20世紀後半に衰退
うどんこ病など菌類の病気に弱いことが、衰退の一因でした。
01 — 名称
ქისი=Kisi
キシ(ქისი)は、カヘティで古くから使われてきた品種名で、ジョージアのブドウ品種図鑑にもこの地方の古い品種として記録されています。ラテン文字では Kisi と書き、英語では Kissi と綴られることもあります。
02 — 復活したブドウ
キシは、どんな道をたどってきたブドウなのか。20世紀後半、キシの畑はほぼ姿を消しました。その白を、カヘティの生産者たちがよみがえらせています。
2000年代以降、カヘティの生産者が復興を進めた白。村ごとの小さな造り手が、畑をよみがえらせてきました。
うどんこ病など菌類の病気に弱いことが、衰退の一因でした。
復興の中心はカヘティ北西部のアフメタ地区。マグラアニ、アルゴヒ、ババネウリなどの村に畑が集まります。
果皮・種ごとクヴェヴリで醸したアンバーワインが、キシの評価を高めました。
03 — 味わい
花と桃の香り、丸みのある酸。
辛口白の場合の目安です。
白い花、柑橘、リンゴ、洋梨、桃を思わせる芳香。ルカツィテリより香りが華やかです。
クヴェヴリで醸すと琥珀色になり、杏、オレンジピール、蜂蜜、ナッツ、スパイスの風味と、白ワインにはないタンニンが現れます。
芳香系の辛口白です。ヴィオニエやピノ・グリのような白に近いイメージです。
合わせる料理
辛口白は鶏肉や白身魚のハーブ焼き、ジョージアのチーズパン「ハチャプリ」、天ぷらと。アンバーは胡桃を使ったジョージア料理、熟成チーズ、発酵食品や香辛料の効いた料理に。
04 — スタイル
同じキシでも、摘む時期と造り方で味わいが変わります。カヘティでは9月中旬から下旬に収穫し、辛口の白は酸を残して早めに、クヴェヴリのアンバーは果皮の熟度を待って摘みます。好みのスタイルを見つけてください。
| 成熟期・収穫 | 中生(生育期間は平均142日) |
| 木の勢い | 中 |
| 収量 | 中(ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリより少ない) |
成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。
STYLE 01
品種の芳香を素直に示す、辛口の白。
カヘティのテラヴィからクヴァレリにかけて、アラザニ渓谷の近代的な設備を持つワイナリーが造っています。
STYLE 02
花の香りが残る、琥珀色のアンバー。
カヘティのマラニ(醸造場)で、修道院から小規模生産者まで伝統が続いています。
STYLE 03
村名や畑名を冠した、小さな造り手のボトル。
キシの畑が集まるのは、カヘティ北西部アフメタ地区のマグラアニ、アルゴヒ、ババネウリなどの村です。
05 — ブドウとしての性質
灰色がかった黄緑の粒に、かなり厚い白い粉。畑でキシを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。
| 果皮 | 薄い |
| 果粉 | かなり厚い |
| 果肉・果汁 | 多汁 |
| 房の重さ | 80〜450g(平均120〜160g) |
| 葉の切れ込み | 上側の切れ込みは浅い |
| 葉の表 | 濃い緑 |
| 葉の裏 | クモの巣状の毛と、中程度のフェルト状の毛 |
出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。
06 — PDOと産地
PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラベルに「キシ・マグラアニ」とあれば、それはキシだけで造る辛口の白かアンバー。キシを使う3つのPDOのうち、キシが主役なのはキシ・マグラアニで、ほかの2つではほかの品種と組み合わせて使われます。
07 — よくある質問
キシはどこで造られている? アンバーワインはどんな味? 気になる9つの疑問に、短く答えます。
ジョージア東部カヘティの白ブドウ品種です。20世紀後半にほぼ姿を消しましたが、2000年代以降にカヘティの生産者が復興を進め、花や桃の芳香を持つ白として注目されています。
ジョージア東部のカヘティ、特にアフメタやテラヴィ周辺で栽培されています。中心はカヘティ北西部のアフメタ地区です。
カヘティで古くから使われてきた品種名で、ジョージアのブドウ品種図鑑にも、この地方の古い品種として記録されています。
白い花、柑橘、リンゴ、洋梨、桃を思わせる芳香が特徴です。ルカツィテリより香りが華やかで、酸は穏やかです。
果皮とともにクヴェヴリ(土に埋めた素焼きの甕)で醸すため、白ワインにはないタンニンと琥珀色を持ちます。杏、オレンジピール、蜂蜜、ナッツ、スパイスの風味が現れます。
辛口白は鶏肉や白身魚のハーブ焼き、ジョージアのチーズパン「ハチャプリ」、天ぷらなどが目安です。アンバーは胡桃を使ったジョージア料理、熟成チーズ、発酵食品や香辛料の効いた料理と合わせます。
3件あります。キシだけで造る辛口白と辛口アンバーを定めるのが、アフメタ地区の「キシ・マグラアニ」です。ほかに、アンバーにヒフヴィと合わせて15%まで加えられる「アフメタ」と、カヘティ全域の呼称「カヘティ」があります。
国立ワイン庁のブドウ畑カダストル(国の畑の登録記録、2023年)では666 haで、ルカツィテリの約27分の1の規模です。
ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。ラベルの品種名「Kisi」やPDO名「キシ・マグラアニ」を手がかりに探し、辛口白かクヴェヴリのアンバーかを確かめると選びやすくなります。
08 — 飲んでみる
読んだあとは、グラスで確かめる番です。辛口の白からクヴェヴリのアンバーまで、ジョージアワイン専門店で、復興を担う生産者のキシを見つけてください。
キシは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に6283番で登録され、ジョージア在来品種のDNA研究にもその型が含まれています。ジョージア国内の研究機関で、遺伝資源として保存されています。
このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。
666 ha
政府統計登録番号 6283。原産国ジョージア
国際データベース