黒品種 ・ ワイン用 ・ 品種登録番号 10708

サペラヴィ

Saperavi ・ საფერავი

サペラヴィは、ジョージア東部カヘティを主産地とする黒ブドウ品種です。果皮だけでなく果肉まで色付く「タンテュリエ」で、濃い色調、豊かな酸とタンニンを持つワインを生みます。ムクザニやキンズマラウリなど主要PDO(原産地呼称)の基幹品種であり、現在も商業栽培が広く行われています。

サペラヴィの房の接写。濃い青からほぼ黒の楕円形の果粒に厚い果粉、明るい緑の3裂の葉(イメージ)
栽培面積
17,406ha
黒品種で最大(2023年)
ブドウ畑に占める割合
約44%
主産地はカヘティ
使用品種に挙げるPDO
13件
ムクザニ、キンズマラウリなど
収穫
9月下旬〜
中晩生〜晩生・商業栽培
根拠の強さ
A
A〜E でもっとも確か。DNAで品種を確認済み

栽培面積と割合は国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(2023年)。根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

サペラヴィの意味は「染めるもの」。

საფერავი=染めるもの

サペラヴィ(საფერავი)は、ジョージア語で「染料」「色を付けるもの」を意味する言葉に由来する名前です。グラスに注いだ深い色を見れば、その理由がわかります。

02 — 果肉まで赤い

果肉まで、赤い。

サペラヴィのワインは、なぜあれほど色が濃いのか。答えは粒の中にあります。多くの黒ブドウは果肉が透明ですが、サペラヴィは果肉と果汁まで赤く色付く「タンテュリエ」。断面を比べてみましょう。

ほぼ黒に近い色

果皮と果肉の両方から色が出るため、辛口赤は濃い紫〜黒に近い色調になります。

ロゼでも色が濃い

果汁まで色付くので、ロゼに仕立てても色が濃く出ます。

同じ性質のブドウ

フランスのアリカント・ブーシェも、果肉まで色付くタンテュリエです。

03 — 味わい

サペラヴィの味わいとは?

濃いのに、重すぎない。

辛口赤の場合の目安です。

香り

ブラックベリー、黒スグリ、プラムなどの黒系果実。熟成やクヴェヴリ醸造により、スパイス、土、ドライフルーツのニュアンスが加わります。

濃いのに重すぎない理由

高い酸が濃さを支えるため、力強さの割に重たくなりすぎないのが特徴です。

国際品種で例えると

色と骨格はカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーに近く、酸はそれらより高いのが目安です。

サペラヴィの赤ワインをグラスに注ぐ。トビリシ旧市街の木造バルコニーを望むレストランの夕暮れ(イメージ)

合わせる料理

直火の肉と、熟成チーズ。

仔羊や牛の直火焼き、ジョージアの串焼き「ムツヴァディ」、熟成チーズ。半甘口はブルーチーズや辛味のある料理とも。

04 — スタイル

辛口、クヴェヴリ、半甘口。3つのスタイル。

同じサペラヴィでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月下旬、糖と酸を確かめながら収穫が始まり、半甘口に向ける畑ほど遅く摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

カヘティでのサペラヴィの収穫。手のひらにのせた2粒の果粒と、収穫箱に積まれた黒い房(イメージ)
サペラヴィの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫9月後半〜10月前半に収穫(中晩生〜晩生)
木の勢い中
収量多い

成熟期・樹勢・収量は、ジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

辛口(近代的製法)

濃い色と骨格。長く熟成できる辛口の赤。

造り
ステンレスまたはオークで熟成
色
濃い紫〜黒に近い
味わい
骨格のあるタンニン
熟成
長期熟成に向く

アラザニ川右岸、グルジャアニ市のムクザニが代表的な産地です。サペラヴィ100%の辛口赤で、熟成は任意、行う場合は木樽で6か月以上と定められています。

STYLE 02

クヴェヴリ醸造

果皮と種ごと甕で醸す、ジョージア伝統の赤。

造り
果皮・種と長く接触させる(クヴェヴリ)
味わい
より力強い構造
香り
土・スパイスのニュアンス

カヘティ全域で、各家庭やワイナリーのマラニ(醸造場)に伝統が続いています。

STYLE 03

天然の半甘口

糖を残して発酵を終える、伝統の半甘口の赤。

造り
糖を残して発酵を終える
味わい
豊かな果実味と酸のバランス

代表的な産地は、アラザニ川左岸・クヴァレリ市のキンズマラウリ(冷涼な微気候と高い糖度が条件の特定区域)と、右岸・グルジャアニ市のアハシェニです。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

濃い青の粒に白い粉、3つに裂けた葉。畑でサペラヴィを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。

サペラヴィの特徴の解説図。円錐形で粒の間隔が疎な房、楕円形の果粒と厚い果粉、赤く色づく果肉と果汁、主に3裂の葉(イメージ)
果皮色
濃い青〜ほぼ黒
表面に白い粉(果粉)が厚くつく
果粒
楕円形
長さ13〜20mm、幅12〜18.5mm
房
円錐形
粒はまばら。長さ13〜21cm、幅7.5〜12cm
葉
3つに裂ける
全体は丸い形
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、葉の裏、熟す時期など)
サペラヴィの形態
果皮薄いが丈夫
果粉厚い果粉
果肉・果汁多汁、種の周りはやや固い。果肉・果汁も着色(タンテュリエ)
房の重さ平均140〜160 g(カヘティ)。1房に約100〜120粒
葉の切れ込み上側はかなり深いか浅い(変異あり)
葉の裏面フェルト状〜クモの巣状の毛が密。表面は明るい緑

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

サペラヴィで造る、13のPDOワイン。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「ムクザニ」「キンズマラウリ」とあれば、それはサペラヴィのワイン。サペラヴィを使う13のPDOのうち、まずは代表的な6つを紹介します。

ボトルの写真はイメージです。

ほかの 7 件
サペラヴィを使用品種に挙げるそのほかのPDO
PDO区域タイプ使用品種
コトヒKotekhiカヘティ(グルジャアニ)辛口白・辛口赤ルカツィテリ(白)/ サペラヴィ(赤)
ゼガアニZegaaniカヘティ(グルジャアニ)辛口赤(クヴェヴリ醸造)サペラヴィのみ
サペラヴィ・ハシュミSaperavi Khashmiカヘティ(サガレジョ)辛口赤サペラヴィのみ
アホエビAkhoebiカヘティ(グルジャアニ)辛口赤サペラヴィ、サペラヴィ・ブデシュリ
カヘティKakheti (Kakhuri)カヘティ全域白・赤・ロゼ・アンバー(カヘティ全域の呼称)赤: サペラヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンほか
サザノス・オツハヌリSazanos Otskhanuriイメレティ(テルジョラ、ゼスタポニ)辛口赤オツハヌリ・サペレ(サペラヴィを5%まで)
ボルニシBolnisiカルトリ(ボルニシ)辛口の白・アンバー・赤・ロゼ赤: サペラヴィ、タヴクヴェリ、シャヴカピト、アスレトゥリ・シャヴィ

07 — よくある質問

よくある質問。

サペラヴィは甘口?辛口? どこの国のブドウ? 気になる10の疑問に、短く答えます。

サペラヴィとは、どんなブドウですか?

ジョージア原産の黒ブドウ品種で、東部のカヘティ地方を主産地とします。名前はジョージア語の「染料」「色を付けるもの」に由来し、果肉まで色付く「タンテュリエ」です。ジョージアで最も栽培面積の広い黒品種で、ムクザニやキンズマラウリなど 13 の PDO(原産地呼称)が使用品種に挙げています。

サペラヴィは赤ワインの品種ですか?

はい。ジョージア原産の黒ブドウ品種で、辛口赤、クヴェヴリ醸造の赤、天然の半甘口赤(キンズマラウリ、アハシェニ)に使われます。果肉まで色付くため、ロゼにしても色が濃く出ます。

サペラヴィはどこの国のブドウですか?

ジョージア(旧称グルジア)東部のカヘティ地方を主産地とする品種です。ジョージア全域のほか、ロシア、ウクライナ、モルドバなど旧ソ連の国々でも栽培されています。国立ワイン庁のブドウ畑台帳(2023年)では栽培面積17,406 haで、黒品種として最大です。

サペラヴィの味の特徴は?

ほぼ黒に近い濃い色、豊かなタンニン、高い酸、フルボディが特徴です。ブラックベリーや黒スグリなどの黒系果実に、熟成やクヴェヴリ醸造でスパイスや土のニュアンスが加わります。高い酸があるため、濃さの割に重たくなりすぎません。

サペラヴィは甘口ですか、辛口ですか?

両方あります。ムクザニなど多くのPDOは辛口赤、キンズマラウリとアハシェニは糖を残して発酵を終える天然の半甘口赤です。ラベルの PDO 名で見分けられます。

サペラヴィに合う料理は?

仔羊や牛の直火焼き、ジョージアの串焼き「ムツヴァディ」、熟成チーズなど、肉の旨みや脂のある料理が目安です。天然の半甘口(キンズマラウリ、アハシェニ)は、ブルーチーズや辛味のある料理とも合わせられます。

「タンテュリエ」とは何ですか?

果皮だけでなく、果肉と果汁まで色付くブドウのことです。多くの黒ブドウは果肉に色がなく、ワインの色は果皮から出ます。サペラヴィは果肉も赤いため、ワインがほぼ黒に近いほど濃い色になります。フランスのアリカント・ブーシェも同じ性質です。

「サペラビ」と「サペラヴィ」は同じ品種ですか?

同じ品種です。「サペラビ」は日本語表記の揺れで、ラテン文字では Saperavi、ジョージア語では საფერავი、ロシア語では Саперави と書きます。本サイトでは「サペラヴィ」に統一しています。

サペラヴィ・ブデシュリとは別の品種ですか?

本サイトでは、名称を共有する別の系統として区別して扱います。PDOの規定では、キンズマラウリ、ナパレウリ(赤)、アホエビでサペラヴィとの併用が認められています。なお、名前の似た「ブデシュリ・ツィテリ」(別名ブデシュリ・サペラヴィ)は、さらに別の品種です。

サペラヴィのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。辛口ならムクザニやクヴァレリ、天然の半甘口ならキンズマラウリやアハシェニと、ラベルの PDO 名を手がかりにすると選びやすくなります。

出典と検証。

サペラヴィは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に10708番で登録され、DNAの型も複数の研究機関から公表されています。ジョージア国内外の研究機関で、遺伝資源として大切に保存されています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

このページの検証状態

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月3日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さA(DNA・保存株。DNAで品種を確認済み)
主要出典VIVC、OIV統計、査読論文

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料です。国際的な品種の登録簿、国立ワイン庁の統計、研究論文を、資料ごとに紹介します。

2012
Caucasus and Northern Black Sea Region Ampelography(Vitis 51 特集号)

主要黒品種として詳述

査読論文・学術機関
2023
国立ワイン庁 ブドウ畑カダストル

17,406 ha(全体の約44%)

政府統計
2026
VIVC

登録番号 10708。原産国ジョージア

国際データベース

登録番号と原産地は、元の資料で確認しています。資料の基準年と用途は出典一覧、台帳の該当行は品種マスターリストを参照。