白品種 ・ ワイン用(生食兼用) ・ 品種登録番号 12693

ツィツカ

Tsitska ・ ციცქა

ツィツカは、ジョージア西部イメレティの上部・中部で広く栽培される白ブドウ品種です。ツォリコウリと並ぶ西部の主要白で、国立ワイン庁の資料では2004年時点で2,839 ha(全国の約6%)が栽培されていました。高い酸を保ちやすく、辛口白のほかスパークリングワインの原料としても使われ、PDO(原産地呼称)スヴィリではツォリコウリ、クラフナと組み合わせて使われます。

ツィツカの房の接写。日向側が琥珀がかった黄緑色の丸い果粒が非常に密に詰まった円錐形の房と、5裂の濃い緑の葉。垣根仕立ての畑(イメージ)
栽培面積
2,839 ha
2004年、国立ワイン庁。主産地は上部・中部イメレティ
全国に占める割合
約6%
2004年、国立ワイン庁
果皮色
白
黄緑色・薄いが丈夫な果皮
収穫
10月初旬
イメレティでの収穫の目安
根拠の強さ
B
公的資料。国際登録簿と国立ワイン庁の資料で確認

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

ツィツカ、イメレティの村々に伝わる名。

ციცქა=Tsitska

ツィツカ(ციცქა)は、国立ワイン庁の解説では「小粒の(ブドウの)品種」という意味で、ツィツケ(Tsitske)という村の名とも結び付けられています。イメレティの一部の村ではチャンティ、ツィツコ、ママリ・ツィツカとも呼ばれ、いずれも同じ品種です。

02 — 泡を支える酸

酸が、泡の骨格になる。

ツィツカのワインは、なぜ軽快なのか。鍵は、熟しても保ちやすい高い酸です。その酸を活かして、辛口白のほかスパークリングワインの原料にも使われます。

泡用に摘むときの、酸の量(総酸)の目安。1リットルあたりのグラム数です。辛口白用には、糖度19〜21%・酸7〜9 g/lで摘むのが目安です(国立ワイン庁)。

早めに摘んで泡に

泡の原酒に向ける畑ほど、酸が残るうちに早めに収穫します。

ブレンドの引き締め役

PDOスヴィリでは、ツィツカが酸と軽やかさを、ツォリコウリがボディを担います。

ワインにも、食卓にも

ワイン用と生食用を兼ねる品種。ワインでは辛口白と泡の両方に使われます。

03 — 味わい

ツィツカの味わいとは?

線は細く、酸はきりり。

辛口白の場合の目安です。

香り

かりん、メロン、洋梨などの黄色い果実に、ときに蜂蜜のニュアンス。

ツォリコウリとの違い

同じイメレティのツォリコウリより線が細く、高い酸が全体を引き締める軽快な白です。

国際品種で例えると

ミュスカデやトレッビアーノのような、軽快で食事に寄り添う白が目安です。泡にも向きます。

ツィツカの白ワインをグラスに、トビリシの屋上で夜の野外上映を眺めながら。丘の上の灯りとテレビ塔(イメージ)

合わせる料理

魚介と、揚げたての一皿。

辛口白とスパークリングは、魚介の前菜、川魚や白身魚、揚げ物、フレッシュチーズと。西部ジョージアの胡桃料理やトウモロコシ粉のパン「ムチャディ」、和食なら出汁を使った料理や刺身とも。

04 — スタイル

辛口、ブレンド、スパークリング。3つのスタイル。

同じツィツカでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。イメレティでの収穫は10月初旬。泡の原酒に向ける畑ほど早めに摘み、単一品種の辛口とブレンドは熟すのを待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

イメレティでのツィツカの収穫。朝霧の垣根仕立ての畑で、黄緑色の房を入れたバケツを畝越しに手渡す二人(イメージ)
ツィツカの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫晩生(遅く熟すタイプ)
木の勢い中
収量非常に多い

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

辛口白(単一品種)

黄色い果実と高い酸の、軽快な白。

造り
ステンレスタンク、果皮接触なし
色
淡い色調
香り
黄色い果実
味わい
高い酸

上部・中部イメレティの、ゼスタポニやテルジョラ周辺などで造られます。ジョージアの甕クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕。イメレティでは「チュリ」)で果皮を少し加えるイメレティ式では、色と味わいの骨格がやや増します。

STYLE 02

ブレンド(スヴィリ)

ツィツカが酸と軽やかさを加える、3品種の辛口白。

品種
ツォリコウリ、ツィツカ、クラフナ(組み合わせは自由)
造り
クヴェヴリで、果皮を少し加えて発酵
味わい
きりっとした酸と、丸みのある果実味

ゼスタポニ市スヴィリ村周辺のPDO(2007年登録)で、イメレティで最初のPDOです。ツォリコウリ主体のアンバーを定めるPDOオブチャでも、ツィツカとクラフナを合わせて15%以下まで加えられます。

STYLE 03

スパークリング

高い酸を活かした、軽快な泡。

造り
酸の量9〜12 g/lを目安に、早めに摘んだ果実から
味わい
軽快で酸が際立つ

イメレティで造られる発泡性ワインです。瓶の中で二度目の発酵をさせる方法と、タンクで泡を造る方法があり、造り手ごとに選んでいます。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

灰色の果粉(粒の表面の白い粉)が厚くつく黄緑の粒、粒がぎっしり詰まった円錐形の房、5つに裂けた葉。畑でツィツカを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の記述と測定値で紹介します。

ツィツカの特徴の解説図。非常に密な円錐形の房、黄緑色で日向は琥珀色の果皮、丸形で厚い果粉をまとった果粒、主に5裂で浅い〜中程度の切れ込みの葉(イメージ)
果皮色
黄緑
表面に灰色の粉(果粉)が厚くつく
果粒
多くは円形
長さ15〜19mm、幅14〜18mm
房
円錐〜円錐円筒・非常に密〜中
長さ12〜18cm、幅6〜12cm
葉
5つに裂ける(3つのことも)
円形〜やや縦長
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、葉の裏、熟す時期など)
ツィツカの形態
果皮薄いがかなり丈夫
果粉(粒の白い粉)灰色で、かなり厚い
果肉・果汁多汁で溶けるよう、無色
房の重さ平均140〜160 g。長さ14cm・幅8cmほど
葉の切れ込み浅い〜中程度で、株によって差が大きい
葉の表面濃い緑
葉の裏面クモの巣のような厚い毛

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

ツィツカを使うPDOワイン、スヴィリ。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「スヴィリ」とあれば、それはツォリコウリ、ツィツカ、クラフナから造るイメレティの辛口白。ツィツカを使用品種に挙げるPDOはスヴィリで、ツォリコウリ主体のアンバーを定めるPDOオブチャでも、少しだけ加えられます。

ボトルの写真はイメージです。

07 — よくある質問

よくある質問。

ツィツカとツォリコウリの違いは? スパークリングにもなる? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

ツィツカはどんなブドウですか?

ジョージア西部イメレティの白ブドウ品種です。ワイン用と生食用を兼ね、ツォリコウリと並ぶ西部の主要な白です。上部・中部イメレティで多く育てられています。

ツィツカの味の特徴は?

国立ワイン庁の解説では、かりん、メロン、洋梨などの黄色い果実に、ときに蜂蜜のニュアンスが加わります。同じイメレティのツォリコウリより線が細く、高い酸が全体を引き締める軽快な白です。

ツィツカとツォリコウリの違いは?

どちらもイメレティの白ですが、ツィツカは酸が高く軽快、ツォリコウリは厚みと丸みがあります。性格が補い合うため、PDOスヴィリではクラフナを加えた3品種を組み合わせて造ることができます。

ツィツカを使うPDOは?

使用品種に挙げるPDOは、イメレティの辛口白スヴィリです。ツォリコウリ、クラフナと組み合わせて使えます。ツォリコウリ主体のアンバーを定めるPDOオブチャでも、少量加えることが認められています。

ツィツカのスパークリングとは?

高い酸を活かした、軽快な発泡性ワインです。泡用のブドウは、酸が残るうちに早めに摘みます。イメレティで造られています。

ツィツカに合う料理は?

辛口白とスパークリングは、魚介の前菜、川魚や白身魚、揚げ物、フレッシュチーズに。西部ジョージアの胡桃料理やトウモロコシ粉のパン「ムチャディ」、和食なら出汁を使った料理や刺身ともよく合います。

ツィツカの名前の意味は?

国立ワイン庁の解説では「小粒の(ブドウの)品種」という意味で、ツィツケ(Tsitske)という村の名とも結び付けられています。

ツィツカの別名は?

イメレティの一部の村では、チャンティ(Chanti)、ツィツコ(Tsitsko)、ママリ・ツィツカ(Mamali Tsitska)とも呼ばれます。どれも国際的な品種登録簿VIVCに別名として載る、同じ品種です。

ツィツカのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で買えます。ブレンドならラベルのPDO名「スヴィリ」を、単一品種の辛口白やスパークリングなら品種名「ツィツカ」と産地イメレティを目印にすると選びやすくなります。

出典と検証。

ツィツカは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に12693番で登録された、原産国ジョージアの白品種です。VIVC はDNAの分析から片方の親をバザレトゥリ(Bazaleturi)としており、同じイメレティのクラフナと片親が共通しています。日本を含む13の機関で保存され、EUの品種目録にも登録されています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月5日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC と国立ワイン庁の資料で確認)
主要出典VIVC、『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)、国立ワイン庁(品種解説・PDO)

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

1960
『ジョージア・アンペログラフィア』

房・粒・葉の形と大きさ、熟す時期(晩生)、木の勢い、収量

品種図鑑
2004
国立ワイン庁

主産地イメレティ、栽培面積2,839 ha

政府機関
2026
VIVC

登録番号 12693(白)。片方の親はバザレトゥリ

国際データベース