村のムクザニと、PDOのムクザニ
ムクザニはグルジャアニ市の村の名前でもあります。PDOの区域は村の範囲より広く、周辺の10村を含みます。ラベルの「ムクザニ」はPDO名であり、ムクザニ村の畑に限られるわけではありません。
国立ワイン庁(National Wine Agency)が公開する仕様書(英訳版)の主要規定を要約しています。
| タイプ | 赤・辛口 |
| 使用品種 | サペラヴィ100%。他品種の使用は禁止 |
| 地域・区域 | カヘティ地方(内カヘティ)、アラザニ川右岸。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面からアラザニ川までの範囲で、グルジャアニ市の10村(ムクザニ、ヴェリスツィヘ、チュムラキ、アハシェニ、ゼガアニ、ヴァジスバニ、シャシアニ、カラウラ、ヴァチナジアニ、カヒパリ)を含む |
| 標高 | 畑は標高350〜700m |
| 熟成規定 | 熟成は任意(熟成せずに瓶詰めも可)。熟成する場合は木樽で6か月以上。消費者市場では瓶詰めのみ |
| 甘辛 | 辛口。残糖4g/L以下 |
| アルコール | 実アルコール11%以上(総アルコール15%以下) |
| 収量・糖度 | 10t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下。収穫時の糖度19%以上 |
| 製法 | 除梗のうえ果醪を30℃以下で完全発酵。その後マロラクティック発酵、亜硫酸添加 |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限る。醸造は区域内、または区域外でもカヘティ栽培地域内であれば可 |
| 登録 | 登録番号2、2005年8月30日。申請者は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版、2023年1月印刷)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。国立ワイン庁の登録ページ(英語)
ムクザニの区域は、アラザニ渓谷の南側(右岸)、ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面がアラザニ川へ下る一帯です。南西を山系、北東を川に区切られ、北西のアクリ渓谷から南東のタナナ渓谷までが範囲です。
仕様書によれば、気候は夏が暑く冬が穏やかな「やや湿潤」型で、年間日照は2150〜2200時間、年間降水量は約870mm。土壌は褐色土を主体に、沖積土・崖錐性の土壌が混じり、下層ほど炭酸カルシウムが多くなります。ブドウ畑は北東向きの斜面に多く、標高350〜700mに広がります。
19世紀初めにはチャフチャヴァゼ家の領地として知られ、1880年代以降はロシア帝室領となって畑と醸造所の近代化が進みました。ワイン「ムクザニ」は1888年から生産されています。
カヘティ地方のページへ地域
ジョージア最大のワイン産地。乾燥した大陸性気候、サペラヴィとルカツィテリ、主要PDOの多くが集中する東部の地域です。
地域ページへ区域が重なるPDO
いずれもムクザニ区域内の村名で、それぞれ別のPDO(アハシェニ=天然半甘口赤、ゼガアニ=辛口赤、ヴァジスバニ=辛口白)としても登録されています。PDO一覧へ
仕様書は「サペラヴィのブドウのみから造り、他品種の使用を禁止する」と定めています。
以下は一般的傾向です。熟成が任意である現行仕様のもとでは、樽熟成の長さや畑の位置によって生産者ごとの差が大きく、すべてのムクザニに当てはまるわけではありません。
ムクザニはグルジャアニ市の村の名前でもあります。PDOの区域は村の範囲より広く、周辺の10村を含みます。ラベルの「ムクザニ」はPDO名であり、ムクザニ村の畑に限られるわけではありません。
多くの生産者が「ムクザニ」を製品名として販売していますが、これは商標ではなくPDO名です。どの生産者のものでも、仕様書の区域・品種・製法・成分規格に適合している必要があります。
ムクザニは必ずサペラヴィ100%ですが、サペラヴィのワインがすべてムクザニなわけではありません。区域外のサペラヴィや半甘口のサペラヴィは、ムクザニと名乗れません。
ムクザニは長期の樽熟成で知られてきましたが、現行の仕様書では熟成は任意で、行う場合に木樽で6か月以上と定めるにとどまります。熟成期間はラベルや生産者情報で確認が必要です。
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「ムクザニ」仕様書(登録番号2、2005年8月30日登録)の英訳版に基づきます。歴史・気候・土壌の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。
検証レベルの定義は方法論、出典の一覧は出典ページを参照してください。
国立ワイン庁のPDO一覧(英語)