白品種 ・ ワイン用 ・ 品種登録番号 6178

ヒフヴィ

Khikhvi ・ ხიხვი

ヒフヴィは、ジョージア東部カヘティの白ブドウ品種です。アラザニ川右岸の東〜南東部を中心に、カルトリでも栽培されます。ルカツィテリより早く熟し、ツゲや野の花を思わせる芳香を持ちます。辛口白、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバー(オレンジ)ワイン、PDO(原産地呼称)カルデナヒの酒精強化ワインに使われます。

ヒフヴィの房の接写。黄緑色の楕円形の果粒が密に付いた小ぶりの円筒円錐形の房と、裏面に銀白色の毛が見える大きな3裂の葉。垣根仕立ての畑(イメージ)
栽培面積
305ha
国立ワイン庁(2023年)
使用品種に挙げるPDO
5件
カルデナヒ、ティバアニなど
収穫
9月
早生。ルカツィテリより9〜10日早い
主産地
カヘティ
アラザニ川右岸。カルトリでも栽培
根拠の強さ
B
公的資料。国際登録簿と国立ワイン庁の資料で確認

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

ヒフヴィ、カヘティでの別名はジャナヌラ。

ხიხვი=Khikhvi

ヒフヴィ(ხიხვი)は、カヘティの一部では「ジャナヌラ(Jananura)」とも呼ばれる白ブドウです。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC では、西部レチュフミの名前の似た品種「ヒフヴィ・レチュフミス」とは別の品種として登録されています。

02 — よみがえったブドウ

わずか1 haから、よみがえった白。

ヒフヴィの畑は、いまどれくらいあるのか。国立ワイン庁の品種解説が2004年に記した面積から復興が進み、畑は大きく広がりました。

2023年の登録面積。国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録)の数字です。

早く熟す

ルカツィテリより9〜10日早く熟す早生で、涼しい高地にも向きます。

香りを添える役

カルデナヒやティバアニでは、ルカツィテリに加えてブレンドに芳香を添えます。

酒精強化の伝統

カルデナヒ村の酒精強化ワインは1926年から造られてきました。ヒフヴィは、その構成品種の一つです。

03 — 味わい

ヒフヴィの味わいとは?

ツゲと野の花、穏やかな酸。

辛口白の場合の目安です。

香り

ツゲ(ボックスウッド)や野の花を思わせる香りが、熟した黄色い果実と杏の風味を引き立てます。アルコールは中程度です。

アンバーと酒精強化では

クヴェヴリで醸すと干した果実と花のニュアンスが強まり、酒精強化のカルデナヒでは甘みと蜂蜜の香りが加わります。

国際品種で例えると

香りが主体の白です。マルサンヌやルーサンヌのような、花と黄色い果実の香りを持つ白に近いイメージです。

ヒフヴィの白ワインをグラスに、トビリシ旧市街のカフェのテラスで。丘の上のナリカラ要塞を望む昼下がり(イメージ)

合わせる料理

ハーブの鶏肉と、焼き菓子。

辛口白はハーブを使った鶏肉や白身魚の料理、チーズパン「ハチャプリ」、香りの穏やかなアジア料理と。アンバーは胡桃を使ったジョージア料理や熟成チーズ、酒精強化のカルデナヒはナッツやドライフルーツ、焼き菓子に。

04 — スタイル

辛口、アンバー、酒精強化。3つのスタイル。

同じヒフヴィでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月に入ると早生のヒフヴィから収穫が始まり、辛口の白は酸を残して早めに、クヴェヴリのアンバーや酒精強化は糖が乗るまで待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

カヘティでのヒフヴィの収穫後の選果。農家の庭先で、選り分けた葉を青い籠から空ける二人と、奥の台に並ぶ黄緑色の房(イメージ)
ヒフヴィの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫早生
木の勢い中
収量中より少ない

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

辛口白(近代的製法)

ツゲと野の花の香り。単独でも、ブレンドの香り付けにも。

造り
ステンレスタンク、果皮接触なし
色
淡い色調
香り
ツゲと野の花
アルコール
中程度

カヘティのアラザニ川右岸、東〜南東部のグルジャアニ周辺などで造られています。

STYLE 02

クヴェヴリ・アンバー

芳香系品種ならではの華やかさが残るアンバー。

造り
果皮・種とともにクヴェヴリで醸す
色
琥珀色
香り
干した果実と花
味わい
明確なタンニン

カヘティのマラニ(醸造場)で、修道院から小規模生産者まで造られています。

STYLE 03

酒精強化(カルデナヒ)

蜂蜜を思わせる香りの、琥珀色の酒精強化白。

造り
ルカツィテリ主体に、ヒフヴィとムツヴァネ・カフリを加える
色
琥珀色
香り
蜂蜜を思わせる

グルジャアニ市カルデナヒ村周辺のPDOカルデナヒ(2007年登録)。辛口のアンバーと、白の酒精強化ワインを定めています。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

黄緑の粒に、裏が銀白色でピンクがかる葉。畑でヒフヴィを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。

ヒフヴィの特徴の解説図。小さく密な円筒円錐形の房、大きく主に3裂の葉と銀白色の毛のある葉裏、黄緑色の果皮、楕円形で多汁な果粒(イメージ)
果皮色
黄緑
果粉(粒の表面の白い粉)は中程度
果粒
楕円
長さ14〜18mm、幅13.5〜17.6mm
房
円筒円錐形〜円筒形
長さ12〜16cm、幅6〜8cm。小ぶりで粒は密につく
葉
3つに裂ける
全体は丸い形
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、房の重さ、葉の表と裏)
ヒフヴィの形態
果皮薄く丈夫
果粉中程度
果肉・果汁肉厚で多汁
房の重さ平均80〜200g
葉の切れ込み中程度。深い切れ込みは閉じて楕円形になる
葉の表黄緑
葉の裏銀白色でピンクがかる。葉脈に沿ってクモの巣状の毛が密

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

ヒフヴィが加わる、5つのPDO。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「カルデナヒ」とあれば、ヒフヴィが加わることもある琥珀色のワイン。5つのPDOのうち、個別に解説しているカルデナヒから紹介します。

ボトルの写真はイメージです。

ほかのPDOを見る(4件)
ヒフヴィを使用品種に挙げるそのほかのPDO
PDO区域タイプ使用品種
ティバアニTibaaniカヘティ(シグナギ)辛口アンバールカツィテリ(ムツヴァネ・カフリとヒフヴィを約15%まで)
アフメタAkhmeta (Akhmetis Mtsvane)カヘティ(アフメタ)白(辛口〜天然半甘口)・アンバームツヴァネ・カフリのみ(アンバーはキシ・ヒフヴィを合わせて15%まで)
ツァラピTsarapiカヘティ(グルジャアニ)辛口アンバールカツィテリ(ムツヴァネ・カフリ・ヒフヴィを合わせて15%まで)
カヘティKakheti (Kakhuri)カヘティ全域白・赤・ロゼ・アンバー(辛口〜甘口。地方全体の呼称)白・アンバー: ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、キシ、ヒフヴィほか / 赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか

07 — よくある質問

よくある質問。

ヒフヴィはオレンジワインにもなる? レチュフミのヒフヴィと同じ? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

ヒフヴィはどんなブドウですか?

ジョージア東部カヘティの白ブドウ品種です。ルカツィテリより早く熟す早生で、辛口白、クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すアンバーワイン、酒精強化のカルデナヒに使われます。

ヒフヴィの別名は?

カヘティの一部では「ジャナヌラ(Jananura)」とも呼ばれます。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC には、ジャナヌラを含む9つの別名が記録されています。

レチュフミのヒフヴィと同じですか?

いいえ、別の品種です。VIVC は、カヘティのヒフヴィ(6178)と、西部レチュフミの「ヒフヴィ・レチュフミス」(6179)を別の品種として登録しています。このページではカヘティのヒフヴィを紹介しています。

ヒフヴィの味の特徴は?

ツゲ(ボックスウッド)や野の花を思わせる香りが、熟した黄色い果実と杏の風味を引き立てます。アルコールは中程度、酸は穏やかで、単一品種でも、ブレンドの香り付けにも使われます。

ヒフヴィはアンバー(オレンジ)ワインにもなりますか?

なります。果皮・種とともにクヴェヴリで醸すと琥珀色になり、干した果実と花の香り、明確なタンニンを持ちます。芳香系品種らしい華やかさも残ります。

ヒフヴィに合う料理は?

辛口白はハーブを使った鶏肉や白身魚の料理、チーズパン「ハチャプリ」、香りの穏やかなアジア料理が目安です。アンバーは胡桃を使ったジョージア料理や熟成チーズ、酒精強化のカルデナヒはナッツや焼き菓子と合わせます。

ヒフヴィを使うPDOは?

5件あります。辛口アンバーと酒精強化白のカルデナヒ、アンバーのティバアニ、ツァラピ、アフメタ、カヘティ全域の呼称カヘティで、いずれもルカツィテリなどほかの品種に加えて使われます。

ヒフヴィの栽培面積は?

国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では305 haです。2004年の品種解説ではわずか1 haでしたが、その後の復興で大きく広がりました。

ヒフヴィのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルの品種名「Khikhvi」を手がかりに探し、酒精強化ならPDO名「カルデナヒ」を目安にすると選びやすくなります。

出典と検証。

ヒフヴィは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に6178番で登録され、原産国はジョージアと記されています。ジャナヌラなど9つの別名が記録され、日本を含む15の機関が遺伝資源として苗木を保存しています。EUの品種目録にも登録されています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月5日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC と国立ワイン庁の資料で確認)
主要出典VIVC、国立ワイン庁(品種解説・ブドウ畑カダストル2023・PDO)

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

2023
国立ワイン庁 ブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録)

305 ha

政府統計
2026
VIVC

登録番号 6178。原産国ジョージア

国際データベース