単独でも主役
PDOマナヴィは、ムツヴァネ・カフリだけで造る辛口白を定めています。
01 — 名称
მწვანე კახური=カヘティの緑
「ムツヴァネ」は緑、「カフリ」は「カヘティの」という意味で、熟しても緑がかった黄色を保つ粒の色から付いた名前です。カルトリのゴルリ・ムツヴァネなど「ムツヴァネ」を名乗る別の品種もあるので、ラベルでは「カフリ」や産地のカヘティまで見ると確実です。日本語では「ムツワネ」とも書かれます。
02 — 香りを添える白
ツィナンダリの辛口白は、なぜ香り高いのか。答えは、ルカツィテリに加えるムツヴァネ・カフリにあります。桃や白い花の芳香が、ルカツィテリの酸の骨格に重なります。
ツィナンダリでは、ルカツィテリ85%以上に、ムツヴァネ・カフリ15%以下。グルジャアニやヴァジスバニでも、約15%まで加えられます。
PDOマナヴィは、ムツヴァネ・カフリだけで造る辛口白を定めています。
香りが華やかで酸の穏やかなムツヴァネ・カフリと、酸の高いルカツィテリ。この対照が、ブレンドの古典的な理由です。
カヘティ北部のPDOアフメタは、ムツヴァネ・カフリの白を辛口から天然の半甘口まで定めています。
03 — 味わい
香りが、主役の白。
辛口白の場合の目安です。
白桃、熟したリンゴ、杏、柑橘、白い花に、ハーブや若草を思わせる緑のニュアンス。ルカツィテリより香りが華やかです。
クヴェヴリで醸すと琥珀色になり、ドライアプリコット、蜂蜜、紅茶、ナッツの香りと明確なタンニンが加わります。
香りの華やかさが前に出る白です。ヴィオニエやトロンテスのような芳香系の白に近いイメージです。
合わせる料理
辛口白はハーブを効かせた鶏肉や魚料理、ジョージアの香草サラダ、山羊のフレッシュチーズ、香味野菜を使った和食と。アンバーは胡桃ソースの料理や熟成チーズ、スパイスの効いた料理に。
04 — スタイル
同じムツヴァネ・カフリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月半ばから収穫が始まり、香りと酸を残すため過熟を避けて摘みます。果皮が薄く傷みやすいので、収穫から仕込みまでを急ぎます。好みのスタイルを見つけてください。
| 成熟期・収穫 | 中晩生 |
| 木の勢い | 中 |
| 収量 | 比較的多い、結実は早い |
成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。
STYLE 01
桃と白い花の芳香。若いうちに楽しむ辛口の白。
代表的な産地は、カヘティ西部サガレジョ市のPDOマナヴィです。
STYLE 02
ルカツィテリの酸に、ムツヴァネ・カフリの芳香が重なる古典。
アラザニ川右岸、テラヴィ市の特定区域で造られるPDOツィナンダリです。
STYLE 03
芳香系品種ならではの、華やかなアンバー。
カヘティ全域で、各家庭やワイナリーのマラニ(醸造場)に伝統が続いています。
05 — ブドウとしての性質
緑がかった黄色の粒に、深く5つに裂けた葉。畑でムツヴァネ・カフリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。
| 果皮 | 薄く果肉から離れやすい |
| 果粉 | あり |
| 果肉・果汁 | 溶けるような果肉、果汁は透明 |
| 房の重さ | 平均165〜170g |
| 葉の切れ込み | 深い〜非常に深い |
| 葉の表 | 濃い緑 |
| 葉の裏 | 粗い毛がかなり密 |
出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。
06 — PDOと産地
PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「マナヴィ」とあればムツヴァネ・カフリの辛口白、「ツィナンダリ」ならルカツィテリとのブレンドです。ムツヴァネ・カフリを使う9つのPDOのうち、まずは代表的な5つを紹介します。
辛口白・辛口赤ツィナンダリカヘティ(テラヴィ)ルカツィテリ85%以上、ムツヴァネ・カフリ15%以下(白)/ サペラヴィ(赤)
辛口白グルジャアニカヘティ(グルジャアニ)ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリを約15%まで)
辛口白ヴァジスバニカヘティ(グルジャアニ)ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリを約15%まで)
辛口アンバー・酒精強化白カルデナヒカヘティ(グルジャアニ)ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで)
辛口白マナヴィカヘティ(サガレジョ)ムツヴァネ・カフリのみ(ほかの品種は使えない)ボトルの写真はイメージです。
| PDO | 区域 | タイプ | 使用品種 |
|---|---|---|---|
| ティバアニTibaani | カヘティ(シグナギ) | 辛口アンバー | ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで) |
| アフメタAkhmeta (Akhmetis Mtsvane) | カヘティ(アフメタ) | 白(辛口〜天然半甘口)・アンバー | ムツヴァネ・カフリのみ(アンバーはキシ・ヒフヴィを合わせて15%まで) |
| ツァラピTsarapi | カヘティ(グルジャアニ) | 辛口アンバー | ルカツィテリ(ムツヴァネ・カフリ・ヒフヴィを合わせて15%まで) |
| カヘティKakheti (Kakhuri) | カヘティ全域 | 白・赤・ロゼ・アンバー(辛口〜甘口。地方全体の呼称) | 白・アンバー: ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、キシ、ヒフヴィほか / 赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか |
07 — よくある質問
ムツヴァネとムツヴァネ・カフリは同じ? オレンジワインにもなる? 気になる9つの疑問に、短く答えます。
ジョージア東部カヘティの芳香系の白ブドウ品種です。ルカツィテリと並ぶカヘティの白の基幹品種で、単一品種の辛口白、ツィナンダリなどのブレンド、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワインに使われます。
「ムツヴァネ」はジョージア語で「緑」を意味し、いくつかの品種名に使われます。カヘティの「ムツヴァネ・カフリ」とカルトリの「ゴルリ・ムツヴァネ」は別の品種です。ラベルに「Mtsvane」とだけあってカヘティ産なら、通常はムツヴァネ・カフリを指します。
ジョージア語で「カヘティの緑(のブドウ)」という意味です。「ムツヴァネ」は「緑」で、熟しても緑がかった黄色を保つ粒の色に由来し、「カフリ」は「カヘティの」を意味します。
白桃、熟したリンゴ、杏、柑橘、白い花に、ハーブや若草を思わせる緑のニュアンスが特徴です。ルカツィテリより香りが華やかで、酸は穏やかです。
なります。果皮・種とともにクヴェヴリで醸すと琥珀色になり、ドライアプリコット、蜂蜜、紅茶、ナッツの香りと明確なタンニンが加わります。
辛口白はハーブを効かせた鶏肉や魚料理、ジョージアの香草サラダ、山羊のフレッシュチーズ、和食なら香味野菜を使った料理が目安です。アンバーは胡桃ソースの料理、熟成チーズ、スパイスの効いた料理と合わせます。
9件あります。マナヴィは辛口白を、アフメタは白を、ムツヴァネ・カフリだけで造ると定めています(アフメタのアンバーには、キシとヒフヴィを合わせて15%まで加えられます)。ツィナンダリ、グルジャアニ、ヴァジスバニなどでは、ルカツィテリに加える品種として使われます。
国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では1,078 haです。ルカツィテリ、サペラヴィに次ぐ規模で、カヘティの白品種では2番目です。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。単一品種の辛口白ならマナヴィ、ルカツィテリとのブレンドならツィナンダリと、ラベルのPDO名を手がかりにすると選びやすくなります。
08 — 飲んでみる
読んだあとは、グラスで確かめる番です。単一品種の辛口からツィナンダリのブレンド、クヴェヴリのアンバーまで、ジョージアワイン専門店であなたの好きなムツヴァネ・カフリを見つけてください。
ムツヴァネ・カフリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に8121番で登録され、原産国はジョージアと記されています。PDOツィナンダリやマナヴィの規定にも、使用品種として名前が挙がっています。
このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。
1,078 ha
政府統計登録番号 8121。原産国ジョージア
国際データベース