白品種 ・ ワイン用 ・ 品種登録番号 8121

ムツヴァネ・カフリ

Mtsvane Kakhuri ・ მწვანე კახური

ムツヴァネ・カフリは、ジョージア東部カヘティで栽培される芳香系の白ブドウ品種です。ルカツィテリと並ぶカヘティの白の基幹品種で、単一品種の辛口白、PDO(原産地呼称)ツィナンダリのブレンド、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワインと幅広く使われます。

ムツヴァネ・カフリの房の接写。熟しても緑が残る黄緑色の楕円形の果粒が密に付いた肩付きの房と、深い切れ込みの5裂の葉(イメージ)
栽培面積
1,078ha
カヘティの白で2番目(2023年)
使用品種に挙げるPDO
9件
マナヴィ、ツィナンダリなど
主産地
カヘティ
アラザニ渓谷とイオリ高原
収穫
9月半ば〜
中晩生・商業栽培
根拠の強さ
B
公的資料。国際登録簿と国立ワイン庁の資料で確認

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

ムツヴァネ・カフリの意味は「カヘティの緑」。

მწვანე კახური=カヘティの緑

「ムツヴァネ」は緑、「カフリ」は「カヘティの」という意味で、熟しても緑がかった黄色を保つ粒の色から付いた名前です。カルトリのゴルリ・ムツヴァネなど「ムツヴァネ」を名乗る別の品種もあるので、ラベルでは「カフリ」や産地のカヘティまで見ると確実です。日本語では「ムツワネ」とも書かれます。

02 — 香りを添える白

酸の白に、香りを重ねる。

ツィナンダリの辛口白は、なぜ香り高いのか。答えは、ルカツィテリに加えるムツヴァネ・カフリにあります。桃や白い花の芳香が、ルカツィテリの酸の骨格に重なります。

ツィナンダリでは、ルカツィテリ85%以上に、ムツヴァネ・カフリ15%以下。グルジャアニやヴァジスバニでも、約15%まで加えられます。

単独でも主役

PDOマナヴィは、ムツヴァネ・カフリだけで造る辛口白を定めています。

香りと酸が補い合う

香りが華やかで酸の穏やかなムツヴァネ・カフリと、酸の高いルカツィテリ。この対照が、ブレンドの古典的な理由です。

アフメタでも主役

カヘティ北部のPDOアフメタは、ムツヴァネ・カフリの白を辛口から天然の半甘口まで定めています。

03 — 味わい

ムツヴァネ・カフリの味わいとは?

香りが、主役の白。

辛口白の場合の目安です。

香り

白桃、熟したリンゴ、杏、柑橘、白い花に、ハーブや若草を思わせる緑のニュアンス。ルカツィテリより香りが華やかです。

アンバーワインでは

クヴェヴリで醸すと琥珀色になり、ドライアプリコット、蜂蜜、紅茶、ナッツの香りと明確なタンニンが加わります。

国際品種で例えると

香りの華やかさが前に出る白です。ヴィオニエやトロンテスのような芳香系の白に近いイメージです。

ムツヴァネ・カフリの白ワインを、トビリシ旧市街の中庭のテーブルでパンや前菜と楽しむ昼下がり(イメージ)

合わせる料理

ハーブの料理と、山羊のチーズ。

辛口白はハーブを効かせた鶏肉や魚料理、ジョージアの香草サラダ、山羊のフレッシュチーズ、香味野菜を使った和食と。アンバーは胡桃ソースの料理や熟成チーズ、スパイスの効いた料理に。

04 — スタイル

単一品種の辛口、ブレンド、アンバー。3つのスタイル。

同じムツヴァネ・カフリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月半ばから収穫が始まり、香りと酸を残すため過熟を避けて摘みます。果皮が薄く傷みやすいので、収穫から仕込みまでを急ぎます。好みのスタイルを見つけてください。

カヘティでのムツヴァネ・カフリの収穫。垣根仕立ての畑で、黄緑色の房を詰めた収穫箱を二人で運ぶ(イメージ)
ムツヴァネ・カフリの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫中晩生
木の勢い中
収量比較的多い、結実は早い

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

辛口白・単一品種(近代的製法)

桃と白い花の芳香。若いうちに楽しむ辛口の白。

造り
ステンレスタンク、果皮接触なし
色
緑がかった淡い色調
香り
桃と白い花
味わい
フレッシュな酸

代表的な産地は、カヘティ西部サガレジョ市のPDOマナヴィです。

STYLE 02

ブレンド(ツィナンダリ)

ルカツィテリの酸に、ムツヴァネ・カフリの芳香が重なる古典。

造り
ルカツィテリ主体にムツヴァネ・カフリを加える
味わい
酸の骨格に華やかな香り

アラザニ川右岸、テラヴィ市の特定区域で造られるPDOツィナンダリです。

STYLE 03

クヴェヴリ・アンバー

芳香系品種ならではの、華やかなアンバー。

造り
果皮・種とともにクヴェヴリで醸す
色
琥珀色
香り
杏・蜂蜜
味わい
しっかりしたタンニン

カヘティ全域で、各家庭やワイナリーのマラニ(醸造場)に伝統が続いています。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

緑がかった黄色の粒に、深く5つに裂けた葉。畑でムツヴァネ・カフリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。

ムツヴァネ・カフリの特徴の解説図。幅広の円錐形で肩付きの密な房、熟しても緑が残る黄緑の果皮、楕円形の果粒、柔らかく透明な果肉と果汁、主に5裂で深い切れ込みの葉(イメージ)
果皮色
黄緑
果粉(粒の表面の白い粉)あり
果粒
楕円
長さ13.5〜18mm、幅12〜16mm
房
幅広の円錐形
長さ12〜17cm、幅9〜15cm。粒は密につく
葉
5つに裂ける
全体は丸い形
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、房の重さ、葉の表と裏)
ムツヴァネ・カフリの形態
果皮薄く果肉から離れやすい
果粉あり
果肉・果汁溶けるような果肉、果汁は透明
房の重さ平均165〜170g
葉の切れ込み深い〜非常に深い
葉の表濃い緑
葉の裏粗い毛がかなり密

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

ムツヴァネ・カフリを使う、9つのPDO。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「マナヴィ」とあればムツヴァネ・カフリの辛口白、「ツィナンダリ」ならルカツィテリとのブレンドです。ムツヴァネ・カフリを使う9つのPDOのうち、まずは代表的な5つを紹介します。

ボトルの写真はイメージです。

ほかのPDOを見る(4件)
ムツヴァネ・カフリを使用品種に挙げるそのほかのPDO
PDO区域タイプ使用品種
ティバアニTibaaniカヘティ(シグナギ)辛口アンバールカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで)
アフメタAkhmeta (Akhmetis Mtsvane)カヘティ(アフメタ)白(辛口〜天然半甘口)・アンバームツヴァネ・カフリのみ(アンバーはキシ・ヒフヴィを合わせて15%まで)
ツァラピTsarapiカヘティ(グルジャアニ)辛口アンバールカツィテリ(ムツヴァネ・カフリ・ヒフヴィを合わせて15%まで)
カヘティKakheti (Kakhuri)カヘティ全域白・赤・ロゼ・アンバー(辛口〜甘口。地方全体の呼称)白・アンバー: ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、キシ、ヒフヴィほか / 赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか

07 — よくある質問

よくある質問。

ムツヴァネとムツヴァネ・カフリは同じ? オレンジワインにもなる? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

ムツヴァネ・カフリとは、どんなブドウですか?

ジョージア東部カヘティの芳香系の白ブドウ品種です。ルカツィテリと並ぶカヘティの白の基幹品種で、単一品種の辛口白、ツィナンダリなどのブレンド、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワインに使われます。

ムツヴァネとムツヴァネ・カフリは同じですか?

「ムツヴァネ」はジョージア語で「緑」を意味し、いくつかの品種名に使われます。カヘティの「ムツヴァネ・カフリ」とカルトリの「ゴルリ・ムツヴァネ」は別の品種です。ラベルに「Mtsvane」とだけあってカヘティ産なら、通常はムツヴァネ・カフリを指します。

ムツヴァネ・カフリという名前の意味は?

ジョージア語で「カヘティの緑(のブドウ)」という意味です。「ムツヴァネ」は「緑」で、熟しても緑がかった黄色を保つ粒の色に由来し、「カフリ」は「カヘティの」を意味します。

ムツヴァネ・カフリの味の特徴は?

白桃、熟したリンゴ、杏、柑橘、白い花に、ハーブや若草を思わせる緑のニュアンスが特徴です。ルカツィテリより香りが華やかで、酸は穏やかです。

ムツヴァネ・カフリはアンバー(オレンジ)ワインにもなりますか?

なります。果皮・種とともにクヴェヴリで醸すと琥珀色になり、ドライアプリコット、蜂蜜、紅茶、ナッツの香りと明確なタンニンが加わります。

ムツヴァネ・カフリに合う料理は?

辛口白はハーブを効かせた鶏肉や魚料理、ジョージアの香草サラダ、山羊のフレッシュチーズ、和食なら香味野菜を使った料理が目安です。アンバーは胡桃ソースの料理、熟成チーズ、スパイスの効いた料理と合わせます。

ムツヴァネ・カフリを使うPDOは?

9件あります。マナヴィは辛口白を、アフメタは白を、ムツヴァネ・カフリだけで造ると定めています(アフメタのアンバーには、キシとヒフヴィを合わせて15%まで加えられます)。ツィナンダリ、グルジャアニ、ヴァジスバニなどでは、ルカツィテリに加える品種として使われます。

ムツヴァネ・カフリの栽培面積は?

国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では1,078 haです。ルカツィテリ、サペラヴィに次ぐ規模で、カヘティの白品種では2番目です。

ムツヴァネ・カフリのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。単一品種の辛口白ならマナヴィ、ルカツィテリとのブレンドならツィナンダリと、ラベルのPDO名を手がかりにすると選びやすくなります。

出典と検証。

ムツヴァネ・カフリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に8121番で登録され、原産国はジョージアと記されています。PDOツィナンダリやマナヴィの規定にも、使用品種として名前が挙がっています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

このページの検証状態

このページの検証状態
執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月4日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC と PDO の規定で確認)
主要出典VIVC、国立ワイン庁(ブドウ畑カダストル2023・PDOの規定)、品種図鑑

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

2023
国立ワイン庁 ブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録)

1,078 ha

政府統計
2026
VIVC

登録番号 8121。原産国ジョージア

国際データベース