ジョージアの辛口赤ワイン ・ カヘティ ・ PDO

テリアニ

Teliani ・ თელიანი

テリアニ(Teliani)とは、ジョージア・カヘティ地方のアラザニ川右岸、テラヴィ近郊の特定区域で、カベルネ・ソーヴィニヨンから造られる辛口の赤ワインです。名前は産地呼称(PDO)で、規定を満たしたワインだけが名乗れます。仕様書は果醪を完全に発酵させる製法、残糖4g/L以下、アルコール11%以上、熟成を行う場合は木樽で6か月以上と定めています。19世紀末にフランスから持ち込まれたカベルネがこの土地で独自の姿を見せ、仕様書は「ジョージアはカベルネ・ソーヴィニヨンの第二の故郷」と記します。1897年から造られ、2007年に登録番号791として登録されました。

タイプ
辛口の赤
残糖4 g/L以下
品種
カベルネ・ソーヴィニヨン
他品種の使用は禁止
産地
カヘティ
テラヴィ近郊、アラザニ川右岸
登録
2007年
登録番号791(12月10日)
根拠の強さ
B
公的資料。PDO仕様書で確認

出典は国立ワイン庁の仕様書(英訳版)。公式の登録ページ(英語) ・ 根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。

01 — 規定

テリアニを名乗るための数字。

仕様書は、ブドウの熟度から瓶の中の成分までを数値で定めています。どの生産者のテリアニも、この枠の中で造られます。

残糖
4g/L 以下
辛口。ブドウの糖を最後まで発酵させ、アルコールに変える
アルコール度数
11% 以上
実アルコール。総アルコールは15%以下
収穫時の糖度
19% 以上
完熟したブドウだけを使う
酸度
5g/L 以上
骨格をつくる酸の下限
収量
10t/ha
畑 1 ヘクタールあたり
搾汁
650L 以下
ブドウ 1 t から
エキス分
22g/L 以上
糖を除いた成分の濃さ
畑の標高
350–600m
ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面からアラザニ川の段丘まで
仕様の一覧表を開く(全12項目)
テリアニの仕様の要点
タイプ赤・辛口。色は濃いルビー
使用品種カベルネ・ソーヴィニヨン。他品種の使用は禁止
地域・区域カヘティ地方、アラザニ川中流の右岸(北緯41°54′・東経45°35′)、ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面。南西をトビリシ〜テラヴィ鉄道、北西をツィナンダリ村とコンドリ村の境界からアラザニ川までの線、北東をアラザニ川、南東をヴァンタ渓谷に区切られる
畑標高350〜600m。畝間1〜3m、株間0.8〜1.5m、幹の高さ60〜90cm。剪定は片側式、ジョージア式両側、または自由
収穫と輸送完熟ブドウのみ、収穫時の糖度19%以上。輸送は木箱・プラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台。ポリエチレンの袋は使用不可
収量10t/ha以下。ブドウ1tからワイン650L以下
製法除梗のうえ、果醪を30℃以下で完全にアルコール発酵。その後マロラクティック発酵、最後に亜硫酸添加
成分実アルコール11%以上(総アルコール15%以下)、残糖4g/L以下、酸度5g/L以上、揮発酸1.2g/L以下、エキス分22g/L以上、総亜硫酸150mg/L以下
熟成任意。熟成せずに瓶詰めしてもよい。熟成する場合は木樽で6か月以上
醸造場所ブドウは区域内の畑のものに限る。醸造は区域内、または区域外でもカヘティ栽培地域内であれば可。流通は瓶詰めのみ
表示ラテン文字で「TELIANI」、「Protected Designation of Origin」または「PDO」
登録・管理登録番号791、2007年12月10日(英訳版の表記は「2007 10 12」)。申請者・管理機関は国立ワイン庁

数値は仕様書(英訳版、2023年1月印刷)に基づきます。原語版と相違がある場合は原語版が優先されます。

02 — 産地

テリアニの産地、鉄道と川にはさまれた小さな区域。

テリアニの区域は、アラザニ渓谷の南側(右岸)、ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面がアラザニ川へ下る、テラヴィ近郊の小さな一帯です。仕様書は村名ではなく境界線で区域を定めています。南西はトビリシ〜テラヴィ鉄道、北西はツィナンダリ村とコンドリ村の境界からアラザニ川までの線、北東はアラザニ川、南東はヴァンタ渓谷。

この一帯は白のPDOツィナンダリの区域と重なり、ツィナンダリ村の「テリアニ」という畑の名前が呼称のもとになっています。畑は標高350〜600mに広がり、醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内で行います。

地域

カヘティ

ジョージア最大のワイン産地。アラザニ渓谷の北側(左岸)と南側(右岸)で土壌と日照が異なり、PDOの区分にも反映されています。

区域が重なる、別の呼称

ツィナンダリ

同じテラヴィの右岸で、ルカツィテリとムツヴァネから造る辛口白(サペラヴィの赤もあり)のPDO。テリアニはその畑の一角から生まれました。

03 — 気候と土壌

夏の昼と夜の、9.5℃の差、気候と土壌を解説。

仕様書は、暑い夏と穏やかな冬、多くの日照、そして炭酸塩を含む段丘の土が、カベルネ・ソーヴィニヨンにこの土地ならではの姿を与えると説明しています。

夏の昼夜の気温差は8.0〜9.5℃(冬は4.8〜5.5℃)。昼は暑く夜は冷える夏に、年2,300時間を超える日照が重なります。成熟期の快晴の日は17〜19日。仕様書は、この条件でカベルネが独自の特徴と高い品質を示したと記しています。

年平均気温
12.1℃
7〜8月は22.9〜23.2℃、1月は+0.9℃
生育期の日照
1,660時間
年間は2,300時間以上
降水量
845mm
年間。うち生育期に644mm、成熟期(8〜9月)に144mm
積算温度
3,500℃ 超
10℃以上の積算。95%の年でこの値を超える

斜面の草地褐色土

仕様書は土壌を4種に分けています。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面の裾には、草地褐色土(古い沖積土)が2種。粘土質とローム質で、厚さ1〜1.5m以上、腐植層は50〜60cmです。

段丘の炭酸塩の沖積土

アラザニ川右岸の第二段丘には、炭酸塩を含む沖積土が2種。ローム質の割合は25〜50%、腐植は1.5〜3.0%と少なめで、炭酸カルシウムは5〜15%、pHは7.4〜8.0のアルカリ性。仕様書は「第三紀の礫の堆積」の上でカベルネが独自性を示したと記しています。

気候と土壌の数値は、仕様書 第9章「品質・評判と地理的区域との結びつき」によります。気温の絶対最低は−11℃(極値−23℃)、絶対最高は35℃(極値+38℃)。相対湿度は年平均70%。卓越風は西(30%)と東(24%)、平均風速1.7m/s。

04 — 品種

テリアニのブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨン。

仕様書は「カベルネ・ソーヴィニヨンのブドウから造り、他品種の使用を禁止する」と定めています。ジョージア固有品種ではないブドウを主役にした、数少ないPDOです。

品種

カベルネ・ソーヴィニヨン

フランス原産の黒ブドウ。仕様書によれば19世紀末にジョージアへ持ち込まれ、テリアニの「第三紀の礫の堆積」の上で独自の特徴と高い品質を示しました。仕様書はこれをもって「ジョージアはカベルネ・ソーヴィニヨンの第二の故郷と言ってよい」と記しています。

持ち込んだ人々

帝室領地局の専門家たち

カベルネの導入と栽培は、当時の帝室領地局の責任者たち — ゴーゴリ=ヤノフスキー、スペシネフ、マサノ、スタロセリスキー、ハイネ、マルコヴィチ、オフチャレンコ、トゥシュマリシヴィリ、ジョルジャゼ、ディキンソンら — によって行われました。

同じ区域の、別の呼称

ツィナンダリ(赤)

同じテラヴィ右岸のツィナンダリの区域では、サペラヴィから赤のツィナンダリも造られます。品種が違えば、呼称も違います。

「カヘティは赤ワインの国」

A. エゴロフの言葉

帝室領地局の主任醸造家(1899〜1925年)A. エゴロフは、ジョージアのワイン造りに大きく貢献し、「カヘティは赤ワインの国である」という言葉を残したと仕様書は記しています。

05 — 造り方

テリアニの辛口は、最後まで発酵させて生まれる。

除梗した果醪を30℃以下で完全に発酵させ、マロラクティック発酵を経て仕上げる。熟成は任意で、行う場合は木樽で6か月以上。仕様書が定める流れを、畑から出荷まで順に追います。

  1. 完熟を待つ

    使えるのは完熟したブドウだけ。収穫時の糖度は19%以上。収量は1haあたり10t以下です。

  2. 傷めずに運ぶ

    輸送は木箱かプラスチック箱、またはステンレス製か専用塗装の荷台で。ポリエチレンの袋は使えません。

  3. 最後まで発酵させる

    除梗した果醪を30℃以下で完全にアルコール発酵。糖は4g/L以下まで減り、アルコールは11%以上になります。その後マロラクティック発酵、最後に亜硫酸添加。

  4. 熟成は、するなら木樽で

    熟成は任意で、熟成せずに瓶詰めしてもかまいません。行う場合は木樽で6か月以上と定められています。

  5. 瓶で届ける

    醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内。流通できるのは瓶に詰めたものだけで、ラベルには「TELIANI」と「PDO」の表示が入ります。

06 — 歴史

テリアニの歴史。フランスのブドウが、カヘティに根づく。

仕様書によれば、19世紀末にツィナンダリの帝室領で始まったカベルネの栽培が、1897年から「テリアニ」というワインになりました。

  1. 19世紀末
    カベルネ・ソーヴィニヨンの導入
    フランス原産のカベルネ・ソーヴィニヨンがジョージアに持ち込まれ、帝室領地局の専門家たちの手でテリアニに植えられました。
  2. 1897年
    ワイン「テリアニ」の生産が始まる
    仕様書は「テリアニは1897年から生産されている」と記しています。
  3. 1899〜1925年
    主任醸造家エゴロフの時代
    帝室領地局の主任醸造家A. エゴロフがジョージアのワイン造りに大きく貢献し、「カヘティは赤ワインの国である」と述べました。
  4. 10のメダル
    国際品評会で金4・銀6
    仕様書は、テリアニが金4・銀6のメダルを受けたと記しています(年の記載なし)。
  5. 2007年12月
    PDOとして登録
    登録番号791。申請者は国立ワイン庁。同じ日にクヴァレリ(798)も登録されました。

07 — 味わい

テリアニの味わいとは?

カヘティで育つ、カベルネの第二の故郷。

テリアニを注いだグラス(イメージ)
  • 色
    濃いルビー
    仕様書が定める色
  • 口当たり
    フルで、ベルベットのよう
    抽出感があり、調和がとれている
  • 香り
    熟成で開く果実のブーケ
    土地を映す香りが、熟成で強く現れる
  • 甘さ
    残糖 4 g/L 以下
    辛口。糖は最後まで発酵させる
  • 酸
    5 g/L 以上
    タンニンとともに骨格をつくる

仕様書が定める味わい

濃いルビー色。完成度が高く、フルで抽出感があり、ベルベットのようで調和がとれ、土地を特徴づける香りを持つ。熟成により果実のトーンのブーケが強く現れる。

サペラヴィの赤との違い

同じカヘティ右岸の辛口赤でも、テリアニはカベルネ・ソーヴィニヨン。果肉まで色付くサペラヴィほど色は濃くならず、カシスやスギを思わせる品種の香りと、細かいタンニンが前に出るとされます。熟成の有無は生産者によります。

テリアニの飲み方: 温度と合う料理

室温よりやや低め(16〜18℃前後)で供されることが多く、炭火焼きの肉(ムツヴァディ)や煮込み、熟成チーズと合わせる例が紹介されます。

08 — 似たPDOと比べる

テリアニと似たジョージアワインの違い。

カヘティの辛口赤のPDOは、品種と畑の場所で名前が分かれます。数値は各PDOの仕様書によります。

  • テリアニ
    カヘティ、テラヴィ(アラザニ川右岸)
    残糖4g/L 以下
    辛口赤
    カベルネ・ソーヴィニヨン
  • カヘティ、テラヴィ(右岸、区域が重なる)
    残糖4g/L 以下
    辛口赤・白
    サペラヴィ(赤)、ルカツィテリ(白)
  • カヘティ、グルジャアニ(右岸)
    残糖4g/L 以下
    辛口赤
    サペラヴィ100%
  • カヘティ、クヴァレリ(左岸)
    残糖4g/L
    辛口赤
    サペラヴィ
  • カヘティ、テラヴィ(左岸)
    残糖4g/L 以下
    辛口赤・白
    サペラヴィ(赤)、ルカツィテリ(白)

09 — 名乗る条件

テリアニを名乗る条件は、4 つ。

区域・品種・製法・成分。国立ワイン庁の仕様書が定める 4 つを満たしたワインだけが、テリアニを名乗れます。

テリアニのラベルが貼られた赤ワインのボトル(イメージ)
  1. 区域カヘティ、テラヴィ近郊のアラザニ川右岸。鉄道・村境・川・渓谷で区切られた一帯の畑
  2. 品種カベルネ・ソーヴィニヨン。他品種は禁止
  3. 製法除梗、30℃以下で完全発酵、マロラクティック発酵。熟成するなら木樽で6か月以上
  4. 成分残糖 4 g/L 以下、アルコール 11% 以上、酸 5 g/L 以上、エキス分 22 g/L 以上

テリアニの畑と、PDOのテリアニ

テリアニはもともとツィナンダリ村の畑の名前です。PDOの区域はその畑より広く、鉄道・村境・アラザニ川・ヴァンタ渓谷で囲まれた一帯です。ラベルの「テリアニ」はPDO名であり、この区域のカベルネから造られたことを示します。

カベルネ=テリアニではない

テリアニは必ずカベルネ・ソーヴィニヨンですが、ジョージアのカベルネがすべてテリアニなわけではありません。区域外の畑のカベルネや、他品種を混ぜたワインは、テリアニと名乗れません。

名前は商標ではなく PDO(原産地呼称)。申請者は国立ワイン庁で、規定に適合したワインだけがこの名前を名乗れます。ボトルの写真はイメージです。

10 — よくある質問

よくある質問。

テリアニとは、どんなワインですか?

ジョージア東部カヘティ地方、アラザニ川右岸のテラヴィ近郊の特定区域で、カベルネ・ソーヴィニヨンから造られる辛口の赤ワインです。果醪を完全に発酵させる製法が仕様書で定められ、残糖4g/L以下、アルコール度数11%以上。名前は産地呼称(PDO)で、2007年に登録されました。1897年から造られています。

テリアニは甘いワインですか?

いいえ、辛口です。仕様書は残糖を4g/L以下と定めています。濃いルビー色で、フルでベルベットのような口当たりと、熟成で開く果実のブーケを持ちます。

テリアニに使うブドウは何ですか?

カベルネ・ソーヴィニヨンだけです。仕様書は他品種の使用を禁止しています。ジョージアのPDOの多くは固有品種を使いますが、テリアニは19世紀末にフランスから持ち込まれたカベルネが、この土地で独自の姿を見せたことから生まれました。収穫時の糖度は19%以上、収量は10t/ha以下です。

テリアニは必ず樽で熟成していますか?

いいえ。現行の仕様書では熟成は任意で、熟成せずに瓶詰めしてもかまいません。熟成を行う場合は木樽で6か月以上と定められています。熟成の有無や長さは生産者やラベルの情報で確認します。

どこで造られますか?

ジョージア東部、カヘティ地方のテラヴィ近郊、アラザニ川の右岸です。ツィヴ・ゴンボリ山系の北東斜面がアラザニ川へ下る一帯で、南西をトビリシ〜テラヴィ鉄道、北西をツィナンダリ村とコンドリ村の境界、北東をアラザニ川、南東をヴァンタ渓谷に区切られます。醸造は区域内か、区域外でもカヘティ栽培地域内で行います。

いつから造られていますか?

仕様書は「1897年から」と記しています。19世紀末に帝室領地局の専門家たちがカベルネ・ソーヴィニヨンをテリアニに植え、主任醸造家A. エゴロフ(1899〜1925年)の時代に発展しました。国際品評会で金4・銀6のメダルを受け、PDOとしての登録は2007年12月10日(登録番号791)です。

ツィナンダリとはどう違いますか?

区域は重なりますが、品種が違います。ツィナンダリは白がルカツィテリとムツヴァネ、赤がサペラヴィ。テリアニはカベルネ・ソーヴィニヨンだけです。テリアニの名前は、もともとツィナンダリ村の畑の名前でした。

「TELIANI」と書かれたワインは、すべて同じ生産者のものですか?

いいえ。テリアニは商標ではなくPDO(原産地呼称)の名前で、申請者は国立ワイン庁です。複数の生産者がこの名前でワインを造っており、いずれも仕様書の区域・品種・製法・成分の規定に適合している必要があります。

テリアニのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルに「TELIANI」と PDO の表示があるものを選ぶと確実です。テリアニの名を冠した生産者もあるため、PDO のワインかどうかは表示で確かめます。

出典と検証。

本ページの規定に関する記述は、国立ワイン庁(LEPL National Wine Agency)が公開するPDO「テリアニ」仕様書(登録番号791、2007年12月10日登録)の英訳版に基づきます。気候・土壌・歴史の記述も同仕様書の「地理的要因との関連」の章によります。

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、出典の一覧は出典ページを参照してください。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(相互確認)
初回公開2026年9月6日
最終確認2026年9月24日
根拠の強さB(公的資料。PDO仕様書・法令)
主要出典国立ワイン庁 PDO仕様書「Teliani」(英訳版)、国立ワイン庁PDO登録一覧
注記味わいの記述は一般的傾向。仕様書の数値は英訳版に基づく。登録日は英訳版の「2007 10 12」を年・日・月として読んだもの

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