単一品種ではない
ツィナンダリは品種名ではなく、ルカツィテリ主体のブレンドを定めたPDO名です。ルカツィテリ100%でも規定(85%以上)には適合しますが、「ツィナンダリ=ルカツィテリ」と同一視するのは正確ではありません。
国立ワイン庁(National Wine Agency)が公開する仕様書(英訳版)の主要規定を要約しています。
| タイプ | 白・辛口。仕様書は赤・辛口(サペラヴィ100%)も併せて規定するが、一般に流通するツィナンダリは白 |
| 使用品種(白) | ルカツィテリ85%以上、ムツヴァネ・カフリ15%以下。他品種の使用は禁止 |
| 地域・区域 | カヘティ地方テラヴィ市、アラザニ川右岸。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面から山麓・アラザニ渓谷にかけて。北西をチュマ渓谷、南東をアクリ渓谷に区切られる。15村(アクラ、ヴァンタ、ブシェティ、クヴェモ・ホダシェニ、ツィナンダリ、キシスヘヴィ、コンドリ、ナサムフラリ、シャラウラ、クルドゲラウリ、ヴァルディスバニ、ルイスピリ、カラジャラ、グルグラ、イカルト)を含む |
| 標高 | 畑は標高350〜700m |
| 熟成規定 | 熟成は任意(熟成せずに瓶詰めも可)。熟成する場合は木樽で6か月以上。消費者市場では瓶詰めのみ |
| 甘辛 | 辛口。残糖4g/L以下 |
| アルコール | 実アルコール11%以上(総アルコール15%以下) |
| 製法(白) | 自然流下の果汁(フリーラン果汁)を澱下げしたのち、20℃以下で完全発酵。果皮の浸漬は行わない |
| 収量・糖度 | ルカツィテリ10t/ha以下、ムツヴァネ・カフリ8t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下。収穫時の糖度19%以上 |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限る。醸造は区域内、または区域外でもカヘティ栽培地域内であれば可 |
| 登録 | 登録番号3、2005年8月30日。申請者は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版、2023年1月印刷)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。国立ワイン庁の登録ページ(英語)
ツィナンダリの区域は、カヘティの中心都市テラヴィを囲む、アラザニ渓谷の南側(右岸)の一帯です。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面から山麓、そしてアラザニ川の段丘へと下ります。
仕様書によれば、気候は夏が暑く冬が穏やかな「やや湿潤」型で、年間日照は2,300時間超、年間降水量は約845mm(5月が最多)。土壌は上部が褐色森林土・褐色土、下部が沖積土・崖錐性の土壌で、炭酸カルシウムを含みます。畑は標高350〜700mに分布します。
1835年、アレクサンドレ・チャフチャヴァゼが領地の整備のために融資を受け、ツィナンダリ村に実験室を備えた大規模なワインセラーを建てました。1880年代以降はロシア帝室領の管理下で約2,000haが集約され、1886〜87年に新しい醸造工場と宮殿が建設。1892年のシカゴ万国博覧会では「ルカツィテリ・ツィナンダリ」「サペラヴィ・ツィナンダリ」などが最高評価を受けています。
カヘティ地方のページへ白のツィナンダリは、ルカツィテリ85%以上にムツヴァネ・カフリを15%まで加えるブレンドです。単一品種ではなく、この比率そのものが呼称の規定です。
以下は一般的傾向です。樽熟成の有無やムツヴァネ・カフリの比率により、生産者ごとの印象は異なります。
品種としてのルカツィテリの味わいプロファイルはルカツィテリのページを、料理との相性はペアリングを参照してください。
ツィナンダリは品種名ではなく、ルカツィテリ主体のブレンドを定めたPDO名です。ルカツィテリ100%でも規定(85%以上)には適合しますが、「ツィナンダリ=ルカツィテリ」と同一視するのは正確ではありません。
ツィナンダリはテラヴィ市の村名であり、チャフチャヴァゼ家の宮殿と庭園(現在は博物館)の名でもあります。PDOの区域は村より広く、周辺15村を含みます。
複数の生産者が「ツィナンダリ」の名でワインを販売しています。これは商標ではなくPDO名で、いずれも仕様書の区域・品種比率・製法に適合している必要があります。
カヘティの白といっても、ツィナンダリは果汁のみを発酵させる製法が規定されており、果皮を漬け込むカヘティ式のアンバーワインとは別物です。アンバーワインの解説へ
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「ツィナンダリ」仕様書(登録番号3、2005年8月30日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。
検証レベルの定義は方法論、出典の一覧は出典ページを参照してください。
国立ワイン庁のPDO一覧(英語)