黒品種 ・ ワイン用 ・ 品種登録番号 263

アレクサンドロウリ

Aleksandrouli ・ ალექსანდროული

アレクサンドロウリは、ジョージア西部の山岳地帯ラチャ、アンブロラウリ周辺を主産地とする黒ブドウ品種です。ムジュレトゥリとともに天然の半甘口赤ワイン「フヴァンチカラ」を生むことで知られ、ラズベリーやザクロを思わせる香りと、穏やかなタンニンが特徴です。

アレクサンドロウリの房の接写。厚い果粉で青みがかった黒い丸い果粒がやや疎に付いた小さな円錐形の房と、淡い緑の3裂の葉。垣根仕立ての畑(イメージ)
栽培面積
292 ha
2023年、国立ワイン庁のブドウ畑登録簿
主産地
ラチャ
アンブロラウリ周辺の山あい
使用品種に挙げるPDO
2件
フヴァンチカラ、ラチャ
収穫
10月下旬
晩生の黒品種
根拠の強さ
A
A〜E でもっとも確か。DNAで品種を確認済み

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

アレクサンドロウリの意味は「アレクサンドレの」。

ალექსანდროული=アレクサンドレの

アレクサンドロウリ(ალექსანდროული)は、人名アレクサンドレに「〜の」を表す語尾「-ული」が付いた形で、「アレクサンドレの(ブドウ)」という意味の名前です。日本語では「アレキサンドロウリ」「アレクサンドルーリ」とも書かれます。

02 — 天然の半甘口

山で熟す、天然の半甘口。

フヴァンチカラは、なぜ天然の甘さを持つのか。答えはラチャの山の畑にあります。標高と日照に恵まれた畑で、アレクサンドロウリは晩秋までじっくり熟します。

ラチャでは、10月下旬まで熟すのを待って摘みます。昼と夜の温度差で糖度と酸を保ったまま熟すことが、天然の半甘口を生む条件です。

ムジュレトゥリと組む

フヴァンチカラでは、同じラチャの黒ブドウ、ムジュレトゥリと組み合わせて造られます。

糖を残して発酵を終える

熟したブドウを果皮とともに発酵させ、途中で止めてブドウの糖を残します。

辛口のPDOラチャも

もうひとつのPDOラチャは、アレクサンドロウリとムジュレトゥリの辛口赤を定めています。

03 — 味わい

アレクサンドロウリの味わいとは?

軽やかなのに、香り高い。

辛口赤の場合の目安です。

香り

ラズベリー、ザクロ、ブラックチェリー、桑の実といった赤〜黒系の果実に、スパイスのニュアンス。

半甘口でも重くない理由

酸が果実味を引き締めるため、半甘口のフヴァンチカラでも糖の甘みが重たくならず、バランスよくまとまります。

国際品種で例えると

色合いと骨格は、ピノ・ノワールとグルナッシュの中間が目安です。

アレクサンドロウリの赤ワインをグラスで、夜行列車の食堂車の窓辺で。壁に山上の教会の写真(イメージ)

合わせる料理

炭火焼きと、ブルーチーズ。

辛口赤は鶏や豚の炭火焼き、キノコ料理、ジョージアの肉入り餃子「ヒンカリ」、熟成の浅いチーズと。半甘口のフヴァンチカラは、ブルーチーズ、ナッツやドライフルーツ、チョコレートを使ったデザートと。

04 — スタイル

半甘口、辛口、クヴェヴリ。3つのスタイル。

同じアレクサンドロウリでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。フヴァンチカラの半甘口に向ける畑ほど糖度の上がりきった房だけを選び、辛口は酸の残るうちに摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

ラチャでのアレクサンドロウリの収穫の合間。山並みと集落を背に、黒い小さな房を手に畑で笑い合う三人(イメージ)
アレクサンドロウリの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫晩生。芽吹きから熟すまで127〜178日
木の勢い中
収量中(1 haあたり4〜6トン)

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

天然の半甘口(フヴァンチカラ)

糖を残して発酵を終える、ラチャ伝統の赤。

造り
ムジュレトゥリとブレンドし、糖を残して発酵を終える
色
ルビー色
香り
ラズベリー
味わい
甘みと酸のバランス

アンブロラウリ近郊、フヴァンチカラ村周辺の特定区域で造られる、ジョージアの半甘口赤の代表格です。

STYLE 02

辛口赤(近代的製法)

単一品種で仕込む、軽やかな辛口の赤。

造り
ステンレスまたは小樽
色
中程度のルビー
味わい
赤系果実と穏やかなタンニン

アンブロラウリを中心とするリオニ川沿いの畑で、半甘口と同じ区域から造られます。近年、生産例が増えています。

STYLE 03

クヴェヴリ醸造

家庭と小さな造り手が甕で仕込む赤。

造り
クヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で少量仕込む
味わい
辛口から半甘口まで幅がある

東部カヘティだけでなく、西部ラチャの村々でもクヴェヴリで仕込む伝統が続いています。土地と造り手の個性が強く出るワインです。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

濃い青の粒に厚い白い粉(果粉)、3つに裂けた丸い葉。畑でアレクサンドロウリを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の記述と測定値で紹介します。

アレクサンドロウリの特徴の解説図。小さな円錐形で中〜疎の房、濃青〜黒で厚い果粉をまとった果皮、円形〜楕円形の果粒、淡色の果肉と無色の果汁、淡緑色で主に3裂の葉(イメージ)
果皮色
濃い青〜ほぼ黒
表面に白い粉(果粉)が厚くつく
果粒
円形〜楕円
長さ14.2〜17.5mm、幅12.4〜15mm
房
円錐・粒のつき方は中〜まばら
長さ10〜18cm、幅6〜10cm
葉
3つに裂ける
円形
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、葉の裏、熟す時期など)
アレクサンドロウリの形態
果皮薄く緻密
果粉(粒の白い粉)かなり厚い
果肉・果汁柔らかく、果汁は無色で甘い
房の重さ56〜120 g(小ぶり)。長さ15cm・幅7cmほど
葉の切れ込み中程度
葉の表面淡い緑
葉の裏面クモの巣のような毛と短い硬い毛が密に生える

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

アレクサンドロウリで造る、2つのPDOワイン。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「フヴァンチカラ」とあれば、それはアレクサンドロウリとムジュレトゥリだけで造る天然の半甘口赤。アレクサンドロウリを使う2つのPDOのうち、フヴァンチカラを中心に紹介します。

ボトルの写真はイメージです。

ほかのPDOを見る(1件)
アレクサンドロウリを使用品種に挙げるそのほかのPDO
PDO区域タイプ使用品種
ラチャRachaラチャ(オニ、アンブロラウリ)辛口赤アレクサンドロウリ、ムジュレトゥリ

07 — よくある質問

よくある質問。

アレクサンドロウリは甘口?辛口? フヴァンチカラとの関係は? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

アレクサンドロウリはどんなブドウですか?

ジョージア西部の山岳地帯ラチャの黒ブドウ品種です。天然半甘口赤のPDOフヴァンチカラに、ムジュレトゥリとともに使われます。遅く熟す晩生の品種です。

アレクサンドロウリの味の特徴は?

ラズベリー、ザクロ、ブラックチェリー、桑の実といった赤〜黒系の果実に、スパイスのニュアンス。サペラヴィほど色は濃くなくタンニンも穏やかで、酸が果実味を引き締める軽やかな骨格が特徴です。

アレクサンドロウリの辛口はありますか?

あります。近代的な製法の辛口赤や、家庭でクヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)を使って仕込む赤も造られます。辛口では甘みがない分、酸と果実味が前に出ます。

アレクサンドロウリに合う料理は?

辛口赤は、鶏や豚の炭火焼き、キノコ料理、ジョージアの肉入り餃子「ヒンカリ」、熟成の浅いチーズに。半甘口のフヴァンチカラは、ブルーチーズ、ナッツやドライフルーツ、辛味のある料理、チョコレートを使ったデザートとよく合います。

フヴァンチカラとアレクサンドロウリの関係は?

フヴァンチカラは品種名ではなく、PDO(原産地呼称)の名前です。ラチャ地方アンブロラウリのリオニ川両岸の区域で、アレクサンドロウリとムジュレトゥリから造る天然半甘口赤と決められています。

アレクサンドロウリを使うPDOは?

2つあります。天然半甘口赤のフヴァンチカラと、辛口赤のラチャです。どちらもラチャ地方の呼称で、アレクサンドロウリはムジュレトゥリとともに使われます。

アレクサンドロウリという名前の意味は?

人名アレクサンドレに「〜の」を表す語尾が付いた形で、「アレクサンドレの(ブドウ)」という意味です。

「アレキサンドロウリ」と「アレクサンドロウリ」は同じ品種ですか?

同じ品種です。「アレキサンドロウリ」「アレクサンドルーリ」は日本語の書き方の違いで、ラテン文字では Aleksandrouli、ジョージア語では ალექსანდროული と書きます。本サイトでは「アレクサンドロウリ」で統一しています。

アレクサンドロウリのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で買えます。天然の半甘口ならPDO名「フヴァンチカラ」、辛口なら「ラチャ」と、ラベルの呼称を目印にすると選びやすくなります。

出典と検証。

アレクサンドロウリは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に263番で登録され(VIVCでの綴りは ALEXANDROOULI)、ジョージアの在来品種を対象にしたDNA研究にも含まれています。ジョージア国内外の研究機関で、遺伝資源として保存されています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月4日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さA(DNA・保存株。DNAで品種を確認済み)
主要出典VIVC、『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)、PDOの規定、査読論文

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

1960
『ジョージア・アンペログラフィア』

房・粒・葉の形と大きさ、熟す時期(晩生)、木の勢い、収量

品種図鑑
2023
国立ワイン庁 ブドウ畑の登録簿(カダストル)

292 ha

政府統計
2026
VIVC

登録番号 263(綴りは ALEXANDROOULI)。VIVCは別名にムジュレトゥリを挙げるが、PDOフヴァンチカラの規定では別の品種

国際データベース