ほぼ黒に近い色
果皮と果肉の両方から色が出るため、辛口赤は濃い紫〜黒に近い色調になります。
01 — 名称
საფერავი=染めるもの
サペラヴィ(საფერავი)は、ジョージア語で「染料」「色を付けるもの」を意味する言葉に由来する名前です。グラスに注いだ深い色を見れば、その理由がわかります。
02 — 果肉まで赤い
サペラヴィのワインは、なぜあれほど色が濃いのか。答えは粒の中にあります。多くの黒ブドウは果肉が透明ですが、サペラヴィは果肉と果汁まで赤く色付く「タンテュリエ」。断面を比べてみましょう。
果皮と果肉の両方から色が出るため、辛口赤は濃い紫〜黒に近い色調になります。
果汁まで色付くので、ロゼに仕立てても色が濃く出ます。
フランスのアリカント・ブーシェも、果肉まで色付くタンテュリエです。
03 — 味わい
濃いのに、重すぎない。
辛口赤の場合の目安です。
ブラックベリー、黒スグリ、プラムなどの黒系果実。熟成やクヴェヴリ醸造により、スパイス、土、ドライフルーツのニュアンスが加わります。
高い酸が濃さを支えるため、力強さの割に重たくなりすぎないのが特徴です。
色と骨格はカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーに近く、酸はそれらより高いのが目安です。
合わせる料理
仔羊や牛の直火焼き、ジョージアの串焼き「ムツヴァディ」、熟成チーズ。半甘口はブルーチーズや辛味のある料理とも。
04 — スタイル
同じサペラヴィでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月下旬、糖と酸を確かめながら収穫が始まり、半甘口に向ける畑ほど遅く摘みます。好みのスタイルを見つけてください。
| 成熟期・収穫 | 9月後半〜10月前半に収穫(中晩生〜晩生) |
| 木の勢い | 中 |
| 収量 | 多い |
成熟期・樹勢・収量は、ジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。
STYLE 01
濃い色と骨格。長く熟成できる辛口の赤。
アラザニ川右岸、グルジャアニ市のムクザニが代表的な産地です。サペラヴィ100%の辛口赤で、熟成は任意、行う場合は木樽で6か月以上と定められています。
STYLE 02
果皮と種ごと甕で醸す、ジョージア伝統の赤。
カヘティ全域で、各家庭やワイナリーのマラニ(醸造場)に伝統が続いています。
STYLE 03
糖を残して発酵を終える、伝統の半甘口の赤。
代表的な産地は、アラザニ川左岸・クヴァレリ市のキンズマラウリ(冷涼な微気候と高い糖度が条件の特定区域)と、右岸・グルジャアニ市のアハシェニです。
05 — ブドウとしての性質
濃い青の粒に白い粉、3つに裂けた葉。畑でサペラヴィを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。
| 果皮 | 薄いが丈夫 |
| 果粉 | 厚い果粉 |
| 果肉・果汁 | 多汁、種の周りはやや固い。果肉・果汁も着色(タンテュリエ) |
| 房の重さ | 平均140〜160 g(カヘティ)。1房に約100〜120粒 |
| 葉の切れ込み | 上側はかなり深いか浅い(変異あり) |
| 葉の裏面 | フェルト状〜クモの巣状の毛が密。表面は明るい緑 |
出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。
06 — PDOと産地
PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「ムクザニ」「キンズマラウリ」とあれば、それはサペラヴィのワイン。サペラヴィを使う13のPDOのうち、まずは代表的な6つを紹介します。
辛口赤ムクザニカヘティ(グルジャアニ)サペラヴィ100%
辛口赤クヴァレリカヘティ(クヴァレリ)サペラヴィのみ
天然半甘口赤キンズマラウリカヘティ(クヴァレリ)サペラヴィ(サペラヴィ・ブデシュリも可)
天然半甘口赤アハシェニカヘティ(グルジャアニ)サペラヴィ
辛口白・辛口赤ナパレウリカヘティ(テラヴィ)ルカツィテリ(白)/ サペラヴィ(赤。サペラヴィ・ブデシュリも可)
辛口白(規定では辛口赤も定める)ツィナンダリカヘティ(テラヴィ)ルカツィテリ85%以上、ムツヴァネ・カフリ15%以下(白)/ サペラヴィ(赤)ボトルの写真はイメージです。
| PDO | 区域 | タイプ | 使用品種 |
|---|---|---|---|
| コトヒKotekhi | カヘティ(グルジャアニ) | 辛口白・辛口赤 | ルカツィテリ(白)/ サペラヴィ(赤) |
| ゼガアニZegaani | カヘティ(グルジャアニ) | 辛口赤(クヴェヴリ醸造) | サペラヴィのみ |
| サペラヴィ・ハシュミSaperavi Khashmi | カヘティ(サガレジョ) | 辛口赤 | サペラヴィのみ |
| アホエビAkhoebi | カヘティ(グルジャアニ) | 辛口赤 | サペラヴィ、サペラヴィ・ブデシュリ |
| カヘティKakheti (Kakhuri) | カヘティ全域 | 白・赤・ロゼ・アンバー(カヘティ全域の呼称) | 赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか |
| サザノス・オツハヌリSazanos Otskhanuri | イメレティ(テルジョラ、ゼスタポニ) | 辛口赤 | オツハヌリ・サペレ(サペラヴィを5%まで) |
| ボルニシBolnisi | カルトリ(ボルニシ) | 辛口の白・アンバー・赤・ロゼ | 赤: サペラヴィ、タヴクヴェリ、シャヴカピト、アスレトゥリ・シャヴィ |
07 — よくある質問
サペラヴィは甘口?辛口? どこの国のブドウ? 気になる10の疑問に、短く答えます。
ジョージア原産の黒ブドウ品種で、東部のカヘティ地方を主産地とします。名前はジョージア語の「染料」「色を付けるもの」に由来し、果肉まで色付く「タンテュリエ」です。ジョージアで最も栽培面積の広い黒品種で、ムクザニやキンズマラウリなど 13 の PDO(原産地呼称)が使用品種に挙げています。
はい。ジョージア原産の黒ブドウ品種で、辛口赤、クヴェヴリ醸造の赤、天然の半甘口赤(キンズマラウリ、アハシェニ)に使われます。果肉まで色付くため、ロゼにしても色が濃く出ます。
ジョージア(旧称グルジア)東部のカヘティ地方を主産地とする品種です。ジョージア全域のほか、ロシア、ウクライナ、モルドバなど旧ソ連の国々でも栽培されています。国立ワイン庁のブドウ畑台帳(2023年)では栽培面積17,406 haで、黒品種として最大です。
ほぼ黒に近い濃い色、豊かなタンニン、高い酸、フルボディが特徴です。ブラックベリーや黒スグリなどの黒系果実に、熟成やクヴェヴリ醸造でスパイスや土のニュアンスが加わります。高い酸があるため、濃さの割に重たくなりすぎません。
両方あります。ムクザニなど多くのPDOは辛口赤、キンズマラウリとアハシェニは糖を残して発酵を終える天然の半甘口赤です。ラベルの PDO 名で見分けられます。
仔羊や牛の直火焼き、ジョージアの串焼き「ムツヴァディ」、熟成チーズなど、肉の旨みや脂のある料理が目安です。天然の半甘口(キンズマラウリ、アハシェニ)は、ブルーチーズや辛味のある料理とも合わせられます。
果皮だけでなく、果肉と果汁まで色付くブドウのことです。多くの黒ブドウは果肉に色がなく、ワインの色は果皮から出ます。サペラヴィは果肉も赤いため、ワインがほぼ黒に近いほど濃い色になります。フランスのアリカント・ブーシェも同じ性質です。
同じ品種です。「サペラビ」は日本語表記の揺れで、ラテン文字では Saperavi、ジョージア語では საფერავი、ロシア語では Саперави と書きます。本サイトでは「サペラヴィ」に統一しています。
本サイトでは、名称を共有する別の系統として区別して扱います。PDOの規定では、キンズマラウリ、ナパレウリ(赤)、アホエビでサペラヴィとの併用が認められています。なお、名前の似た「ブデシュリ・ツィテリ」(別名ブデシュリ・サペラヴィ)は、さらに別の品種です。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。辛口ならムクザニやクヴァレリ、天然の半甘口ならキンズマラウリやアハシェニと、ラベルの PDO 名を手がかりにすると選びやすくなります。
08 — 飲んでみる
読んだあとは、グラスで確かめる番です。辛口から天然の半甘口まで、ジョージアワイン専門店であなたの好きなサペラヴィを見つけてください。
サペラヴィは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に10708番で登録され、DNAの型も複数の研究機関から公表されています。ジョージア国内外の研究機関で、遺伝資源として大切に保存されています。
このページの根拠になった資料です。国際的な品種の登録簿、国立ワイン庁の統計、研究論文を、資料ごとに紹介します。
主要黒品種として詳述
査読論文・学術機関17,406 ha(全体の約44%)
政府統計登録番号 10708。原産国ジョージア
国際データベース