白品種 ・ ワイン用 ・ 品種登録番号 10116

ルカツィテリ

Rkatsiteli ・ რქაწითელი

ルカツィテリは、ジョージアで最も広く栽培される白ブドウ品種です。しっかりした酸と穏やかな香りを持ち、ステンレスタンクの辛口白からクヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワインまで、あらゆるスタイルの土台となります。PDO(原産地呼称)ツィナンダリの主体品種であり、旧ソ連圏を中心に国外でも栽培されています。

ルカツィテリの房の接写。黄金色がかった楕円形の果粒が密に付いた円筒円錐形の房と、濃い緑の3裂の葉。垣根仕立ての畑(イメージ)
栽培面積
18,239ha
全品種で最大(2023年)
主産地
カヘティ
アラザニ渓谷が中心
使用品種に挙げるPDO
10件
ツィナンダリ、グルジャアニなど
収穫
9月末〜
晩生・商業栽培
根拠の強さ
A
A〜E でもっとも確か。DNAで品種を確認済み

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

ルカツィテリの意味は「赤い角」。

რქაწითელი=赤い角

ルカツィテリ(რქაწითელი)は、ジョージア語のrka(角、転じて枝)とtsiteli(赤)からなる名前です。白ブドウですが、若い枝が赤みを帯びることから付いた名前です。日本語では「ルカチテリ」とも書かれ、どちらも同じ品種です。

02 — いちばん多いブドウ

ジョージアのブドウ畑の、約半分。

ジョージアのワインで、いちばん多く使われているブドウは? 答えは白のルカツィテリです。国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では、全登録面積のほぼ半分を占めています。

ジョージアで最も広く栽培されるブドウ品種。2位のサペラヴィと合わせると、全体の約9割になります。

辛口からアンバーまで

酸を保ったまま熟すので、すっきりした辛口白にも、果皮ごと醸すアンバーワインにも向きます。

ツィナンダリの主役

ジョージアの古典的な白、PDO(原産地呼称)ツィナンダリの主体品種です。

国境を越えて

寒さに比較的強いことも一因となり、旧ソ連圏を中心に国外でも栽培されています。

03 — 味わい

ルカツィテリの味わいとは?

穏やかな香りに、しっかりした酸。

辛口白の場合の目安です。

香り

青リンゴ、柑橘、かりん、白い花の控えめな香り。高い酸が全体を引き締め、クリーンで飲み疲れしない辛口白になります。

アンバーワインでは

クヴェヴリで醸すと琥珀色になり、紅茶、ドライフルーツ、胡桃の風味と、白ワインにはないタンニンが現れます。

国際品種で例えると

酸が高く香りは控えめな辛口白で、樽を使わないシャルドネやミュスカデのような食中酒が目安です。

ルカツィテリの白ワインをグラスで楽しむ夕食の食卓。窓の外に暮れかけたトビリシの丘の灯り(イメージ)

合わせる料理

白身魚と天ぷら、和食にも。

辛口白は白身魚、天ぷら、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズと。アンバーは発酵食品や熟成チーズ、スパイス料理に合わせます。

04 — スタイル

辛口、アンバー、ブレンド。3つのスタイル。

同じルカツィテリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月末から10月にかけて収穫が続き、辛口の白は酸を残して早めに、クヴェヴリのアンバーは果皮の熟度を待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

カヘティでのルカツィテリの収穫。垣根仕立ての畑で、黄金色の房を詰めた収穫箱を車へ手渡す(イメージ)
ルカツィテリの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫晩生(生育期間138〜161日)
木の勢い中(1年枝は細め)
収量多い(1 haあたり10〜12トン)

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

辛口白(近代的製法)

クリーンな果実味と高い酸。最も多く流通する白。

造り
ステンレスタンク、果皮接触なし
色
淡い麦わら色
味わい
クリーンな果実味と高い酸

カヘティ全域で造られ、アラザニ渓谷を中心に、近代的な設備を持つワイナリーが広く生産しています。

STYLE 02

クヴェヴリ・アンバー

果皮・種ごとクヴェヴリで冬を越す、カヘティ式の代表。

造り
果皮・種とともにクヴェヴリで越冬
色
琥珀色
香り
紅茶・ドライフルーツ
味わい
しっかりしたタンニン

カヘティのマラニ(醸造場)で、家庭からワイナリーまで伝統が続いています。

STYLE 03

ブレンド(ツィナンダリ)

酸の骨格に芳香が重なる、ジョージアの古典的な白。

造り
ルカツィテリ主体にムツヴァネ・カフリを加える
味わい
酸の骨格に華やかな香り

アラザニ川右岸、テラヴィ市の特定区域で造られるPDOツィナンダリ。ルカツィテリを主体に、ムツヴァネ・カフリが香りを添えます。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

黄金色がかった黄色の粒に、3つに裂けた丸い葉。畑でルカツィテリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。

ルカツィテリの特徴の解説図。円筒〜円筒円錐形で中〜密の房、黄金色がかった黄の果皮、楕円形の果粒、多汁な果肉、主に3裂で中程度の切れ込みの葉(イメージ)
果皮色
黄金色がかった黄
果粉(粒の表面の白い粉)は中程度
果粒
楕円
長さ16.8〜19.2mm、幅15.6〜18mm
房
円筒〜円錐形
長さ12〜24cm、幅5〜12cm。粒のつき方は中〜密
葉
3つに裂ける
全体は丸い形
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、房の重さ、葉の表と裏)
ルカツィテリの形態
果皮薄く丈夫
果粉中程度
果肉・果汁多汁
房の重さ平均160〜200g(密な房は300〜400g)
葉の切れ込み中程度
葉の表濃い緑
葉の裏クモの巣状の毛。下のほうの葉ほど密

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

ルカツィテリで造る、10のPDOワイン。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「ツィナンダリ」「グルジャアニ」とあれば、多くはルカツィテリが主役の白。ルカツィテリを使う10のPDOのうち、まずは代表的な5つを紹介します。

ボトルの写真はイメージです。

ほかのPDOを見る(5件)
ルカツィテリを使用品種に挙げるそのほかのPDO
PDO区域タイプ使用品種
コトヒKotekhiカヘティ(グルジャアニ)辛口白・辛口赤ルカツィテリ(白)/ サペラヴィ(赤)
ティバアニTibaaniカヘティ(シグナギ)辛口アンバールカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで)
ツァラピTsarapiカヘティ(グルジャアニ)辛口アンバールカツィテリ(ムツヴァネ・カフリ・ヒフヴィを合わせて15%まで)
カヘティKakheti (Kakhuri)カヘティ全域白・赤・ロゼ・アンバー(辛口〜甘口。地方全体の呼称)白・アンバー: ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、キシ、ヒフヴィほか / 赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか
ボルニシBolnisiカルトリ(ボルニシ)辛口の白・アンバー・赤・ロゼ白・アンバー: ルカツィテリ、チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ / 赤: サペラヴィ、タヴクヴェリ、シャヴカピト、アスレトゥリ・シャヴィ

07 — よくある質問

よくある質問。

ルカツィテリはジョージアでいちばん多い品種? ツィナンダリとの関係は? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

ルカツィテリとは、どんなブドウですか?

ジョージアで最も広く栽培される白ブドウ品種で、東部のカヘティ地方を主産地とします。しっかりした酸と穏やかな香りを持ち、ステンレスタンクの辛口白から、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワインまで幅広く使われます。

ルカツィテリは白ワインの品種ですか?

はい。白ブドウ品種で、辛口白、クヴェヴリ醸造のアンバーワイン、ツィナンダリなどのブレンドに使われます。

ルカツィテリはジョージアで最も多い品種ですか?

はい。国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では登録面積18,239 haで、全体の約46%を占める最大の品種です。2位のサペラヴィと合わせると全体の約9割になります。

ルカツィテリの味の特徴は?

辛口白では、青リンゴ、柑橘、かりん、白い花の控えめな香りに、高い酸が全体を引き締めるクリーンな味わいです。アンバーワインでは琥珀色になり、紅茶、ドライフルーツ、胡桃の風味とタンニンが現れます。

ルカツィテリに合う料理は?

辛口白は白身魚、天ぷら、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズなど、和食とも合わせやすいのが特徴です。クヴェヴリ醸造のアンバーは、発酵食品や熟成チーズ、スパイス料理と合わせます。

ツィナンダリとルカツィテリの関係は?

ツィナンダリは品種名ではなく、PDO(原産地呼称)の名前です。カヘティのテラヴィ周辺の区域で、白はルカツィテリ85%以上にムツヴァネ・カフリを15%まで加えて造り、赤はサペラヴィで造ると定められています。

ルカツィテリという名前の意味は?

ジョージア語で「赤い角(つの)」、転じて「赤い枝」という意味です(rka=角・枝、tsiteli=赤)。白ブドウですが、若い枝が赤みを帯びることに由来します。

「ルカチテリ」と「ルカツィテリ」は同じ品種ですか?

同じ品種です。「ルカチテリ」「カツィテリ」は日本語表記の揺れで、ラテン文字では Rkatsiteli、ジョージア語では რქაწითელი と書きます。本サイトでは「ルカツィテリ」に統一しています。

ルカツィテリのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。辛口白ならツィナンダリやグルジャアニ、アンバーならカルデナヒと、ラベルのPDO名を手がかりにすると選びやすくなります。

出典と検証。

ルカツィテリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に10116番で登録され、DNAの型も複数の研究で公表されています。ジョージア国内外の研究機関で遺伝資源として保存され、新しい品種を生む交配の親としても使われてきました。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月3日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さA(DNA・保存株。DNAで品種を確認済み)
主要出典VIVC、国立ワイン庁(ブドウ畑カダストル2023)、査読論文

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

2023
国立ワイン庁 ブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録)

18,239 ha(全体の約46%、最大)

政府統計
2026
VIVC

登録番号 10116。原産国ジョージア

国際データベース