ジョージアの半甘口赤ワイン ・ カヘティ ・ PDO

アハシェニ

Akhasheni ・ ახაშენი

アハシェニ(Akhasheni、アハシェーニとも)とは、ジョージア・カヘティ地方のアラザニ川右岸、グルジャアニ周辺の特定区域で、サペラヴィから造られる天然半甘口(セミスイート)の赤ワインです。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。発酵を途中で止めてブドウ由来の糖(残糖18〜45g/L)を残す製法が仕様書で定められ、加糖は禁止されています。対岸(左岸)のキンズマラウリと対になる呼称で、1958年から造られ、2005年に登録番号4として登録されました。

タイプ
天然半甘口の赤
残糖18〜45 g/L
品種
サペラヴィ
他品種の使用は禁止
産地
カヘティ
アラザニ川右岸、グルジャアニ周辺
登録
2005年
登録番号4(8月30日)
根拠の強さ
B
公的資料。PDO仕様書で確認

出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。

01 — 規定

アハシェニを名乗るための数字。

仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。どの生産者のアハシェニも、この枠の中で造られます。

残糖
18–45g/L
半甘口。幅があり、甘さの印象は生産者で変わる
アルコール度数
10.5% 以上
発酵を途中で止めるため、辛口より低め。総アルコールは15.6%以下
収穫時の糖度
22% 以上
完熟したブドウだけを使う
酸度
5g/L 以上
甘さを支える酸の下限
収量
10t/ha
畑 1 ヘクタールあたり
搾汁
650L 以下
ブドウ 1 t から
エキス分
22g/L 以上
糖を除いた成分の濃さ
畑の標高
350–700m
ツィヴ・ゴンボリ山系の林縁の斜面からアラザニ川まで
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アハシェニの仕様の要点
タイプ赤・天然半甘口。色は濃い赤
使用品種サペラヴィ。他品種の使用は禁止
地域・区域カヘティ地方(内カヘティ)、アラザニ川中流の右岸(北緯41°48′・東経45°44′)。ツィヴ・ゴンボリ山系の林縁の斜面からアラザニ川までで、ゼガアニ、アハシェニ、チュムラキ、キタアニの耕地、グルジャアニの一部を含む
畑標高350〜700m。畝間1〜3m、株間0.8〜1.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由
収穫と輸送完熟ブドウのみ、収穫時の糖度22%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台。ポリエチレンの袋は使用不可
収量10t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下
製法除梗のうえ、果醪を30℃以下で不完全アルコール発酵。発酵は自然に、または冷却と亜硫酸添加で止める。マロラクティック発酵は行わない。砂糖・濃縮果汁などによる糖の添加は禁止
成分実アルコール10.5%以上(総アルコール15.6%以下)、残糖18〜45g/L、酸度5g/L以上、揮発酸1.2g/L以下、エキス分22g/L以上、総亜硫酸200mg/L以下
熟成仕様書に熟成の規定はない
醸造場所ブドウは区域内の畑のものに限る。醸造は区域内、または区域外でもカヘティ栽培地域内であれば可。流通は瓶詰めのみ
表示ラテン文字で「AKHASHENI」、「Protected Designation of Origin」または「PDO」
登録・管理登録番号4、2005年8月30日。申請者・管理機関は国立ワイン庁

数値は仕様書(英訳版、2023年1月印刷)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。

02 — 産地

アハシェニの産地、アラザニ右岸の林縁の斜面。

アハシェニの区域は、アラザニ渓谷の南側(右岸)、ツィヴ・ゴンボリ山系の林縁の斜面がアラザニ川へ下る一帯です。北をチェラミ渓谷、南東をタナナ渓谷に区切られ、畑は南西・北東・東を向く緩やかな斜面と、川に向かう平地の標高350〜700mに広がります。

仕様書は区域を、ゼガアニ、アハシェニ、チュムラキ、キタアニの耕地、グルジャアニの各一部で示しています。この一帯は辛口赤のムクザニの区域と重なり、同じ畑のサペラヴィでも、製法と甘辛で名前が分かれます。

地域

カヘティ

ジョージア最大のワイン産地。アラザニ渓谷の北側(左岸)と南側(右岸)で土壌と日照が異なり、PDOの区分にも反映されています。

同じ一帯の、別の呼称

ムクザニ

アハシェニ村を含む右岸の一帯で、サペラヴィを完全に発酵させた辛口赤のPDO。違いは甘辛と製法です。

03 — 気候と土壌

右岸の日差しが、地面を温める、気候と土壌を解説。

仕様書は、雲の少ない右岸の日射と、深くまで温まる炭酸塩土壌が、サペラヴィの糖度を高めると説明しています。

7月中旬から8月末、深さ40〜70cmの地温は24℃に達する。6月中旬から9月末までの3か月余り、地温は20℃を超え続けます。仕様書は、アラザニ川の右岸は左岸より雲が少なく日射が多いと記し、それが甘さの土台になると説明しています。

年平均気温
12.5℃
7〜8月は23.5〜23.7℃、1月は+1.1℃
生育期の日照
1,600時間
年間は2,150〜2,200時間
降水量
860mm
年間。うち生育期に637mm
霜のない期間
248日
最後の霜は3月24日、初霜は11月27日

炭酸塩の多い褐色土

仕様書は土壌を5種に分けています。山系の北東斜面(アハシェニのパパリ耕地、チュムラキの南西部)にはレンジナ質の褐色土が2種。厚さ60〜90cm、表層は暗褐色から黒で、炭酸塩を多く含み、下層では40〜50%を超えます。pHは7.5〜8.6のアルカリ性です。

段丘の沖積土と、山裾の崩積土

区域の中央から北東、アラザニ川の第二段丘とチェラミ川・パプリ川沿いには炭酸塩を含む沖積土が2種、山系の南斜面の裾には崩積土が1種。いずれも厚さ1.5mと深く、腐植層は50〜60cm。腐植は1.5〜3.0%で、窒素・リン・カリウムは乏しい土地です。

気候と土壌の数値は、仕様書 第9章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。降雹は年1.6〜2.1日(5〜6月が最多)で、左岸のツィナンダリやテラヴィより少ない。積雪は12月下旬から3月中旬、雪の日は年26日。卓越風は西(32%)と南西(23%)、平均風速1.4m/s。

04 — 品種

アハシェニのブドウは、サペラヴィ。

仕様書はサペラヴィだけを認め、他品種を禁止しています。ブドウは区域内の畑で収穫したものに限られ、収穫時の糖度は22%以上と定められています。

アハシェニの品種サペラヴィの房。濃い青からほぼ黒の果粒に厚い果粉(イメージ)

Saperavi ・ 黒

サペラヴィ

果肉まで色付くタンテュリエ。高い酸が残糖を支え、半甘口でも重たくなりにくい。

同じ品種、同じ一帯

ムクザニ

同じ右岸の畑のサペラヴィを完全に発酵させた辛口赤。製法と甘辛で名前が分かれます。

同じ品種、対岸の左岸

キンズマラウリ

アラザニ川の対岸、クヴァレリの天然半甘口赤。数値の規定はアハシェニとほぼ同じで、違いは畑の場所です。

05 — 造り方

アハシェニの甘さは、発酵を止めて残す。

「天然」半甘口とは、砂糖や濃縮果汁を足すのではなく、発酵を途中で止めてブドウ自身の糖を残すことです。仕様書は加糖を明確に禁止しています。畑から出荷まで、定められた流れを順に追います。

  1. 完熟を待つ

    使えるのは完熟したブドウだけ。収穫時の糖度は22%以上。収量は1haあたり10t以下です。

  2. 傷めずに運ぶ

    輸送は木箱かプラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台で。ポリエチレンの袋は使えません。

  3. 発酵を途中で止める

    除梗した果醪を30℃以下で発酵させ、自然に、または冷却と亜硫酸添加で止めます。糖が18〜45g/L残り、アルコールは10.5%以上。マロラクティック発酵は行いません。

  4. カヘティの中で醸す

    醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内。糖の添加はどの段階でも禁止です。

  5. 瓶で届ける

    流通できるのは瓶に詰めたものだけ。ラベルには「AKHASHENI」と「PDO」の表示が入ります。

06 — 歴史

アハシェニの歴史。1942年の会議から生まれた半甘口。

仕様書によれば、ジョージアのワイン会社は1940年代まで安定した半甘口を造る技術を持たず、戦時下の会議が新しい技術と工場をもたらしました。

  1. 1940年代まで
    安定した半甘口が造れない
    ジョージアのワイン会社には、品質の安定した半甘口を造る技術も設備もありませんでした。
  2. 1942年9月3日
    トビリシの会議
    醸造所、研究機関、ジョージアに疎開していた科学者(ゲラシモフ、エゴロフ、サエンコら)と醸造家が集まり、半甘口をはじめとする現代的な醸造技術の導入が決まります。科学アカデミーの農業部門が実行を担い、ゼガアニ村を含む各地に近代設備の工場が建てられました。
  3. 1958年
    ワイン「アハシェニ」の生産が始まる
    「サムトレスト」の専門家たちが生み出した天然半甘口として、仕様書は「1958年から生産されている」と記しています。
  4. 1990年まで
    国際品評会で11のメダル
    金6、銀5。各国のコンクールと展示会で受賞を重ねました。
  5. 2005年8月
    PDOとして登録
    登録番号4。申請者は国立ワイン庁。同じ日にムクザニ(登録番号2)も登録されました。

07 — 味わい

アハシェニの味わいとは?

右岸の日差しが、甘さをつくる。

アハシェニを注いだグラス(イメージ)
  • 色
    濃い赤
    仕様書が定める色
  • 口当たり
    ベルベットのよう
    調和がとれ、上品
  • 香り
    サペラヴィの香味と果実
    心地よい甘さに果実のトーン
  • 甘さ
    残糖 18–45 g/L
    半甘口。生産者で幅がある
  • 酸
    5 g/L 以上
    甘さを重たくしない

仕様書が定める味わい

濃い赤色。完成度が高く調和がとれ、ベルベットのようで上品、心地よい甘さと果実のトーン、サペラヴィのブドウらしい味と香り。

キンズマラウリとの違い

残糖・アルコール・酸の規定はほぼ同じで、違いは畑の場所です。右岸のアハシェニは雲が少なく日射が多い一帯で、仕様書はそれが甘さの土台になると説明しています。どちらも半甘口(セミスイート)で、甘さの印象は生産者で変わります。

アハシェニの飲み方: 温度と合う料理

やや冷やして供されることが多く、辛味のある料理やブルーチーズ、果物を使ったデザートと合わせる例が紹介されます。

08 — 似たPDOと比べる

アハシェニと似たジョージアワインの違い。

同じサペラヴィ、同じ天然半甘口でも、畑の場所が違えば別の呼称になります。数値は各PDOの仕様書によります。

  • アハシェニ
    カヘティ、グルジャアニ(アラザニ川右岸)
    残糖18–45g/L
    天然半甘口赤
    サペラヴィ
  • カヘティ、クヴァレリ(左岸)
    残糖18–45g/L
    天然半甘口赤
    サペラヴィ、サペラヴィ・ブデシュリ
  • ラチャ、アンブロラウリ
    残糖30–45g/L
    天然半甘口赤
    アレクサンドロウリ、ムジュレトゥリ
  • カヘティ、グルジャアニ(右岸、同じ一帯)
    残糖4g/L 以下
    辛口赤
    サペラヴィ100%
  • カヘティ、クヴァレリ(左岸)
    残糖4g/L
    辛口赤
    サペラヴィ

09 — 名乗る条件

アハシェニを名乗る条件は、4 つ。

区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、アハシェニを名乗れます。

アハシェニのラベルが貼られた赤ワインのボトル(イメージ)
  1. 区域カヘティ、アラザニ川右岸のゼガアニ・アハシェニ・チュムラキ・キタアニ・グルジャアニの一部の畑
  2. 品種サペラヴィ。他品種は禁止
  3. 製法果醪の不完全アルコール発酵(自然に、または冷却と亜硫酸で止める)。加糖は禁止
  4. 成分残糖 18〜45 g/L、アルコール 10.5% 以上、酸 5 g/L 以上、エキス分 22 g/L 以上

アハシェニ村と、PDOのアハシェニ

アハシェニはグルジャアニ市の村の名前でもあります。PDOの区域は村より広く、ゼガアニ、チュムラキ、キタアニ、グルジャアニの各一部を含みます。ラベルの「アハシェニ」はPDO名であり、アハシェニ村の畑に限られるわけではありません。

甘さは足したものではない

仕様書は、砂糖・濃縮果汁などで糖を増やすことをどの段階でも禁止しています。アハシェニの甘さは、発酵を途中で止めて残したブドウ自身の糖です。区域外のサペラヴィを半甘口に仕上げても、アハシェニとは名乗れません。

名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。

10 — よくある質問

よくある質問。

アハシェニとは、どんなワインですか?

ジョージア東部カヘティ地方、アラザニ川右岸のグルジャアニ周辺の特定区域で、黒ブドウのサペラヴィから造られる半甘口(セミスイート)の赤ワインです。発酵を途中で止めてブドウ由来の糖を残す製法が仕様書で定められ、残糖18〜45g/L、アルコール度数10.5%以上。名前は産地呼称(PDO)で、2005年に登録されました。

アハシェニは甘いワインですか?

半甘口の赤です。仕様書は残糖を18〜45g/Lと定めています。あわせて酸度5g/L以上も求められるため、甘さと酸の両方を備えたワインになります。残糖に幅があるので、甘さの印象は生産者によって変わります。

甘さは砂糖を加えたものですか?

いいえ。仕様書は、砂糖・濃縮果汁などで糖を増やすことを果汁・果醪・ワインのどの段階でも禁止しています。発酵を自然に、または冷却と亜硫酸添加で途中で止め、ブドウに由来する糖を残します。

アハシェニに使うブドウは、サペラヴィだけですか?

はい。仕様書はサペラヴィだけを認め、他品種の使用を禁止しています。ブドウはアハシェニの区域内の畑で収穫したものに限られ、収穫時の糖度は22%以上と定められています。

どこで造られますか?

ジョージア東部、カヘティ地方のアラザニ川中流の右岸です。ツィヴ・ゴンボリ山系の林縁の斜面がアラザニ川へ下る一帯で、仕様書はゼガアニ、アハシェニ、チュムラキ、キタアニの耕地、グルジャアニの各一部を区域としています。醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内で行います。

いつから造られていますか?

仕様書は「1958年から」と記しています。1942年9月のトビリシの会議で半甘口の醸造技術の導入が決まり、ゼガアニ村などに近代設備の工場が建てられたのち、「サムトレスト」の専門家たちが生み出したワインです。1990年までに国際品評会で11のメダル(金6、銀5)を受け、PDOとしての登録は2005年8月30日(登録番号4)です。

キンズマラウリとはどう違いますか?

どちらもサペラヴィの天然半甘口赤で、残糖(18〜45g/L)やアルコール(10.5%以上)の規定もほぼ同じです。違いは畑の場所で、アハシェニはアラザニ川の右岸(グルジャアニ側)、キンズマラウリは左岸(クヴァレリ側)。仕様書は右岸のほうが雲が少なく日射が多いと記しています。

「AKHASHENI」と書かれたワインは、すべて同じ生産者のものですか?

いいえ。アハシェニは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。

アハシェニのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「AKHASHENI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。生産者によって甘さの印象が違うので、残糖の値や店の説明を手がかりに選びます。

出典と検証。

本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「アハシェニ」仕様書(登録番号4、2005年8月30日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、出典の一覧は出典ページを参照してください。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(相互確認)
初回公開2026年9月6日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。PDO仕様書・法令)
主要出典国立ワイン庁 PDO仕様書「Akhasheni」(英訳版)、国立ワイン庁PDO登録一覧
注記味わいの記述は一般的傾向。仕様書の数値は英訳版に基づく

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