山側の褐色土
2005年6〜7月の調査にもとづき、仕様書は土壌を9種に分けています。区域の上部(山側)は森林褐色土・褐色土・草地褐色土で、厚さ70〜100cm、腐植層30〜50cm。中〜重い粘土質が主体です。仕様書は村ごとの畑の名前で土壌を対応づけており、ツィナンダリ村の「テリアニ」区画は草地褐色土に当たります。
ジョージアの辛口白ワイン ・ カヘティ ・ PDO
Tsinandali ・ წინანდალი
ツィナンダリ(Tsinandali、チナンダリとも)とは、ジョージア・カヘティ地方のアラザニ川右岸、テラヴィ市の特定区域で、ルカツィテリ(85%以上)とムツヴァネ・カヘティから造られる辛口の白ワインです。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。仕様書は自然に流れ出た果汁を20℃以下で完全に発酵させる製法、残糖4g/L以下、アルコール11%以上を定めています。19世紀の貴族チャフチャヴァゼの領地に始まり、1892年のシカゴ万博で最高評価を得た、ジョージアワインの旗艦と呼ばれる白。同じ区域のサペラヴィから造る赤のツィナンダリも仕様書に定められています。2005年に登録番号3として登録。
出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。
01 — 規定
仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。数字は白のツィナンダリのもので、赤の値は一覧表に載せています。
| タイプ | 白・辛口(色は淡い麦わら色)と、赤・辛口(色は濃い赤)の2種 |
| 使用品種 | 白: ルカツィテリ85%以上、ムツヴァネ・カヘティ15%以下。赤: サペラヴィのみ。他品種の使用は禁止 |
| 地域・区域 | カヘティ地方テラヴィ市、アラザニ川右岸(北緯41°54′・東経45°35′)。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東の森の斜面から山麓・アラザニ渓谷まで。北西をチュマ渓谷、南東をアクリ渓谷に区切られ、アクラ、ヴァンタ、ブシェティ、クヴェモ・ホダシェニ、ツィナンダリ、キシスヘヴィ、コンドリ、ナサムフラリ、シャラウリ、クルドゲラウリ、ヴァルディスバニ、ルイスピリ、カラジャラ、グルグラ、イカルトの15村を含む |
| 畑 | 標高350〜700m。畝間1〜3m、株間0.8〜1.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由 |
| 収穫と輸送 | 完熟ブドウのみ、収穫時の糖度19%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台。ポリエチレンの袋は使用不可 |
| 収量 | ルカツィテリとサペラヴィは10t/ha以下、ムツヴァネ・カヘティは8t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下 |
| 製法 | 白: 自然に流れ出た果汁(フリーラン)を静置してから20℃以下で完全発酵、その後亜硫酸添加。赤: 除梗した果醪を30℃以下で完全発酵、マロラクティック発酵、亜硫酸添加 |
| 成分 | 白: アルコール11%以上(総15%以下)、残糖4g/L以下、酸度5g/L以上、揮発酸1g/L以下、エキス分16g/L以上、総亜硫酸200mg/L以下。赤: アルコール11%以上、残糖4g/L以下、酸度5g/L以上、揮発酸1.2g/L以下、エキス分22g/L以上、総亜硫酸150mg/L以下 |
| 熟成 | 任意。熟成せずに瓶詰めしてもよい。熟成する場合は木樽で6か月以上 |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限る。醸造は区域内、または区域外でもカヘティ栽培地域内であれば可。流通は瓶詰めのみ |
| 表示 | ラテン文字で「TSINANDALI」、「Protected Designation of Origin」または「PDO」 |
| 登録・管理 | 登録番号3、2005年8月30日。申請者・管理機関は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版、2023年1月印刷)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。
02 — 産地
ツィナンダリの区域は、アラザニ渓谷の南側(右岸)、テラヴィ市の一帯です。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東を向く森の斜面から、山麓、そしてアラザニ渓谷の平地まで。北西をチュマ渓谷、南東をアクリ渓谷に区切られ、畑は標高350〜700mに広がります。
仕様書は区域を15の村で示しています。アクラ、ヴァンタ、ブシェティ、クヴェモ・ホダシェニ、ツィナンダリ、キシスヘヴィ、コンドリ、ナサムフラリ、シャラウリ、クルドゲラウリ、ヴァルディスバニ、ルイスピリ、カラジャラ、グルグラ、イカルト。土壌の説明は村ごとの畑の名前(ツィナンダリ村の「テリアニ」区画など)にまで及び、テリアニはそれ自体が別のPDOの名前でもあります。
地域
ジョージア最大のワイン産地。アラザニ渓谷の北側(左岸)と南側(右岸)で土壌と日照が異なり、PDOの区分にも反映されています。
区域内の畑の名前を持つ、別の呼称
ツィナンダリ村の「テリアニ」区画に由来する、カベルネ・ソーヴィニヨンの辛口赤のPDO。同じテラヴィの右岸にあります。
03 — 気候と土壌
仕様書は、穏やかな冬と暑い夏、多くの日照、そして炭酸塩を含む粘土質の褐色土が、ルカツィテリとサペラヴィの品質をつくると説明しています。
年間の日照は2,300時間を超える。快晴の日は年に52〜82日、生育期に36〜55日。仕様書は、この日射と暑い夏、穏やかな冬の組み合わせを、ツィナンダリの品質の第一の条件に挙げています。
2005年6〜7月の調査にもとづき、仕様書は土壌を9種に分けています。区域の上部(山側)は森林褐色土・褐色土・草地褐色土で、厚さ70〜100cm、腐植層30〜50cm。中〜重い粘土質が主体です。仕様書は村ごとの畑の名前で土壌を対応づけており、ツィナンダリ村の「テリアニ」区画は草地褐色土に当たります。
山麓から渓谷へ下ると、崩積・沖積性の土壌がより深く(100〜150cm、腐植層40〜50cm)なり、アラザニ段丘の縁には沖積土が並びます。腐植は1.0〜2.5%と少なく、炭酸カルシウムは2.5〜16%、pHはアルカリ性。仕様書は、この炭酸塩と礫を含む土壌が高品質のワインの条件をつくると記しています。
気候と土壌の数値は、仕様書 第9章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。気温の絶対最低は−10℃、極値は−23℃と+38℃。卓越風は西(33%)と東(23%)、平均風速1.7m/s、強風の日は年10日。
04 — 品種
白のツィナンダリはルカツィテリ85%以上に、ムツヴァネ・カヘティを15%まで。赤のツィナンダリはサペラヴィのみ。どちらも他品種は禁止で、ブドウは区域内の畑で収穫したものに限られます。
Rkatsiteli ・ 白
カヘティで最も広く植えられる白品種。高い酸と控えめな香りが、ムツヴァネの華やかさを受け止める土台になる。
15%まで加えられる品種
「緑」を意味する名の白品種。花や果実の香りをワインに添える役割で、収量はルカツィテリより低い8t/haに制限されています。
赤のツィナンダリ
同じ区域のサペラヴィから造る辛口赤も、仕様書は「ツィナンダリ」と定めています。除梗して30℃以下で完全発酵し、マロラクティック発酵を行います。
05 — 造り方
白のツィナンダリは、自然に流れ出た果汁を静置してから20℃以下で完全に発酵させる、澄んだ造り。仕様書が定める流れを、畑から出荷まで順に追います。
使えるのは完熟したブドウだけ。収穫時の糖度は19%以上。収量はルカツィテリ10t/ha、ムツヴァネ8t/ha以下です。
輸送は木箱かプラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台で。ポリエチレンの袋は使えません。
白は圧搾せず自然に流れ出た果汁(フリーラン)を使い、発酵の前に静置して澱を沈めます。
白は20℃以下で完全にアルコール発酵し、最後に亜硫酸を加えます。糖は4g/L以下、アルコールは11%以上に。熟成は任意で、行うなら木樽で6か月以上。
醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内。流通できるのは瓶に詰めたものだけで、ラベルには「TSINANDALI」と「PDO」の表示が入ります。
06 — 歴史
仕様書によれば、ツィナンダリは19世紀の貴族アレクサンドレ・チャフチャヴァゼの領地でジョージアのワイン造りの近代化が始まった場所であり、いまもジョージアワインの旗艦とみなされています。
07 — 味わい
草原の花と、柑橘の香り。
白: 淡い麦わら色。完成度が高く、繊細でやわらかく調和がとれ、快活で上品。土地を特徴づける香りに、草原の花・果実・柑橘のトーン。熟成により果実のブーケが強く現れる。
濃い赤色。完成度が高く、フルで抽出感があり、ベルベットのようで調和がとれ、土地を特徴づける香りを持つ。熟成により果実のブーケが強く現れる。流通量は白よりはるかに少ないとされます。
白はよく冷やして(8〜12℃前後)供されることが多く、川魚や鶏、ハーブとクルミを使うジョージア料理、チーズと合わせる例が紹介されます。
08 — 似たPDOと比べる
カヘティの辛口白のPDOは、品種と畑の場所で名前が分かれます。数値は各PDOの仕様書によります。
09 — 名乗る条件
区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、ツィナンダリを名乗れます。


ツィナンダリはテラヴィ市の村の名前で、チャフチャヴァゼの領地と宮殿で知られます。PDOの区域は村より広く、周辺の15村を含みます。ラベルの「ツィナンダリ」はPDO名であり、ツィナンダリ村の畑に限られるわけではありません。
ツィナンダリの白は必ずルカツィテリが主体ですが、ルカツィテリのワインがすべてツィナンダリなわけではありません。区域外の畑のもの、ムツヴァネが15%を超えるもの、クヴェヴリで果皮とともに醸したアンバーワインは、ツィナンダリと名乗れません。
名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。
10 — よくある質問
ジョージア東部カヘティ地方、アラザニ川右岸のテラヴィ市の特定区域で、白ブドウのルカツィテリ(85%以上)とムツヴァネ・カヘティから造られる辛口の白ワインです。自然に流れ出た果汁を低温で完全に発酵させる製法が仕様書で定められ、残糖4g/L以下、アルコール度数11%以上。名前は産地呼称(PDO)で、2005年に登録されました。仕様書は同じ区域のサペラヴィから造る赤のツィナンダリも定めています。
いいえ、辛口です。仕様書は残糖を4g/L以下と定めています。淡い麦わら色で、草原の花・果実・柑橘の香りを持ち、酸度5g/L以上の骨格を備えます。
はい。仕様書は白(ルカツィテリ + ムツヴァネ)と赤(サペラヴィのみ)の2種を定めています。赤は濃い赤色の辛口で、除梗した果醪を30℃以下で完全発酵させ、マロラクティック発酵を行います。市場で見かけるツィナンダリの多くは白です。
白はルカツィテリ85%以上とムツヴァネ・カヘティ15%以下、赤はサペラヴィのみです。他品種の使用は禁止されています。ブドウは区域内の畑で収穫したものに限られ、収穫時の糖度は19%以上、収量はルカツィテリとサペラヴィが10t/ha以下、ムツヴァネが8t/ha以下です。
ジョージア東部、カヘティ地方のテラヴィ市、アラザニ川の右岸です。ツィヴ・ゴンボリ山系の森の斜面から山麓、アラザニ渓谷までの一帯で、仕様書はアクラ、ヴァンタ、ブシェティ、クヴェモ・ホダシェニ、ツィナンダリ、キシスヘヴィ、コンドリ、ナサムフラリ、シャラウリ、クルドゲラウリ、ヴァルディスバニ、ルイスピリ、カラジャラ、グルグラ、イカルトの15村を区域としています。醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内で行います。
仕様書によれば、19世紀初めにアレクサンドレ・チャフチャヴァゼの領地で近代的なワイン造りが始まり、1880年からは帝室領地局のもとで高品質のワインが造られ、1892年のシカゴ万博で最高評価を得ました。1990年までに金10・銀9のメダルを受け、PDOとしての登録は2005年8月30日(登録番号3)です。
いいえ。現行の仕様書では熟成は任意で、熟成せずに瓶詰めしてもかまいません。熟成を行う場合は木樽で6か月以上と定められています。熟成の有無や長さは生産者やラベルの情報で確認します。
いいえ。ツィナンダリは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「TSINANDALI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。ジョージアの白でよく見かける呼称のひとつで、辛口の白を探すときの目印になります。
11 — 飲んでみる
ここまで読んだツィナンダリを、グラスで確かめる。ジョージアワイン専門店で、生産者ごとの違いを選べます。
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「ツィナンダリ」仕様書(登録番号3、2005年8月30日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。