石灰の上の腐植炭酸塩土
主体は腐植炭酸塩土。石灰質の粘土と崩れた石灰岩の上にでき、土の厚さは50〜80cm、腐植の層は20〜40cmです。重い壌土と粘土で、腐植は1.5〜2.5%と少なく、炭酸カルシウムは2〜20%、pHは7.3〜8.2の弱アルカリ性。
ジョージアの半甘口白ワイン ・ レチュフミ ・ PDO
Tvishi ・ ტვიში
トゥヴィシ(Tvishi、トヴィシとも)とは、ジョージア西部レチュフミ地方のツァゲリ、リオニ川右岸のトゥヴィシ村とアルパナ村の畑で、西ジョージアの白ブドウ、ツォリコウリから造られる天然半甘口(セミスイート)の白ワインです。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。糖度22%以上に熟したブドウの自然流下果汁を発酵させ、糖(残糖18〜45g/L)を残す製法が仕様書で定められています。1952年、トゥヴィシの醸造所の建設とともに生まれ、2007年に登録番号797として登録されました。
出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。
01 — 規定
仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。白の半甘口として、赤のキンズマラウリと同じ残糖の幅を持ちます。
| タイプ | 白・天然半甘口。色は淡い麦わら色から麦わら色 |
| 使用品種 | ツォリコウリ。区域内で収穫したものに限り、他品種の使用は禁止 |
| 地域・区域 | レチュフミ地方ツァゲリ市、リオニ川右岸(北緯42°31′・東経42°54′)。トゥヴィシ村とアルパナ村 |
| 畑 | 標高400〜600m。畝間1〜2.5m、株間0.8〜2.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由 |
| 収穫と輸送 | 完熟ブドウのみ、収穫時の糖度22%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台。ポリエチレンの袋は使用不可 |
| 収量 | 10t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下(1haから6,500L以下) |
| 製法 | 自然流下の果汁のアルコール発酵(糖を残して止める)。使用できる操作・材料はジョージアの法令が認めるものに限る |
| 成分 | アルコール10.5%以上、残糖18〜45g/L、エキス分16g/L以上、酸度5g/L以上 |
| もう一つのタイプ | 英訳版の仕様書は「白の酒精強化」(アルコール18±0.5%、残糖10±0.5g/L以下、エキス分18g/L以上、酸度4g/L以上、蜂蜜の香り)も記載している |
| 醸造場所 | ブドウは区域内の畑のものに限る。処理・醸造・瓶詰めは区域外でも、ジョージア国内であれば可。流通は容器に詰めたもののみ |
| 表示 | ラテン文字で「TVISHI」、「Protected Designation of Origin」または「PDO」。キリル文字の表記も定められている |
| 登録・管理 | 登録番号797、2007年12月10日。申請者・管理機関は国立ワイン庁 |
数値は仕様書(英訳版)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。英訳版では半甘口の成分の見出しが「amber sec(辛口アンバー)」となっていますが、冒頭の定義(白の半甘口)と数値に従って読んでいます。
02 — 産地
トゥヴィシの区域は、ジョージア西部レチュフミ地方のツァゲリ市、リオニ川の右岸にある小さな一帯です。仕様書が区域とするのはトゥヴィシ村とアルパナ村の2村だけで、ジョージアのPDOの中でも最も小さな区域のひとつです。畑は標高400〜600mの、南東と東を向く緩やかな斜面と小さな段丘に広がります。
リオニ川を上流へたどると、ラチャ地方のフヴァンチカラの区域(アンブロラウリ)に続きます。トゥヴィシのブドウは区域内の畑のものに限られますが、処理・醸造・瓶詰めは区域外でも、ジョージア国内であれば認められています。
地域
ジョージア西部、リオニ川とツヘニスツカリ川の谷にある小さな山あいの産地。湿潤で冬は寒く、ツォリコウリの半甘口と、希少な黒ブドウのウサヘロウリで知られます。
川の上流の、赤の半甘口
リオニ川を上流へさかのぼったラチャ地方の、アレクサンドロウリとムジュレトゥリから造る天然半甘口の赤のPDO。西ジョージアの半甘口の対をなします。
03 — 気候と土壌
仕様書は、冬は寒く夏は長く暖かい湿潤な気候と、石灰質の粘土の上にできた腐植炭酸塩土が、この土地のツォリコウリの香りと味わいをつくると説明しています。
年間降水量は1,095mm。カヘティの辛口白の産地(800mm前後)より多く、湿潤な気候です。それでも8月の降水量は蒸発量とほぼつり合い、年によっては夏に畑への灌水が必要になると仕様書は記しています。
主体は腐植炭酸塩土。石灰質の粘土と崩れた石灰岩の上にでき、土の厚さは50〜80cm、腐植の層は20〜40cmです。重い壌土と粘土で、腐植は1.5〜2.5%と少なく、炭酸カルシウムは2〜20%、pHは7.3〜8.2の弱アルカリ性。
斜面の下部には、厚さ70〜100cmで炭酸塩の少ない崩積土が点在します。さらに小さな面積に、炭酸塩を含まない中性(pH 6.2〜7.1)の灰色土。仕様書は、この土壌の多様性とリオニ川右岸の微気候を、トゥヴィシの個性の根拠に挙げています。
気候と土壌の数値は、仕様書 第10章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。風は谷に沿って吹き、南西(22%)と南(17%)が卓越。年平均風速1.0m/sで、弱風の第III群に属します。
04 — 品種
仕様書は、トゥヴィシの区域で収穫したツォリコウリだけを認め、他品種を禁止しています。西ジョージアで最も広く栽培される白ブドウが、この谷では半甘口になります。
Tsolikouri ・ 白
西ジョージアの主要な白ブドウ。イメレティでは辛口に、レチュフミのこの谷では糖を残した半甘口になる。
同じ品種の、辛口
ツォリコウリはイメレティのPDOスヴィリでは、ツィツカやクラフナとともに辛口の白になります。同じブドウでも、谷と造り方で姿が変わります。
土地が引き出すもの
仕様書は、リオニ川右岸の微気候と土壌の多様性が、この土地のツォリコウリの香りと味わいを引き出し、トゥヴィシの特徴を決めると記しています。
05 — 造り方
「天然」半甘口とは、砂糖を足すのではなく、発酵を途中で止めてブドウ自身の糖を残すことです。白のトゥヴィシは、果皮を漬けずに自然流下の果汁だけを使います。
使えるのは完熟したブドウだけ。収穫時の糖度は22%以上。収量は1haあたり10t以下です。
輸送は木箱かプラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台で。ポリエチレンの袋は使えません。
圧力をかけずに流れ出る果汁を発酵させます。果皮を漬け込まないので、色は淡い麦わら色にとどまります。
発酵を途中で止め、糖を18〜45g/L残します。アルコールは10.5%以上、酸は5g/L以上。
処理・醸造・瓶詰めはジョージア国内であれば区域外でも可。流通できるのは容器に詰めたもので、ラベルには「TVISHI」と「PDO」の表示が入ります。
06 — 歴史
仕様書によれば、トゥヴィシは1952年、村に醸造所が建てられてから造られるようになりました。その前提にあったのは、1942年に始まる天然半甘口の技術の確立です。
07 — 味わい
湿った谷が、白に甘さを残す。
淡い麦わら色から麦わら色。欠点がなく、繊細で調和がとれ、果実のトーンと、土地を特徴づける心地よい甘さを持つ。
残糖の幅(18〜45g/L)は同じですが、トゥヴィシは白で、果皮を漬けない自然流下の果汁から造ります。渋みがなく、酸と果実の香りで甘さを支える、軽やかな半甘口になるとされます。
よく冷やして供されることが多く、果物やハチミツを使ったデザート、辛味のある料理、フレッシュチーズと合わせる例が紹介されます。
08 — 似たPDOと比べる
ジョージアの天然半甘口のPDOは4つ。白はトゥヴィシだけで、他の3つは赤です。数値は各PDOの仕様書によります。
09 — 名乗る条件
区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、トゥヴィシを名乗れます。


トゥヴィシは残糖18〜45g/Lの半甘口(セミスイート)で、45g/Lを超える甘口ではありません。西ジョージアの甘い白と呼ばれることがありますが、酸が5g/L以上と定められ、甘さだけのワインではありません。
トゥヴィシは必ずツォリコウリですが、ツォリコウリの半甘口がすべてトゥヴィシなわけではありません。区域外の畑のブドウや、他品種を混ぜたワインは、トゥヴィシと名乗れません。
名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。
10 — よくある質問
ジョージア西部レチュフミ地方のツァゲリ、リオニ川右岸のトゥヴィシ村とアルパナ村の畑で、白ブドウのツォリコウリから造られる天然半甘口(セミスイート)の白ワインです。発酵を途中で止めてブドウ由来の糖を残す製法が仕様書で定められ、残糖18〜45g/L、アルコール度数10.5%以上。名前は産地呼称(PDO)で、2007年に登録されました。
半甘口の白です。仕様書は残糖を18〜45g/Lと定め、酸度5g/L以上も求めています。45g/Lを超える甘口ではなく、残糖に幅があるので、甘さの印象は生産者によって変わります。
いいえ。糖度22%以上まで熟したブドウの自然流下の果汁を発酵させ、途中で止めてブドウに由来する糖を残します。「天然半甘口」の「天然」はこの意味です。
ツォリコウリだけです。仕様書は区域内で収穫したものに限り、他品種の使用を禁止しています。ツォリコウリは西ジョージアで最も広く栽培される白ブドウで、イメレティでは辛口に造られますが、トゥヴィシでは半甘口になります。
ジョージア西部、レチュフミ地方のツァゲリ市です。リオニ川右岸の標高400〜600mの緩やかな斜面と小さな段丘で、仕様書が区域とするのはトゥヴィシ村とアルパナ村の2村だけです。ブドウは区域内の畑のものに限られますが、醸造と瓶詰めはジョージア国内であれば区域外でも認められています。
仕様書によれば、1952年にトゥヴィシ村に醸造所が建てられてから造られています。その前提として、1942年以降に天然半甘口ワインの製法が確立されました。PDOとしての登録は2007年12月10日(登録番号797)です。
どれもジョージアの天然半甘口ですが、トゥヴィシだけが白です。フヴァンチカラはラチャの赤(アレクサンドロウリとムジュレトゥリ、残糖30〜45g/L)、キンズマラウリはカヘティの赤(サペラヴィ、残糖18〜45g/L)。トゥヴィシは果皮を漬けない自然流下の果汁から造るため、渋みのない軽やかな半甘口になります。
いいえ。トゥヴィシは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「TVISHI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。区域が小さく生産量が限られる呼称なので、赤の半甘口に比べると取扱いは多くありません。
11 — 飲んでみる
ここまで読んだトゥヴィシを、グラスで確かめる。ジョージアワイン専門店で、赤の半甘口(キンズマラウリ)と飲み比べるのもおすすめです。
本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「トゥヴィシ」仕様書(登録番号797、2007年12月10日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。