ムジュレトゥリと組む
フヴァンチカラでは、同じラチャの黒ブドウ、ムジュレトゥリと組み合わせて造られます。
01 — 名称
ალექსანდროული=アレクサンドレの
アレクサンドロウリ(ალექსანდროული)は、人名アレクサンドレに「〜の」を表す語尾「-ული」が付いた形で、「アレクサンドレの(ブドウ)」という意味の名前です。日本語では「アレキサンドロウリ」「アレクサンドルーリ」とも書かれます。
02 — 天然の半甘口
フヴァンチカラは、なぜ天然の甘さを持つのか。答えはラチャの山の畑にあります。標高と日照に恵まれた畑で、アレクサンドロウリは晩秋までじっくり熟します。
ラチャでは、10月下旬まで熟すのを待って摘みます。昼と夜の温度差で糖度と酸を保ったまま熟すことが、天然の半甘口を生む条件です。
フヴァンチカラでは、同じラチャの黒ブドウ、ムジュレトゥリと組み合わせて造られます。
熟したブドウを果皮とともに発酵させ、途中で止めてブドウの糖を残します。
もうひとつのPDOラチャは、アレクサンドロウリとムジュレトゥリの辛口赤を定めています。
03 — 味わい
軽やかなのに、香り高い。
辛口赤の場合の目安です。
ラズベリー、ザクロ、ブラックチェリー、桑の実といった赤〜黒系の果実に、スパイスのニュアンス。
酸が果実味を引き締めるため、半甘口のフヴァンチカラでも糖の甘みが重たくならず、バランスよくまとまります。
色合いと骨格は、ピノ・ノワールとグルナッシュの中間が目安です。
合わせる料理
辛口赤は鶏や豚の炭火焼き、キノコ料理、ジョージアの肉入り餃子「ヒンカリ」、熟成の浅いチーズと。半甘口のフヴァンチカラは、ブルーチーズ、ナッツやドライフルーツ、チョコレートを使ったデザートと。
04 — スタイル
同じアレクサンドロウリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。フヴァンチカラの半甘口に向ける畑ほど糖度の上がりきった房だけを選び、辛口は酸の残るうちに摘みます。好みのスタイルを見つけてください。
| 成熟期・収穫 | 晩生。芽吹きから熟すまで127〜178日 |
| 木の勢い | 中 |
| 収量 | 中(1 haあたり4〜6トン) |
成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。
STYLE 01
糖を残して発酵を終える、ラチャ伝統の赤。
アンブロラウリ近郊、フヴァンチカラ村周辺の特定区域で造られる、ジョージアの半甘口赤の代表格です。
STYLE 02
単一品種で仕込む、軽やかな辛口の赤。
アンブロラウリを中心とするリオニ川沿いの畑で、半甘口と同じ区域から造られます。近年、生産例が増えています。
STYLE 03
家庭と小さな造り手が甕で仕込む赤。
東部カヘティだけでなく、西部ラチャの村々でもクヴェヴリで仕込む伝統が続いています。土地と造り手の個性が強く出るワインです。
05 — ブドウとしての性質
濃い青の粒に厚い白い粉(果粉)、3つに裂けた丸い葉。畑でアレクサンドロウリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の記述と測定値で紹介します。
| 果皮 | 薄く緻密 |
| 果粉(粒の白い粉) | かなり厚い |
| 果肉・果汁 | 柔らかく、果汁は無色で甘い |
| 房の重さ | 56〜120 g(小ぶり)。長さ15cm・幅7cmほど |
| 葉の切れ込み | 中程度 |
| 葉の表面 | 淡い緑 |
| 葉の裏面 | クモの巣のような毛と短い硬い毛が密に生える |
出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。
06 — PDOと産地
PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「フヴァンチカラ」とあれば、それはアレクサンドロウリとムジュレトゥリだけで造る天然の半甘口赤。アレクサンドロウリを使う2つのPDOのうち、フヴァンチカラを中心に紹介します。
ボトルの写真はイメージです。
| PDO | 区域 | タイプ | 使用品種 |
|---|---|---|---|
| ラチャRacha | ラチャ(オニ、アンブロラウリ) | 辛口赤 | アレクサンドロウリ、ムジュレトゥリ |
07 — よくある質問
アレクサンドロウリは甘口?辛口? フヴァンチカラとの関係は? 気になる9つの疑問に、短く答えます。
ジョージア西部の山岳地帯ラチャの黒ブドウ品種です。天然半甘口赤のPDOフヴァンチカラに、ムジュレトゥリとともに使われます。遅く熟す晩生の品種です。
ラズベリー、ザクロ、ブラックチェリー、桑の実といった赤〜黒系の果実に、スパイスのニュアンス。サペラヴィほど色は濃くなくタンニンも穏やかで、酸が果実味を引き締める軽やかな骨格が特徴です。
あります。近代的な製法の辛口赤や、家庭でクヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)を使って仕込む赤も造られます。辛口では甘みがない分、酸と果実味が前に出ます。
辛口赤は、鶏や豚の炭火焼き、キノコ料理、ジョージアの肉入り餃子「ヒンカリ」、熟成の浅いチーズに。半甘口のフヴァンチカラは、ブルーチーズ、ナッツやドライフルーツ、辛味のある料理、チョコレートを使ったデザートとよく合います。
フヴァンチカラは品種名ではなく、PDO(原産地呼称)の名前です。ラチャ地方アンブロラウリのリオニ川両岸の区域で、アレクサンドロウリとムジュレトゥリから造る天然半甘口赤と決められています。
2つあります。天然半甘口赤のフヴァンチカラと、辛口赤のラチャです。どちらもラチャ地方の呼称で、アレクサンドロウリはムジュレトゥリとともに使われます。
人名アレクサンドレに「〜の」を表す語尾が付いた形で、「アレクサンドレの(ブドウ)」という意味です。
同じ品種です。「アレキサンドロウリ」「アレクサンドルーリ」は日本語の書き方の違いで、ラテン文字では Aleksandrouli、ジョージア語では ალექსანდროული と書きます。本サイトでは「アレクサンドロウリ」で統一しています。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で買えます。天然の半甘口ならPDO名「フヴァンチカラ」、辛口なら「ラチャ」と、ラベルの呼称を目印にすると選びやすくなります。
08 — 飲んでみる
読んだあとは、グラスで確かめる番です。ジョージアワイン専門店で、あなたの好きなアレクサンドロウリを見つけてください。
アレクサンドロウリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に263番で登録され(VIVCでの綴りは ALEXANDROOULI)、ジョージアの在来品種を対象にしたDNA研究にも含まれています。ジョージア国内外の研究機関で、遺伝資源として保存されています。
このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。
房・粒・葉の形と大きさ、熟す時期(晩生)、木の勢い、収量
品種図鑑292 ha
政府統計登録番号 263(綴りは ALEXANDROOULI)。VIVCは別名にムジュレトゥリを挙げるが、PDOフヴァンチカラの規定では別の品種
国際データベース