一枚の緩やかな斜面です。仕様書は境界を、南西はツィヴ・ゴンボリ山系、北東はアラザニの水路、北西はシュロマ渓谷、南東はツィリアニ渓谷と定めています。渓谷にはさまれた斜面がそのまま区域になっている、輪郭のはっきりした呼称です。
区域はヴァジスバニ、カラウリ、シャシアニ、ヴァチナジアニの4村で、白のグルジャアニの広い区域の中に含まれます。畑は標高500〜600mで、ブドウの処理と醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内で行います。
地域
ジョージア最大のワイン産地。アラザニ渓谷の北側(左岸)と南側(右岸)で土壌と日照が異なり、ヴァジスバニは右岸のグルジャアニ市にあります。
区域を含む、広い呼称
アラザニ川右岸の18村にまたがる辛口白のPDO。ヴァジスバニの4村はその中にあり、品種の規定も同じです。違いは区域の広さと、一枚の斜面という地形にあります。
03 — 気候と土壌
仕様書は、暑い夏と穏やかな冬、年2回の降水の山、そして森林褐色土から沖積土まで9種の土壌が、ルカツィテリとムツヴァネ・カフリの個性を引き出すと説明しています。
夏(6〜8月)の昼夜の気温差は平均9℃。冬は4.8〜5.5℃にとどまります。昼は23℃前後まで暑く、夜に冷える斜面に、年2,180時間を超える日照が重なります。成熟期(8〜9月)の快晴の日は17〜18日。
仕様書は土壌を9種に分けています。斜面の上部、ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面には森林褐色土が3種。厚さ70〜100cm、腐植の層は30〜60cmの重い壌土で、上は暗褐色、下は麦わら色から白に変わります。
斜面の下、アラザニの第二段丘との境には草地褐色土(古い沖積土)が2種、水路の下の段丘には炭酸塩を含む沖積土が4種。腐植は0.5〜3.0%と少なく、炭酸塩は8〜20%、pHは7.5〜8.0のアルカリ性です。
気候と土壌の数値は、仕様書 第10章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。10℃以上の積算温度は3,730℃。相対湿度は年71%(生育期は68%以下)。降雹は年2.2日(多い年は5日)。卓越風は西(33%)と南西(23%)、平均風速1.4m/s。
04 — 品種
仕様書は、区域内で収穫したルカツィテリを主体とし、同じ区域のムツヴァネ・カフリを約15%まで使えると定めています。
Rkatsiteli ・ 白
ジョージアで最も広く栽培される白ブドウ。骨格のある酸と、熟成で開く果実のブーケ。
約15%まで
カヘティ固有の白ブドウ。仕様書は、同じ区域で収穫したものに限り「約15%」まで使用を認め、収量は8t/haと定めています。野の花の香りを添える役割です。
土地が引き出すもの
仕様書は、穏やかな冬と暑い夏、適度な降水、土壌の多様性が、ルカツィテリとムツヴァネ・カフリのこの区域ならではの特徴を引き出し、ヴァジスバニだけの官能特性をもたらすと記しています。
05 — 造り方
果皮を漬け込まず、圧力をかけずに流れ出た果汁だけを完全に発酵させる。仕様書が定める流れを、畑から出荷まで順に追います。
使えるのは完熟したブドウだけ。収穫時の糖度は19%以上。収量はルカツィテリ10t、ムツヴァネ・カフリ8t以下(1haあたり)。
輸送は木箱かプラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台で。ポリエチレンの袋は使えません。
圧力をかけずに流れ出る果汁を使います。果皮を漬け込まないので、色は淡い麦わら色にとどまります。ブドウ1tからワイン650L以下。
果汁を完全にアルコール発酵させ、糖は4g/L以下まで減り、アルコールは11%以上になります。
処理と醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内であればカヘティ外でも可。ラベルには「VAZISUBANI」と「PDO」の表示が入ります。
06 — 歴史
仕様書は「ヴァジスバニの歴史はそれほど長くない」と率直に記しています。当時の国営組織サムトレストの専門家が生み出し、1978年から造られています。
仕様書の「人的要因」の章は簡潔で、上記の点のほかは、この地方の何世紀にもわたるブドウ栽培の伝統に触れるのみです。
07 — 味わい
一枚の斜面が、白に輪郭を与える。
淡い麦わら色。欠点がなく、繊細で柔らかく、調和がとれ、軽やかで上品。土地を特徴づける香りと野の花のトーンを持ち、熟成により果実のトーンのブーケが現れる。
品種の規定は同じで、区域の広さが違います。グルジャアニは右岸の18村、ヴァジスバニはその中の4村、北東へ傾く一枚の斜面だけ。小さな区域の白として、より均質な性格になるとされます。
よく冷やして(8〜10℃前後)供されることが多く、川魚や鶏肉の料理、ハーブを使ったサラダ、ハチャプリなどのチーズ料理と合わせる例が紹介されます。
08 — 似たPDOと比べる
カヘティの辛口白のPDOは、品種の組み合わせと畑の場所で名前が分かれます。数値は各PDOの仕様書によります。
09 — 名乗る条件
区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、ヴァジスバニを名乗れます。


ヴァジスバニはグルジャアニ市の村の名前でもあります。PDOの区域は村より広く、同じ斜面の4村を含みます。ラベルの「ヴァジスバニ」はPDO名であり、ヴァジスバニ村の畑に限られるわけではありません。
ヴァジスバニの区域はグルジャアニの区域の中にあります。規定を満たせば、同じ畑のブドウからグルジャアニを名乗ることもできますが、逆にグルジャアニの他の村のブドウからヴァジスバニは名乗れません。
名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。
10 — よくある質問
ジョージア東部カヘティ地方、アラザニ川中流の右岸にあるグルジャアニ市の特定区域(ツィヴ・ゴンボリ山系から北東へ傾く一枚の斜面)で、ルカツィテリを主体にムツヴァネ・カフリを約15%まで加えて造られる辛口の白ワインです。自然流下の果汁を完全に発酵させる製法が仕様書で定められ、残糖4g/L以下、アルコール度数11%以上。名前は産地呼称(PDO)で、2007年に登録されました。1978年から造られています。
いいえ、辛口です。仕様書は残糖を4g/L以下と定めています。淡い麦わら色で、野の花の香りと、柔らかで調和のとれた口当たりを持ちます。
ルカツィテリが主体で、同じ区域で収穫したムツヴァネ・カフリを約15%まで使えます。収穫時の糖度は19%以上、収量はルカツィテリ10t/ha、ムツヴァネ・カフリ8t/ha以下です。
ジョージア東部、カヘティ地方のグルジャアニ市です。ツィヴ・ゴンボリ山系から北東へ5〜6°傾く斜面で、南西を山系、北東をアラザニの水路、北西をシュロマ渓谷、南東をツィリアニ渓谷に区切られます。標高500〜600mの畑で、仕様書はヴァジスバニ、カラウリ、シャシアニ、ヴァチナジアニの4村を区域としています。醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内で行います。
仕様書は「1978年から」と記し、「歴史はそれほど長くない」と率直に述べています。当時の国営組織サムトレストの専門家が生み出したワインです。PDOとしての登録は2007年12月10日(登録番号794)です。
品種の規定(ルカツィテリ主体、ムツヴァネ・カフリ約15%まで)は同じで、区域の広さが違います。グルジャアニはアラザニ川右岸の18村、ヴァジスバニはその中の4村で、北東へ傾く一枚の斜面だけです。小さな区域の白として、より均質な性格になるとされます。
どちらもルカツィテリ主体にムツヴァネ・カフリを加える辛口白ですが、ツィナンダリはテラヴィ、ヴァジスバニはその下流のグルジャアニ市です。ツィナンダリはルカツィテリ85%以上と比率を定め、ヴァジスバニは「約15%まで」と定めています。
いいえ。ヴァジスバニは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「VAZISUBANI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。区域が小さく生産量が限られる呼称なので、取扱いは多くありません。
11 — 飲んでみる
ここまで読んだヴァジスバニを、グラスで確かめる。ジョージアワイン専門店で、同じ右岸の白(グルジャアニ、ツィナンダリ)と飲み比べるのもおすすめです。
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「ヴァジスバニ」仕様書(登録番号794、2007年12月10日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。
| 執筆 | ジョージアワインストア データベース編集部 |
| レビュー | 編集部(相互確認) |
| 初回公開 | 2026年9月21日 |
| 最終確認 | 2026年9月24日 |
| 根拠の強さ | B(公的資料。PDO仕様書・法令) |
| 主要出典 | 国立ワイン庁 PDO仕様書「Vazisubani」(英訳版)、国立ワイン庁PDO登録一覧 |
| 注記 | 味わいと飲み方の記述は一般的傾向。仕様書の数値は英訳版に基づく。英訳版の気候の章には生育期間を204日(4月8日〜10月30日)と211日(4月5日〜11月3日)の2通りで記す箇所があり、本ページは前者を採用 |