礫の上の褐色土
仕様書は約345ヘクタールの畑の土壌を12種に分けています。11種は褐色土で、「グリ・ツァラピ」と「アホエビ」という区画に広がります。崩積・洪積性の炭酸塩を含む壌土と粘土、礫の層の上にでき、厚さ60〜120cm、腐植の層は50〜90cm。石の含有率は3〜20%です。
ジョージアの辛口アンバーワイン ・ カヘティ ・ PDO
Kardenakhi ・ კარდენახი
カルデナヒ(Kardenakhi)とは、ジョージア・カヘティ地方のグルジャアニ市、アラザニ川右岸のカルデナヒ村の畑で、ルカツィテリを主体に、カヘティの伝統製法で造られる辛口のアンバーワインです。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。仕様書は、果皮も茎もすべて入れた果醪をクヴェヴリ(土中に埋めた素焼きの甕)だけで発酵させ、翌年2月1日まで果皮とともに置く製法、残糖4g/L以下、アルコール12%以上を定めています。ジョージアの14の「主要PDO」で、アンバーだけを名乗るのはカルデナヒだけ。仕様書はもうひとつ、1926年から造られる白の酒精強化ワインも定めています。2007年に登録番号795として登録されました。
出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。
01 — 規定
仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。以下は辛口アンバーの数値で、白の酒精強化の数値は一覧表に併記しました。
| タイプ | 辛口アンバー、または白の酒精強化。辛口アンバーの色は濃い琥珀色から麦わら色、酒精強化は淡い黄金色から濃い琥珀色 |
| 使用品種 | ルカツィテリ。ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで使用できる。いずれも区域内で収穫したもの |
| 地域・区域 | カヘティ地方グルジャアニ市、カルデナヒ村の行政区域(北緯41°48′・東経45°44′)。ツィヴ・ゴンボリ山系北東斜面の下部、アラザニ川右岸、標高350〜750m。アラザニの水路と幹線道路の間、バクルツィヘ村とアナギ村の境界の間 |
| 畑 | 標高350〜750m。畝間1〜3m、株間0.8〜1.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由 |
| 収穫と輸送 | 完熟ブドウのみ、収穫時の糖度20%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台。ポリエチレンの袋は使用不可 |
| 収量 | ルカツィテリ10t/ha、ムツヴァネ・カフリ8t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下(1haから6,500L / 5,200L以下) |
| 製法(辛口アンバー) | チャチャ(果皮・種・茎の全量)を含む果醪のアルコール発酵を、クヴェヴリのみで行う。発酵後、同じワインでクヴェヴリを満たし、翌年2月1日まで果醪の上に置く |
| 製法(白の酒精強化) | 発酵中の果醪または果汁にブドウ由来のスピリッツを加える。製造とブレンドには、ブドウのスピリッツ、辛口ワイン、アルコール16%で保存した果汁、果汁またはその濃縮物を使用できる |
| 成分 | 辛口アンバー: アルコール12%以上、残糖4g/L以下、エキス分22g/L以上、酸度5g/L以上。酒精強化: アルコール18±0.5%以上、残糖10±0.5g/L以下、エキス分18g/L以上、酸度4g/L以上 |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限る。処理と醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内であればカヘティ外でも可。流通は容器に詰めたもののみ |
| 表示 | ラテン文字で「KARDENAKHI」、「Protected Designation of Origin」または「PDO」。キリル文字の表記も定められている |
| 登録・管理 | 登録番号795、2007年12月10日。申請者・管理機関は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。
02 — 産地
カルデナヒの区域は、グルジャアニ市のカルデナヒ村の行政区域、ひとつの村だけです。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面の下部が3〜4°の角度でアラザニ川へ下る一帯で、畑はアラザニの水路と幹線道路の間、バクルツィヘ村とアナギ村の境界にはさまれた標高350〜750mにあります。仕様書は畑の面積を約345ヘクタールと記しています。
この村は白のグルジャアニの広い区域にも含まれます。同じルカツィテリでも、果汁だけを発酵させれば白のグルジャアニ、クヴェヴリで果皮とともに発酵させればアンバーのカルデナヒと、名乗れる呼称が変わります。醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内で行います。
地域
ジョージア最大のワイン産地。果皮とともにクヴェヴリで発酵させる「カヘティ式」のアンバーワインの本場で、カルデナヒはそれをPDOにした呼称です。
同じ村を含む、白の呼称
カルデナヒ村を含むアラザニ川右岸の18村にまたがる、ルカツィテリ主体の辛口白のPDO。果皮を漬けない白はグルジャアニ、漬けるアンバーはカルデナヒ。
03 — 気候と土壌
仕様書は、暑い夏と穏やかな冬、アラザニ渓谷を吹き下ろす冷気、そして礫を含む炭酸塩の褐色土が、この村のルカツィテリに糖度と厚みを与えると説明しています。
7月の土の表面の平均最高温度は53℃(8月は52℃)。腐植炭酸塩の土の表面は年平均15℃、7〜8月の平均でも30℃に達します。この熱が、収穫時の糖度20%以上とアルコール12%以上という、白の辛口より高い規定を支えています。
仕様書は約345ヘクタールの畑の土壌を12種に分けています。11種は褐色土で、「グリ・ツァラピ」と「アホエビ」という区画に広がります。崩積・洪積性の炭酸塩を含む壌土と粘土、礫の層の上にでき、厚さ60〜120cm、腐植の層は50〜90cm。石の含有率は3〜20%です。
腐植は2〜4.9%、交換性カリウムは28〜90mg/100gと多く、炭酸カルシウムは深くなるほど増えて2〜44%。pHは7.2〜8.2の弱〜中アルカリ性です。残る1種は厚さ110〜120cmの崩積土。
気候と土壌の数値は、仕様書 第10章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。相対湿度は年72%。積雪は12月中旬から3月上旬、年24日。降雹の多い地帯で年2.9日(多い年は5〜6日)。卓越風は南西(33%)と西(18%)、平均風速1.7m/s。カヘティ・コーカサスの氷河から冷気が北西から南東へ渓谷を下る。
04 — 品種
仕様書は、区域内で収穫したルカツィテリを主体とし、ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで使えると定めています。3品種とも、カヘティのアンバーワインを支える白ブドウです。
Rkatsiteli ・ 白
ジョージアで最も広く栽培される白ブドウ。厚い果皮と骨格のある酸が、果皮とともに発酵させるアンバーワインに向く。
約15%まで
カヘティ固有の白ブドウ。仕様書は同じ区域で収穫したものに限り約15%まで使用を認め、収量は8t/haと定めています。香りを添える役割です。
約15%まで
カヘティの希少な白ブドウ。仕様書はムツヴァネ・カフリとあわせて約15%までの使用を認めています。果皮とともに醸すと、厚みと香りを加えるとされます。
05 — 造り方
果皮も茎もすべて入れた果醪をクヴェヴリだけで発酵させ、発酵が終わっても果皮の上に置いたまま冬を越す。仕様書が定めるカヘティの伝統製法を、畑から出荷まで順に追います。
使えるのは完熟したブドウだけ。収穫時の糖度は20%以上。収量はルカツィテリ10t、ムツヴァネ・カフリ8t以下(1haあたり)。
輸送は木箱かプラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台で。ポリエチレンの袋は使えません。
果皮・種・茎をすべて含む果醪(チャチャ)を、土中に埋めたクヴェヴリだけで発酵させます。糖は4g/L以下まで減り、アルコールは12%以上に。
発酵が終わったら同じワインでクヴェヴリを満たし、翌年2月1日まで果醪の上に置きます。果皮から色と成分が移り、琥珀色とエキス分22g/L以上の厚みが生まれます。
処理と醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内であればカヘティ外でも可。流通できるのは容器に詰めたもので、ラベルには「KARDENAKHI」と「PDO」の表示が入ります。
06 — 歴史
仕様書の「人的要因」の章は、ジョージア人が8千年かけて守ってきたクヴェヴリの製法と、ソ連期に生まれた酒精強化ワイン「カルデナヒ」の両方を記しています。
07 — 味わい
冬を越した果皮が、琥珀色と厚みを与える。
濃い琥珀色から麦わら色。ボディがあり、力強く、抽出感があり、ベルベットのよう。土地を特徴づける香りと、穏やかで柔らかなスパイスの風味が典型で、熟成により果実のトーンが現れる。
同じ村の同じルカツィテリでも、果汁だけを発酵させる白のグルジャアニと、果皮とともにクヴェヴリで醸すアンバーのカルデナヒでは、色も口当たりも違います。カルデナヒは渋みと厚みがあり、エキス分の下限も22g/Lと高く定められています。
白より高め(12〜14℃前後)で供されることが多く、クルミを使ったジョージア料理、豚や鶏の炭火焼き、熟成チーズと合わせる例が紹介されます。酒精強化タイプはデザートや食後に。
08 — 似たPDOと比べる
カヘティのアンバーのPDOは、区域と、認められる色の組み合わせで名前が分かれます。数値は各PDOの仕様書によります。
09 — 名乗る条件
区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、カルデナヒを名乗れます。


仕様書は辛口アンバーの発酵を「クヴェヴリのみ」と定めています。ステンレスタンクで果皮とともに発酵させたアンバーワインは、同じ村のルカツィテリでもカルデナヒと名乗れません。
「KARDENAKHI」のラベルには辛口アンバーと白の酒精強化の2タイプがあります。前者はアルコール12%以上の辛口、後者は18%前後で残糖10g/L前後の甘めのワイン。裏ラベルの度数と種類で見分けます。
名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。
10 — よくある質問
ジョージア東部カヘティ地方、グルジャアニ市のカルデナヒ村の畑で、ルカツィテリを主体に、果皮も茎も含む果醪をクヴェヴリで発酵させて造る辛口のアンバーワインです。翌年2月1日まで果皮の上に置く製法が仕様書で定められ、残糖4g/L以下、アルコール度数12%以上、エキス分22g/L以上。名前は産地呼称(PDO)で、2007年に登録されました。仕様書は白の酒精強化ワインも定めています。
白ブドウを果皮とともに発酵させ、琥珀色に仕上げたワインです。オレンジワインとも呼ばれます。カヘティでは伝統的にクヴェヴリ(土中に埋めた素焼きの甕)で造り、カルデナヒはその製法をPDOの規定にしたものです。
辛口アンバーは辛口で、仕様書は残糖を4g/L以下と定めています。ただし同じ名前で白の酒精強化ワイン(アルコール18%前後、残糖10g/L前後)も定められているので、ラベルの度数と種類で見分けます。
ルカツィテリが主体で、同じ区域で収穫したムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで使えます。収穫時の糖度は20%以上で、白の辛口のPDO(19%)より高く定められています。収量はルカツィテリ10t/ha、ムツヴァネ・カフリ8t/ha以下です。
ジョージア東部、カヘティ地方のグルジャアニ市カルデナヒ村です。区域はこのひとつの村の行政区域だけで、ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面の下部、アラザニの水路と幹線道路の間の標高350〜750mにある約345ヘクタールの畑です。醸造はカヘティ内、瓶詰めはジョージア国内で行います。
仕様書によれば、クヴェヴリで醸すカヘティ式の製法は8千年前にさかのぼります。酒精強化の「カルデナヒ」は1926年から造られ、国際品評会で8つの金メダルを得ました。PDOとしての登録は2007年12月10日(登録番号795)です。
カルデナヒ村は白のグルジャアニの区域にも含まれます。同じルカツィテリでも、果汁だけを発酵させた白はグルジャアニ、クヴェヴリで果皮とともに発酵させたアンバーはカルデナヒと名乗ります。カルデナヒは糖度(20%)、アルコール(12%)、エキス分(22g/L)の下限がいずれも高く定められています。
いいえ。カルデナヒは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「KARDENAKHI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。辛口アンバーか酒精強化かは、度数と種類の表示で確かめます。
11 — 飲んでみる
ここまで読んだカルデナヒを、グラスで確かめる。ジョージアワイン専門店で、同じ村の白(グルジャアニ)と飲み比べるのもおすすめです。
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「カルデナヒ」仕様書(登録番号795、2007年12月10日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。