泡の原料の産地
カルトリは20世紀を通じて、スパークリングワインの原料を供給してきた産地です。
01 — 名称
ჩინური=Chinuri
チヌリ(ჩინური)は、ジョージア中部カルトリを代表する白ブドウの名です。古いジョージア語の「chini(赤みがかった緑)」に結び付ける歴史家イヴァネ・ジャヴァヒシヴィリの説明と、「chinebuli(優れた、最良の)」に結び付ける近年の説明があります。一部の生産者は「チネブリ」の名で呼びます。
02 — 泡のブドウ
チヌリは、なぜスパークリングワインに向くのか。答えは、熟しても保たれるしっかりした酸です。この酸を活かした泡は、PDO(原産地呼称)アテヌリ(登録名はアテニ)として定められています。
スパークリングワインを定めるPDOは、ジョージアでアテヌリだけ。ゴリの南、ムトクヴァリ(クラ)川右岸のタナ渓谷の呼称で、2007年に登録されました。
カルトリは20世紀を通じて、スパークリングワインの原料を供給してきた産地です。
瓶内二次発酵の伝統方式と、タンク方式の両方が認められています。
カルトリのPDOボルニシとオカミでも、チヌリは白の使用品種に挙がっています。
03 — 味わい
軽やかなのに、酸はしっかり。
辛口白の場合の目安です。
花とハーブ、ミント、洋梨などの黄色い果実。クヴェヴリで醸すと、麝香(じゃこう、ムスク)を思わせる香りに干した洋梨や杏、ハーブが重なります。
アルコールは中程度で、酸はしっかり。この酸が軽快な口当たりをつくり、スパークリングの骨格にもなります。
辛口のシュナン・ブランや、泡に使われるシャルドネに近いイメージです。
合わせる料理
スパークリングと辛口白は、前菜、白身魚、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズと。和食なら天ぷらや酢の物も。クヴェヴリのアンバーは、胡桃を使ったジョージア料理や熟成チーズと。
04 — スタイル
同じチヌリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カルトリでは9月末から10月中旬にかけて収穫し、泡に向ける畑ほど酸を残して早めに、クヴェヴリのアンバーは果皮が色づくまで待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。
| 成熟期・収穫 | 中晩生〜晩生(芽吹きから185〜188日) |
| 木の勢い | 中(管理で強くなる) |
| 収量 | 1 haあたり8〜13トン |
成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。
STYLE 01
高い酸を活かした、白の泡。
ゴリの南、タナ渓谷にある特定区域が産地です。同じ名前で辛口の白も定められています。
STYLE 02
ハーブと洋梨の香り、しっかりした酸。
ムトクヴァリ(クラ)川流域のカルトリが産地です。畑の多くはPDO区域の外にあり、品種名を表示した白として流通します。ゴルリ・ムツヴァネとのブレンドも多く造られます。
STYLE 03
果皮と種ごとクヴェヴリで醸す、琥珀色の白。
カルトリのマラニ(醸造場)で、小規模生産者を中心に少量ずつ造られています。果皮と接する長さは生産者ごとに違います。
05 — ブドウとしての性質
果粉をまとう黄緑の粒、多くは円筒形の房、3つに裂けた丸い葉。畑でチヌリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。
| 果粉(粒の表面の白い粉) | あり |
| 果肉・果汁 | 肉厚でかなり多汁、甘い |
| 房の重さ | 平均172〜176g |
| 葉の切れ込み | 上側はかなり深く、閉じて楕円〜卵形になることもある |
| 葉の表 | 明るい黄緑 |
| 葉の裏 | 葉脈の周りに短い毛 |
出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。
06 — PDOと産地
PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「アテヌリ」とあれば、それはチヌリを使うカルトリの白や泡。チヌリを使う3つのPDOのうち、スパークリングを定めるアテヌリから紹介します。
ボトルの写真はイメージです。
07 — よくある質問
チヌリはどんな味? スパークリングやアンバー(オレンジ)ワインもある? 気になる9つの疑問に、短く答えます。
ジョージア中部カルトリの白ブドウ品種です。ワイン用と生食用を兼ね、辛口白、スパークリング(アテヌリ)、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバーに使われます。国立ワイン庁の資料では、2004年時点でカルトリの主要な白品種として955 haが栽培されていました。
花とハーブ、ミント、洋梨などの黄色い果実の香りが特徴です。アルコールは中程度で酸はしっかりしており、軽快な口当たりが持ち味です。
主産地はジョージア中部カルトリのムトクヴァリ(クラ)川流域で、乾燥した大陸性気候の産地です。カヘティでも栽培されています。PDOでは、アテヌリ、ボルニシ、オカミの3件がチヌリを使用品種に挙げています。
ゴリの南、タナ渓谷で造られる白の発泡性ワインで、PDOアテヌリとして定められています。チヌリの高い酸が泡の骨格になります。使えるブドウは、チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ、アリゴテの3品種です。
果皮・種とともにクヴェヴリで醸すとタンニンが現れ、麝香(じゃこう)を思わせる香りに、干した洋梨や杏、ハーブが重なります。カルトリのマラニ(醸造場)で、小規模な生産者が造っています。
辛口白とスパークリングは、前菜、白身魚、鶏肉、ハーブを使った料理、フレッシュチーズが目安です。和食では天ぷらや酢の物など酸を活かす料理と合わせやすく、クヴェヴリのアンバーは胡桃を使ったジョージア料理や熟成チーズと合います。
国立ワイン庁の解説は、2つの由来を紹介しています。歴史家イヴァネ・ジャヴァヒシヴィリによる古いジョージア語の「chini(赤みがかった緑)」と、近年の論者による「chinebuli(優れた、最良の)」です。
はい。一部の生産者がチヌリを「チネブリ(Chinebuli)」と呼んでおり、チヌリの別名です。ただし、1963年に交配で作られた同じ名前の品種 CHINEBULI(VIVC 12295)は、別の品種です。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。スパークリングならラベルのPDO名「アテヌリ」を、辛口白ならカルトリ産の品種名表示を手がかりにすると選びやすくなります。
08 — 飲んでみる
読んだあとは、グラスで確かめる番です。カルトリの辛口白や泡から、クヴェヴリのアンバーまで、ジョージアワイン専門店で好きな一本を見つけてください。
チヌリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に2576番で登録され、原産国はジョージア、ワイン用と生食用を兼ねる白品種として記されています。VIVC はDNAの分析から片親をムスフヴィルトヴァラ・テトリ(Mskhviltvala Tetri)とし、世界の24の機関が遺伝資源として保存しています。
このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。
カルトリの主要な白品種。栽培面積955 ha(2004年)
政府機関登録番号 2576。原産国ジョージア
国際データベース