褐色土と沖積土
仕様書は土壌を褐色土と沖積土の2種に分け、崩積土・洪積土が小さな斑点のように点在するとしています。土の厚さは0.7〜1.5m、腐植の層は30〜60cm。重い壌土からやや粘土質で、物理的粘土は40〜70%です。
ジョージアの辛口白ワイン ・ カルトリ ・ PDO
Ateni (Atenuri) ・ ატენი (ატენური)
アテヌリ(Atenuri)とは、ジョージア中部カルトリ地方のゴリの南、ムトクヴァリ(クラ)川右岸のタナ渓谷にある特定区域で、チヌリとゴルリ・ムツヴァネから造られる辛口の白ワインです。登録名は「アテニ」、追加の表示が「アテヌリ」で、ラベルにはアテヌリと記されます。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。仕様書は辛口の白のほかにスパークリングも定め、自然流下の果汁の完全発酵、残糖4g/L、アルコール11%以上、そして処理・醸造・瓶詰めをすべて区域内で行うことを求めています。11世紀の「王の畑」に始まり、冷たいセラーで自然に泡を残す製法で知られた谷のワイン。2007年に登録番号792として登録されました。
出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。
01 — 規定
仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。以下は辛口の白の数値で、スパークリングの数値は一覧表に併記しました。
| 名前 | 登録名は「ATENI」、追加の表示が「ATENURI」。ラベルにはラテン文字で「ATENURI」と記す |
| タイプ | 白の辛口、およびスパークリング(発泡・微発泡)。辛口の白の色は淡い麦わら色から麦わら色、スパークリングは淡い麦わら色 |
| 使用品種 | チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ、アリゴテ(「および/または」)。区域内で収穫したもの。他品種は禁止 |
| 地域・区域 | 内カルトリ栽培地域の中央部、ゴリ市の南、ムトクヴァリ(クラ)川右岸。トリアレティ山脈北斜面の山麓、タナ渓谷。ジェビリ、ガルダテニ、パタラ・アテニ、デゲウラ、チェチェラアントゥバニ、ディディ・アテニ、プハアントゥバニの各村 |
| 畑 | 標高580〜750m。畝間1〜2.5m、株間0.8〜1.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由 |
| 収穫と輸送 | 収穫時の糖度18%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、または容量80kg以下の防水シート。ポリエチレンの袋は使用不可 |
| 収量 | 10t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下(1haから5,200L以下) |
| 製法 | 辛口の白は自然流下(圧搾しない)の果汁の完全アルコール発酵。スパークリングは瓶内二次発酵またはタンク方式。使用できる操作・材料はジョージアの法令が認めるものに限る |
| 成分 | 辛口の白: アルコール11%以上、残糖4g/L、エキス分16g/L以上、酸度5g/L以上。スパークリング: アルコール10.5%以上、エキス分16g/L以上、酸度5g/L以上、残糖は法令の区分による |
| 熟成・出荷 | スパークリングは二次発酵から瓶内方式で9か月、タンク方式で6か月を経てから出荷できる |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限り、処理・醸造・瓶詰めのすべてを区域内で行う。流通は容器に詰めたもののみ |
| 登録・管理 | 登録番号792、2007年12月10日。申請者・管理機関は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。残糖は英訳版に「4 g/l」とだけ記されており、他のPDOと同じく上限として読んでいます。
02 — 産地
アテヌリの区域は、カヘティではなくジョージア中部のカルトリ地方、ゴリの町の南に開くタナ渓谷です。ムトクヴァリ(クラ)川の右岸から、トリアレティ山脈の北麓へ谷をさかのぼる一帯で、畑は標高580〜750mにあります。ムトクヴァリ渓谷に吹く北西と南東の強い風は、山脈から延びるサツヘニシとツェレティの尾根にさえぎられ、谷の奥では弱まると仕様書は記しています。
区域はジェビリ、ガルダテニ、パタラ・アテニ、デゲウラ、チェチェラアントゥバニ、ディディ・アテニ、プハアントゥバニの7村。ブドウの処理、醸造、瓶詰めのすべてを区域内で行うと定められた、ジョージアのPDOで最も厳しい場所の規定のひとつです。
地域
ジョージア中部、ムトクヴァリ川流域の産地。カヘティより乾いて冬が寒く、チヌリやゴルリ・ムツヴァネなど酸の高い白ブドウと、スパークリングの伝統で知られます。
東の、もうひとつのムツヴァネ
外カヘティのムツヴァネ・カフリ100%の辛口白のPDO。アテヌリのゴルリ・ムツヴァネは名前が似ていますが別の品種で、カルトリの固有種です。
03 — 気候と土壌
仕様書は、暑い夏と寒い冬、少ない雨、そして重い壌土の褐色土と沖積土が、チヌリとゴルリ・ムツヴァネに酸の生きた白の性格を与えると説明しています。
年間降水量は560mm(標高680m地点)。カヘティの白の産地(800mm前後)よりずっと少なく、暖かい季節の降水は344mm以下。7月中旬から10月初めまでの112日間は蒸発が降水を上回り、7〜8月は畑への灌水が必要になると仕様書は記しています。
仕様書は土壌を褐色土と沖積土の2種に分け、崩積土・洪積土が小さな斑点のように点在するとしています。土の厚さは0.7〜1.5m、腐植の層は30〜60cm。重い壌土からやや粘土質で、物理的粘土は40〜70%です。
炭酸塩は0.2〜14%と少なめで、pHは7.2〜8.2の弱〜中アルカリ性。腐植は0.5〜3.25%。窒素とリンは乏しい一方、吸着塩基(カルシウムとマグネシウム)の合計は20〜54meq/100gと高く、その大半がカルシウムです。
気候と土壌の数値は、仕様書 第10章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。気候は「穏やかなステップから穏やかな湿潤へ移り変わる、適度に湿った亜熱帯」。生育期の終わりは英訳版で「25.IX」と記されていますが、192日という日数と「10月末」の記述から10月25日として読みました。
04 — 品種
仕様書は、区域内で収穫したチヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ、アリゴテを「および/または」で並記し、他品種を禁止しています。主役はカルトリ固有の2品種です。
Chinuri ・ 白
カルトリ固有の白ブドウ。高い酸と軽やかな果実味が、辛口の白にもスパークリングにも向く。
カルトリ固有の白
「ゴリの緑」を意味するカルトリの白ブドウ。カヘティのムツヴァネ・カフリとは別品種で、チヌリとともにアテヌリの香りと酸をつくります。
認められる第3の品種
フランス原産の白ブドウ。仕様書は3番目の品種として使用を認めていますが、仕様書が「結びつき」の章で名を挙げる特徴的な品種はチヌリとゴルリ・ムツヴァネです。
05 — 造り方
処理も醸造も瓶詰めも、区域の外には出さない。仕様書が定める流れを、畑から出荷まで順に追います。スパークリングの規定もあわせて。
収穫時の糖度は18%以上。カヘティの白(19%)よりやや低く、酸を残して摘みます。収量は1haあたり10t以下。
輸送は木箱かプラスチック箱、または容量80kg以下の防水シートで。ポリエチレンの袋は使えません。ブドウの処理は区域内で行います。
辛口の白は、圧力をかけずに流れ出た果汁だけを完全にアルコール発酵させます。糖は4g/Lに、アルコールは11%以上に。
瓶内二次発酵またはタンク方式で造り、二次発酵から瓶内方式は9か月、タンク方式は6か月を経てから出荷できます。アルコールは10.5%以上。
瓶詰めも区域内で行います。流通できるのは容器に詰めたもので、ラベルには「ATENURI」と「PDO」の表示が入ります。
06 — 歴史
仕様書は、11世紀の「王の畑」、18世紀の地理学者ヴァフシュティの賛辞、そして冷たいセラーで自然に泡を残した伝統製法を記しています。
07 — 味わい
乾いた谷が、白に酸と泡を残す。
辛口の白: 淡い麦わら色から麦わら色。調和がとれ、心地よく軽やかで、欠点がなく、土地を特徴づける野の花の香りを持ち、熟成により果実のトーンが現れる。スパークリング: 淡い麦わら色。発達した香り、スパークリングらしい繊細さ、フルで調和がとれている。
カヘティのルカツィテリやムツヴァネ・カフリの白より、アテヌリは糖度18%とやや早く摘み、冬の寒い乾いた谷の高い畑で酸が残ります。軽やかで酸の輪郭がはっきりした白、そしてジョージアで数少ないPDOのスパークリングになるとされます。
よく冷やして(6〜10℃前後)供されることが多く、川魚、ハーブのサラダ、フレッシュチーズ、ハチャプリなどと合わせる例が紹介されます。スパークリングは食前や前菜に。
08 — 似たPDOと比べる
ジョージアの辛口白のPDOは、地方ごとに品種が変わります。アテヌリはカルトリで唯一の主要PDOです。数値は各PDOの仕様書によります。
09 — 名乗る条件
区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、アテヌリを名乗れます。


登録名は村の名前「アテニ」で、ワインの名前「アテヌリ」が追加の表示として定められています。ラベルには「ATENURI」と記され、どちらも同じPDOを指します。
多くのPDOがジョージア国内での瓶詰めを認めるのに対し、アテヌリは処理・醸造・瓶詰めのすべてを区域内に限っています。区域外で瓶詰めしたワインは、ブドウが区域内のものでもアテヌリと名乗れません。
名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。
10 — よくある質問
ジョージア中部カルトリ地方、ゴリの南に開くタナ渓谷の特定区域で、チヌリとゴルリ・ムツヴァネ(およびアリゴテ)から造られる辛口の白ワインです。圧搾しない果汁を完全に発酵させる製法が仕様書で定められ、残糖4g/L、アルコール度数11%以上。スパークリングも同じ名前で定められています。名前は産地呼称(PDO)で、2007年に登録されました。
同じPDOです。登録名は村の名前「アテニ(ATENI)」で、ワインの名前「アテヌリ(ATENURI)」が追加の表示として定められ、ラベルにはアテヌリと記されます。
辛口の白とスパークリング(発泡・微発泡)の両方があります。伝統的には、冷たいセラーのクヴェヴリでゆっくり発酵させて炭酸ガスを残した自然発泡のワインとして知られました。現行の仕様書では、スパークリングは瓶内二次発酵またはタンク方式で造り、二次発酵から9か月(瓶内)または6か月(タンク)を経て出荷します。
チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ、アリゴテの3品種で、他品種は禁止です。チヌリとゴルリ・ムツヴァネはカルトリ固有の白ブドウで、仕様書が特徴的な品種として名を挙げるのもこの2つです。収穫時の糖度は18%以上、収量は10t/ha以下です。
ジョージア中部、カルトリ地方のゴリの南、ムトクヴァリ(クラ)川右岸のタナ渓谷です。トリアレティ山脈の北麓の標高580〜750mの畑で、仕様書はジェビリ、ガルダテニ、パタラ・アテニ、デゲウラ、チェチェラアントゥバニ、ディディ・アテニ、プハアントゥバニの7村を区域としています。ブドウの処理、醸造、瓶詰めもすべて区域内で行います。
仕様書によれば、アテニには11世紀から「王の畑」が知られ、18世紀の地理学者ヴァフシュティは「ジョージアのワインの中で最良」と記しました。1950年代に近代的な醸造所が建てられ、1990年代初めに停止、2010年以降に再び栄えています。PDOとしての登録は2007年12月10日(登録番号792)です。
どちらも「ムツヴァネ」の名を持つ品種を使いますが、別の品種です。マナヴィはカヘティのムツヴァネ・カフリ100%、アテヌリはカルトリのゴルリ・ムツヴァネとチヌリ。アテヌリの谷は雨が少なく冬が寒く、糖度18%とやや早く摘むため、酸の輪郭がはっきりした白になります。
いいえ。アテヌリは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「ATENURI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。区域が小さく生産量が限られる呼称なので、カヘティの白に比べると取扱いは多くありません。
11 — 飲んでみる
ここまで読んだアテヌリを、グラスで確かめる。ジョージアワイン専門店で、カヘティの白(ツィナンダリ、マナヴィ)と飲み比べるのもおすすめです。
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「アテニ(アテヌリ)」仕様書(登録番号792、2007年12月10日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。
| 執筆 | ジョージアワインストア データベース編集部 |
| レビュー | 編集部(相互確認) |
| 初回公開 | 2026年9月21日 |
| 最終確認 | 2026年9月24日 |
| 根拠の強さ | B(公的資料。PDO仕様書・法令) |
| 主要出典 | 国立ワイン庁 PDO仕様書「Ateni (Atenuri)」(英訳版)、国立ワイン庁PDO登録一覧 |
| 注記 | 味わいと飲み方の記述は一般的傾向。仕様書の数値は英訳版に基づく。残糖は「4 g/l」とのみ記載、生育期の終わりは「25.IX」と記載(192日と「10月末」の記述から10月25日として読んだ)。歴史の引用は仕様書の記載による |