白品種 ・ ワイン用(生食兼用) ・ 品種登録番号 2576

チヌリ

Chinuri ・ ჩინური

チヌリは、ジョージア中部カルトリを代表する白ブドウ品種です。ムトクヴァリ(クラ)川流域の乾燥した大陸性気候で育ち、しっかりした酸と中程度のアルコールを持つ辛口白と、PDO(原産地呼称)アテヌリのスパークリングワインの基盤になります。カルトリのほか、カヘティでも栽培されています。

チヌリの房の接写。黄緑から琥珀がかった丸い果粒がやや疎に付いた円筒形の房と、深く閉じた切れ込みの明るい黄緑の葉。垣根仕立ての畑(イメージ)
栽培面積
955ha
2004年、国立ワイン庁。主産地はカルトリ
果皮色
白
黄緑色。熟すと琥珀色〜赤みを帯びる
使用品種に挙げるPDO
3件
アテヌリ、ボルニシ、オカミ
収穫
9月末〜10月
中晩生〜晩生・商業栽培
根拠の強さ
B
公的資料。国際登録簿と国立ワイン庁の資料で確認

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

チヌリ、カルトリを代表する白の名。

ჩინური=Chinuri

チヌリ(ჩინური)は、ジョージア中部カルトリを代表する白ブドウの名です。古いジョージア語の「chini(赤みがかった緑)」に結び付ける歴史家イヴァネ・ジャヴァヒシヴィリの説明と、「chinebuli(優れた、最良の)」に結び付ける近年の説明があります。一部の生産者は「チネブリ」の名で呼びます。

02 — 泡のブドウ

ジョージアでただ一つ、泡を定めるPDO。

チヌリは、なぜスパークリングワインに向くのか。答えは、熟しても保たれるしっかりした酸です。この酸を活かした泡は、PDO(原産地呼称)アテヌリ(登録名はアテニ)として定められています。

スパークリングワインを定めるPDOは、ジョージアでアテヌリだけ。ゴリの南、ムトクヴァリ(クラ)川右岸のタナ渓谷の呼称で、2007年に登録されました。

泡の原料の産地

カルトリは20世紀を通じて、スパークリングワインの原料を供給してきた産地です。

2つの造り方

瓶内二次発酵の伝統方式と、タンク方式の両方が認められています。

ボルニシとオカミにも

カルトリのPDOボルニシとオカミでも、チヌリは白の使用品種に挙がっています。

03 — 味わい

チヌリの味わいとは?

軽やかなのに、酸はしっかり。

辛口白の場合の目安です。

香り

花とハーブ、ミント、洋梨などの黄色い果実。クヴェヴリで醸すと、麝香(じゃこう、ムスク)を思わせる香りに干した洋梨や杏、ハーブが重なります。

泡にも向く酸

アルコールは中程度で、酸はしっかり。この酸が軽快な口当たりをつくり、スパークリングの骨格にもなります。

国際品種で例えると

辛口のシュナン・ブランや、泡に使われるシャルドネに近いイメージです。

チヌリの白ワインをグラスに、トビリシのレストランで前菜とパンを囲む夜の食卓(イメージ)

合わせる料理

天ぷらと、ハーブの料理。

スパークリングと辛口白は、前菜、白身魚、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズと。和食なら天ぷらや酢の物も。クヴェヴリのアンバーは、胡桃を使ったジョージア料理や熟成チーズと。

04 — スタイル

泡、辛口、アンバー。3つのスタイル。

同じチヌリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カルトリでは9月末から10月中旬にかけて収穫し、泡に向ける畑ほど酸を残して早めに、クヴェヴリのアンバーは果皮が色づくまで待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

カルトリでのチヌリの収穫。夕方の垣根仕立ての畑で、黄緑色の房を籠に入れて振り返る摘み手(イメージ)
チヌリの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫中晩生〜晩生(芽吹きから185〜188日)
木の勢い中(管理で強くなる)
収量1 haあたり8〜13トン

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

スパークリング(アテヌリ)

高い酸を活かした、白の泡。

造り
瓶内二次発酵(伝統方式)またはタンク方式
味わい
高い酸が泡の骨格に

ゴリの南、タナ渓谷にある特定区域が産地です。同じ名前で辛口の白も定められています。

STYLE 02

辛口白(近代的製法)

ハーブと洋梨の香り、しっかりした酸。

造り
ステンレスタンク、果皮接触なし
色
淡い麦わら色
香り
ハーブと洋梨
味わい
しっかりした酸

ムトクヴァリ(クラ)川流域のカルトリが産地です。畑の多くはPDO区域の外にあり、品種名を表示した白として流通します。ゴルリ・ムツヴァネとのブレンドも多く造られます。

STYLE 03

クヴェヴリ・アンバー

果皮と種ごとクヴェヴリで醸す、琥珀色の白。

造り
果皮・種とともにクヴェヴリで醸す
香り
干した洋梨や杏
味わい
タンニンが現れる

カルトリのマラニ(醸造場)で、小規模生産者を中心に少量ずつ造られています。果皮と接する長さは生産者ごとに違います。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

果粉をまとう黄緑の粒、多くは円筒形の房、3つに裂けた丸い葉。畑でチヌリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。

チヌリの特徴の解説図。円筒形で中〜疎の房、黄緑で完熟すると琥珀色になる果皮、円形〜楕円形の果粒、肉厚で多汁な果肉、主に3裂で深い切れ込みの葉(イメージ)
果皮色
黄緑
熟すと琥珀色〜赤みを帯びる
果粒
円形〜楕円
長さ14〜18mm、幅13〜17.5mm
房
多くは円筒形
長さ14〜23cm、幅6.5〜13.5cm。粒のつき方は中〜疎
葉
3つに裂ける
全体は丸い形
もっと詳しく見る(果肉、房の重さ、葉の表と裏)
チヌリの形態
果粉(粒の表面の白い粉)あり
果肉・果汁肉厚でかなり多汁、甘い
房の重さ平均172〜176g
葉の切れ込み上側はかなり深く、閉じて楕円〜卵形になることもある
葉の表明るい黄緑
葉の裏葉脈の周りに短い毛

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

チヌリを使う、3つのPDO。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「アテヌリ」とあれば、それはチヌリを使うカルトリの白や泡。チヌリを使う3つのPDOのうち、スパークリングを定めるアテヌリから紹介します。

ボトルの写真はイメージです。

ほかのPDOを見る(2件)
チヌリを使用品種に挙げるそのほかのPDO
PDO区域タイプ使用品種
ボルニシBolnisiカルトリ(ボルニシ)辛口の白・アンバー・赤・ロゼ白・アンバー: ルカツィテリ、チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ / 赤: サペラヴィ、タヴクヴェリ、シャヴカピト、アスレトゥリ・シャヴィ
オカミOkamiカルトリ(カスピ)辛口白・辛口赤白: チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ / 赤: シャヴカピト

07 — よくある質問

よくある質問。

チヌリはどんな味? スパークリングやアンバー(オレンジ)ワインもある? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

チヌリはどんなブドウですか?

ジョージア中部カルトリの白ブドウ品種です。ワイン用と生食用を兼ね、辛口白、スパークリング(アテヌリ)、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバーに使われます。国立ワイン庁の資料では、2004年時点でカルトリの主要な白品種として955 haが栽培されていました。

チヌリの味の特徴は?

花とハーブ、ミント、洋梨などの黄色い果実の香りが特徴です。アルコールは中程度で酸はしっかりしており、軽快な口当たりが持ち味です。

チヌリはどこで造られていますか?

主産地はジョージア中部カルトリのムトクヴァリ(クラ)川流域で、乾燥した大陸性気候の産地です。カヘティでも栽培されています。PDOでは、アテヌリ、ボルニシ、オカミの3件がチヌリを使用品種に挙げています。

チヌリのスパークリングワインとは?

ゴリの南、タナ渓谷で造られる白の発泡性ワインで、PDOアテヌリとして定められています。チヌリの高い酸が泡の骨格になります。使えるブドウは、チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ、アリゴテの3品種です。

チヌリのアンバー(オレンジ)ワインはどんな味ですか?

果皮・種とともにクヴェヴリで醸すとタンニンが現れ、麝香(じゃこう)を思わせる香りに、干した洋梨や杏、ハーブが重なります。カルトリのマラニ(醸造場)で、小規模な生産者が造っています。

チヌリに合う料理は?

辛口白とスパークリングは、前菜、白身魚、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズが目安です。和食では天ぷらや酢の物など酸を活かす料理と合わせやすく、クヴェヴリのアンバーは胡桃を使ったジョージア料理や熟成チーズと合います。

チヌリの名前の意味は?

国立ワイン庁の解説は、2つの由来を紹介しています。歴史家イヴァネ・ジャヴァヒシヴィリによる古いジョージア語の「chini(赤みがかった緑)」と、近年の論者による「chinebuli(優れた、最良の)」です。

「チネブリ」はチヌリと同じですか?

はい。一部の生産者がチヌリを「チネブリ(Chinebuli)」と呼んでおり、チヌリの別名です。ただし、1963年に交配で作られた同じ名前の品種 CHINEBULI(VIVC 12295)は、別の品種です。

チヌリのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。スパークリングならラベルのPDO名「アテヌリ」を、辛口白ならカルトリ産の品種名表示を手がかりにすると選びやすくなります。

出典と検証。

チヌリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に2576番で登録され、原産国はジョージア、ワイン用と生食用を兼ねる白品種として記されています。VIVC はDNAの分析から片親をムスフヴィルトヴァラ・テトリ(Mskhviltvala Tetri)とし、世界の24の機関が遺伝資源として保存しています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月5日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC と国立ワイン庁の資料で確認)
主要出典VIVC、国立ワイン庁(品種解説・PDO)

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

2004
国立ワイン庁

カルトリの主要な白品種。栽培面積955 ha(2004年)

政府機関
2026
VIVC

登録番号 2576。原産国ジョージア

国際データベース