辛口からアンバーまで
酸を保ったまま熟すので、すっきりした辛口白にも、果皮ごと醸すアンバーワインにも向きます。
01 — 名称
რქაწითელი=赤い角
ルカツィテリ(რქაწითელი)は、ジョージア語のrka(角、転じて枝)とtsiteli(赤)からなる名前です。白ブドウですが、若い枝が赤みを帯びることから付いた名前です。日本語では「ルカチテリ」とも書かれ、どちらも同じ品種です。
02 — いちばん多いブドウ
ジョージアのワインで、いちばん多く使われているブドウは? 答えは白のルカツィテリです。国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では、全登録面積のほぼ半分を占めています。
ジョージアで最も広く栽培されるブドウ品種。2位のサペラヴィと合わせると、全体の約9割になります。
酸を保ったまま熟すので、すっきりした辛口白にも、果皮ごと醸すアンバーワインにも向きます。
ジョージアの古典的な白、PDO(原産地呼称)ツィナンダリの主体品種です。
寒さに比較的強いことも一因となり、旧ソ連圏を中心に国外でも栽培されています。
03 — 味わい
穏やかな香りに、しっかりした酸。
辛口白の場合の目安です。
青リンゴ、柑橘、かりん、白い花の控えめな香り。高い酸が全体を引き締め、クリーンで飲み疲れしない辛口白になります。
クヴェヴリで醸すと琥珀色になり、紅茶、ドライフルーツ、胡桃の風味と、白ワインにはないタンニンが現れます。
酸が高く香りは控えめな辛口白で、樽を使わないシャルドネやミュスカデのような食中酒が目安です。
合わせる料理
辛口白は白身魚、天ぷら、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズと。アンバーは発酵食品や熟成チーズ、スパイス料理に合わせます。
04 — スタイル
同じルカツィテリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月末から10月にかけて収穫が続き、辛口の白は酸を残して早めに、クヴェヴリのアンバーは果皮の熟度を待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。
| 成熟期・収穫 | 晩生(生育期間138〜161日) |
| 木の勢い | 中(1年枝は細め) |
| 収量 | 多い(1 haあたり10〜12トン) |
成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。
STYLE 01
クリーンな果実味と高い酸。最も多く流通する白。
カヘティ全域で造られ、アラザニ渓谷を中心に、近代的な設備を持つワイナリーが広く生産しています。
STYLE 02
果皮・種ごとクヴェヴリで冬を越す、カヘティ式の代表。
カヘティのマラニ(醸造場)で、家庭からワイナリーまで伝統が続いています。
STYLE 03
酸の骨格に芳香が重なる、ジョージアの古典的な白。
アラザニ川右岸、テラヴィ市の特定区域で造られるPDOツィナンダリ。ルカツィテリを主体に、ムツヴァネ・カフリが香りを添えます。
05 — ブドウとしての性質
黄金色がかった黄色の粒に、3つに裂けた丸い葉。畑でルカツィテリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。
| 果皮 | 薄く丈夫 |
| 果粉 | 中程度 |
| 果肉・果汁 | 多汁 |
| 房の重さ | 平均160〜200g(密な房は300〜400g) |
| 葉の切れ込み | 中程度 |
| 葉の表 | 濃い緑 |
| 葉の裏 | クモの巣状の毛。下のほうの葉ほど密 |
出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。
06 — PDOと産地
PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「ツィナンダリ」「グルジャアニ」とあれば、多くはルカツィテリが主役の白。ルカツィテリを使う10のPDOのうち、まずは代表的な5つを紹介します。
辛口白・辛口赤ツィナンダリカヘティ(テラヴィ)ルカツィテリ85%以上、ムツヴァネ・カフリ15%以下(白)/ サペラヴィ(赤)
辛口白・辛口赤ナパレウリカヘティ(テラヴィ)ルカツィテリ(白)/ サペラヴィ(赤)
辛口白グルジャアニカヘティ(グルジャアニ)ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリを約15%まで)
辛口白ヴァジスバニカヘティ(グルジャアニ)ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリを約15%まで)
辛口アンバー・酒精強化白カルデナヒカヘティ(グルジャアニ)ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで)ボトルの写真はイメージです。
| PDO | 区域 | タイプ | 使用品種 |
|---|---|---|---|
| コトヒKotekhi | カヘティ(グルジャアニ) | 辛口白・辛口赤 | ルカツィテリ(白)/ サペラヴィ(赤) |
| ティバアニTibaani | カヘティ(シグナギ) | 辛口アンバー | ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで) |
| ツァラピTsarapi | カヘティ(グルジャアニ) | 辛口アンバー | ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリ・ヒフヴィを合わせて15%まで) |
| カヘティKakheti (Kakhuri) | カヘティ全域 | 白・赤・ロゼ・アンバー(辛口〜甘口。地方全体の呼称) | 白・アンバー: ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、キシ、ヒフヴィほか / 赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか |
| ボルニシBolnisi | カルトリ(ボルニシ) | 辛口の白・アンバー・赤・ロゼ | 白・アンバー: ルカツィテリ、チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ / 赤: サペラヴィ、タヴクヴェリ、シャヴカピト、アスレトゥリ・シャヴィ |
07 — よくある質問
ルカツィテリはジョージアでいちばん多い品種? ツィナンダリとの関係は? 気になる9つの疑問に、短く答えます。
ジョージアで最も広く栽培される白ブドウ品種で、東部のカヘティ地方を主産地とします。しっかりした酸と穏やかな香りを持ち、ステンレスタンクの辛口白から、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワインまで幅広く使われます。
はい。白ブドウ品種で、辛口白、クヴェヴリ醸造のアンバーワイン、ツィナンダリなどのブレンドに使われます。
はい。国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では登録面積18,239 haで、全体の約46%を占める最大の品種です。2位のサペラヴィと合わせると全体の約9割になります。
辛口白では、青リンゴ、柑橘、かりん、白い花の控えめな香りに、高い酸が全体を引き締めるクリーンな味わいです。アンバーワインでは琥珀色になり、紅茶、ドライフルーツ、胡桃の風味とタンニンが現れます。
辛口白は白身魚、天ぷら、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズなど、和食とも合わせやすいのが特徴です。クヴェヴリ醸造のアンバーは、発酵食品や熟成チーズ、スパイス料理と合わせます。
ツィナンダリは品種名ではなく、PDO(原産地呼称)の名前です。カヘティのテラヴィ周辺の区域で、白はルカツィテリ85%以上にムツヴァネ・カフリを15%まで加えて造り、赤はサペラヴィで造ると定められています。
ジョージア語で「赤い角(つの)」、転じて「赤い枝」という意味です(rka=角・枝、tsiteli=赤)。白ブドウですが、若い枝が赤みを帯びることに由来します。
同じ品種です。「ルカチテリ」「カツィテリ」は日本語表記の揺れで、ラテン文字では Rkatsiteli、ジョージア語では რქაწითელი と書きます。本サイトでは「ルカツィテリ」に統一しています。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。辛口白ならツィナンダリやグルジャアニ、アンバーならカルデナヒと、ラベルのPDO名を手がかりにすると選びやすくなります。
08 — 飲んでみる
読んだあとは、グラスで確かめる番です。辛口の白からクヴェヴリのアンバー、ツィナンダリのブレンドまで、ジョージアワイン専門店であなたの好きなルカツィテリを見つけてください。
ルカツィテリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に10116番で登録され、DNAの型も複数の研究で公表されています。ジョージア国内外の研究機関で遺伝資源として保存され、新しい品種を生む交配の親としても使われてきました。
このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。
18,239 ha(全体の約46%、最大)
政府統計登録番号 10116。原産国ジョージア
国際データベース