白品種 ・ 少量・復興 ・ VIVC 1053 ・ 根拠の強さ B

バザレトゥリ

Bazaleturi ・ ბაზალეთური

バザレトゥリは、ジョージア西部イメレティ、ハラガウリ市のバザレティ村に由来する白ブドウ品種です。「バザレトゥリ・ツォリコウリ」「ムツヴァネ・ツォリコウリ」とも呼ばれますが、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC は独立した品種として登録し、DNA分析で確かめた親子関係から、イメレティの主要品種ツィツカ、クラフナ、ドンドグラビの片親としています。雌花のみをつけ、国立ワイン庁もイメレティの品種として挙げています。ジョージア国内4機関とモルドバの1機関で保存され、2023年には東ジョージアでの適応を調べた論文が発表されています。

白 イメレティ 少量・復興 VIVC 登録済み ワイン用
果皮色
白
VIVCの色区分も白
用途
ワイン用
VIVCの用途区分
主地域
イメレティ
バザレティ村(ハラガウリ市)— 品種誌2018
現存状態
少量・復興
ジョージア4、モルドバ1の研究機関で保存
VIVC番号
1053
VIVCでの正式名 BAZALETURI(2026年9月5日確認)
花の性
雌花のみ
受粉には他品種の花粉が必要。VIVC・品種誌2018・UC Davis(米国)で一致
DNAプロファイル
DNA型データあり
ツィツカ・クラフナ・ドンドグラビの親であることをDNA分析で確認(VIVC)
根拠の強さ
B
公的資料。VIVC・国立ワイン庁で確認

「—」は本データベースで一次資料を確認できていない項目です。根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。

01 — 名称

バザレトゥリ、村の名を持つ白ブドウ。

「バザレトゥリ(ბაზალეთური)」は、イメレティ東部ハラガウリ市の村バザレティ(ბაზალეთი)に由来し、「バザレティの」を意味する名です(品種誌2018)。東ジョージアのドゥシェティ市にも同名の村と湖がありますが、品種誌が由来とするのはイメレティの村です。

VIVCが登録する11の別名には「バザレトゥリ・ツォリコウリ」「ムツヴァネ・ツォリコウリ」「ムツヴァネ・イメルリ」「バザレトゥリ・テトリ」が含まれます。ツォリコウリとは別の品種で、米国カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の品種情報は、両者の違いとして花のつくり(本品種は雌花、ツォリコウリは両性花)を挙げています。「ムツヴァネ(緑)」を含む名前はほかの品種にも使われるため、この名前だけでは本品種と特定できません。本サイトは「バザレトゥリ」を日本語表記の標準とします。

バザレトゥリの表記
表記種類
バザレトゥリ日本語(本サイト標準)
Bazaleturiラテン文字の標準名(VIVCの正式名 BAZALETURI)
ბაზალეთურიジョージア語原綴り(国立ワイン庁ジョージア語版の表記)
Bazaleturi Tsolikouri(ბაზალეთური ცოლიკოური)VIVC・品種誌2018の別名。UC Davis FPS(米国)の登録名
Mtsvane Tsolikouri / Mtsvane Tsolikauri(მწვანე ცოლიკოური)VIVC・品種誌2018の別名(「緑のツォリコウリ」の意)
Mtsvane ImeruliVIVCの別名(「ムツヴァネ」を含むほかの品種名と混同に注意)
Bazaleturi TetriVIVCの別名
Bazaleturi ColikouriMeladze ほか 2023 の表記
Basaleturi / BazaletouriVIVCの別名(つづりの違い)
Tsolikouri別品種(VIVC 12710)— 区別して扱う

02 — 資料に見る記述

バザレトゥリについて、資料はこう書いている。

資料ごとに記述を分けて示します。資料間で異なる点はそのまま残します。

2018
Ujmajuridze・Kakabadze・Mamasakhlisashvili『ジョージアのブドウ品種』p.63(ジョージア語版Wikipedia「ბაზალეთური」による同書の要約)

イメレティ在来の白ワイン用品種で、ハラガウリ市バザレティ村にちなむ名。「バザレトゥリ・ツォリコウリ」「緑のツォリコウリ」とも呼ばれる。雌花。葉は大きく卵形で3〜5裂。房は中程度、円筒円錐形または円筒形でときに翼状(房の肩に小さな房がつく形)、密度は中〜疎。果粒は中程度、球形、黄緑色で、皮は厚く果粉(果皮表面の白い粉)が多い。樹の勢いは中程度で、実つきがよい。発芽から完熟まで168〜170日、9月下旬〜10月上旬に完熟。房重約118 g、収量11.7〜14.2 t/ha、完熟時の糖度20〜23%、酸7〜10 g/l。白のテーブルワインとスパークリングの両方に用いられる、と記述。

根拠の強さ C〜D — 品種誌(要約経由)
2021
Sargolzaei ほか「Georgian Grapevine Cultivars: Ancient Biodiversity for Future Viticulture」Frontiers in Plant Science 12: 630122

ジョージアで栽培が推奨される品種を地域別に示し、気象など環境要因によるストレス(非生物的ストレス)の危険度と照らし合わせた表に、イメレティの白品種「Bazaleturi B」(B は白品種の記号)として収載。

根拠の強さ C — 査読論文
2023
Meladze・Mamasakhlisashvili・Ujmajuridze・Migliaro・Domanda・Rustioni「Neglected cultivars for the Mtskheta-Mtianeti region (East Georgia): ampelography, phenology, and agro-climatology」Vitis 62(2): 75–84

東ジョージアのムツヘタ=ムティアネティ地方を対象に、あまり顧みられてこなかった4品種(Tabidziseuli、Daisi、Qvelouri、Bazaleturi Colikouri)について、発芽・開花・成熟の時期(フェノロジー)、生育期間、葉や房の形などの主な特徴を記載し、同地方の気候条件(1948〜2017年の有効積算温度=ブドウの生育に有効な気温を積み上げた値と、気温が2°C上がった場合の想定)との関係を論じた。

根拠の強さ C — 査読論文(要旨のみ確認)
2026
VIVC 1053 / 国立ワイン庁(イメレティ頁)/ UC Davis Foundation Plant Services

VIVCに白・ジョージア原産・ワイン用・雌花として登録。保存する研究機関はジョージアの4機関とモルドバの1機関。VIVCはツィツカ、クラフナ、ドンドグラビの3品種について、いずれも片親をバザレトゥリとし、DNA分析で確認済みとする。国立ワイン庁はイメレティで栽培される品種として「Bazaleturi / ბაზალეთური」を列挙(面積の記載なし)。米国カリフォルニア大学デービス校の Foundation Plant Services(FPS)は「Bazaleturi Tsolikouri」の名で品種情報を掲載し、上イメレティ由来で、両性花のツォリコウリと異なり雌花をつけると記す。

根拠の強さ B — 国際データベース・政府機関・研究機関

03 — 確認状況

確認できていること、できていないこと。

確認済み正規名・ジョージア語原綴り・ラテン文字標準名・VIVC登録番号(1053)
確認済み原産・主地域(イメレティ)と果皮色(白)— VIVC・国立ワイン庁・2018年品種誌で一致
確認済み雌花のみをつける性質 — VIVC・2018年品種誌・UC Davis FPS で一致
確認済みジョージア国内4機関とモルドバ1機関での保存(VIVC記載の保存機関)
確認済みDNA型(SSR)データのVIVC登録と、DNA分析で確認されたツィツカ・クラフナ・ドンドグラビの片親であること
未確認1960年『ジョージアのアンペログラフィー』の記述(原本未確認)
未確認栽培面積の公的統計(国立ワイン庁の一覧に面積の記載なし)
未確認2023年論文の本文(アンペログラフィー形質とフェノロジーの数値)と、ムツヘタ=ムティアネティでの栽培実態
未確認本品種自身の親(VIVCに記載なし)と、保存機関での株の登録番号
未確認現在のイメレティでの単一品種としての栽培・醸造例(生産者の情報は見つかっていない)
未確認ワインの味わいに関する現行の官能記述 — 品種誌の記載以外になく、本ページに味わいの評価は載せていません

04 — 保存とDNA

バザレトゥリ、三つの主要品種の親。

保存品種の「実在」は、研究機関の畑に生きた株があるかで判断します。VIVCによると、バザレトゥリはジョージアの4機関とモルドバの1機関で保存されており、米国カリフォルニア大学デービス校の FPS にも「Bazaleturi Tsolikouri」の名で品種情報があります。

VIVCには品種の識別に使うDNA型(SSRマーカー)のデータが登録され、ツィツカ、クラフナ、ドンドグラビの3品種は、いずれもバザレトゥリを片親とすることがDNA分析で確かめられています。イメレティの白品種の成り立ちを考える上で鍵になる品種です。

三つの主要品種の親
項目状態備考
保存株の有無ありジョージア4、モルドバ1の研究機関(VIVC)
DNA型(SSR)ありVIVCに登録
子品種3品種ツィツカ・クラフナ・ドンドグラビ — VIVC、DNA分析で確認済み

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月6日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。VIVC・国立ワイン庁で確認。DNA型(SSR)はVIVCの登録による)
主要出典VIVC 1053・12693・6477・3643(2026)、国立ワイン庁 イメレティ頁(2024)、Ujmajuridze ほか 2018、Sargolzaei ほか 2021、Meladze ほか 2023、UC Davis FPS(2026年閲覧)

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

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