黒品種 ・ ワイン用 ・ 品種登録番号 3785

ゼルシャヴィ

Dzelshavi ・ ძელშავი

ゼルシャヴィは、ジョージア西部イメレティとラチャ・レチュフミに分布する古い黒ブドウ品種です。果汁の色が淡く、色の薄い赤やロゼになり、伝統的にはオツハヌリ・サペレなどとブレンドされてきました。2025年4月に登録されたPDOラチャでは補助品種として認められています。ラチャで育つ同じ名前の別品種(ラチュリ・ゼルシャヴィ)と区別し、本ページはイメレティのゼルシャヴィ(VIVC 3785)を扱います。

ゼルシャヴィの房の接写。厚い果粉で紫に見える濃い赤〜黒の丸い果粒が付いた幅広い円錐形の房と、上側の切れ込みが深い葉。垣根仕立ての畑(イメージ)
栽培面積(2004年)
685ha
国立ワイン庁の報告。すべて家族経営の畑
主産地
イメレティ
ラチャ・レチュフミにも
使用品種に挙げるPDO
1件
ラチャ(補助品種として)
収穫
9月末〜
中晩生。10月上旬まで
根拠の強さ
B
公的資料。国際登録簿と国立ワイン庁の資料で確認

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論を参照。出典は出典一覧に記載。

01 — 名称

ゼルシャヴィの「シャヴィ」は、「黒」。

შავი=黒

ゼルシャヴィ(ძელშავი)の後半「シャヴィ(შავი)」は、ジョージア語で「黒」。前半を「古い」を意味する「ズヴェリ」と読めば「古い黒」、「木」を意味する「ゼリ」と読めば「黒い木」になります。国立ワイン庁は、「オブチャ村の古い黒」を意味する「ズヴェリ・オブチュリ」との結び付きも挙げています。日本語では「ズヴェルシャヴィ」とも書かれます。

02 — ブレンドの脇役

主役を支える、古い黒。

なぜゼルシャヴィは、ラベルに名前が出ることが少ないのか。果汁の色が淡く、味の濃さ(エキス分)も控えめなため、主役ではなく、ほかの品種を支える役として育てられてきたからです。

発酵前に他の品種と混ぜ、日常の赤に仕立てるのが伝統の使い方です。色と骨格は相手の品種が担い、ゼルシャヴィは量と軽さを補います。

オツハヌリ・サペレと組む

発酵前に、オツハヌリ・サペレやムガロブリシュヴィリなどと混ぜられてきました。

PDOラチャの補助品種

アレクサンドロウリとムジュレトゥリを主体とする辛口赤のPDO(原産地呼称)ラチャで、補助品種として認められています。

単一ならロゼに

単一で仕込むと、国立ワイン庁が「シンプルなロゼ」と記す、淡い色のワインになります。

03 — 味わい

ゼルシャヴィの味わいとは?

淡い色で、軽やか。

単一品種の赤・ロゼの場合の目安です。

香り

赤系果実の軽い風味と、穏やかな香り。

軽やかな飲み口

タンニンは軽く、ボディはライト。やや冷やすと、軽さが生きます。

国際品種で例えると

淡い色で軽い赤やロゼになる品種です。ガメイやスキアーヴァのような軽やかな赤をイメージしてください。

ゼルシャヴィの赤ワインをグラスに、開け放った窓から丘の上の教会を望むトビリシのカフェの昼下がり(イメージ)

合わせる料理

ハチャプリと、家庭の料理。

軽い赤・ロゼとして、鶏や豚の料理、豆やクルミを使う西ジョージアの家庭料理、イメレティのチーズを使ったハチャプリなどと合わせます。

04 — スタイル

ブレンド、PDOラチャ、ロゼ。3つのスタイル。

同じゼルシャヴィでも、使われ方で役割が変わります。イメレティでは9月末から10月上旬に収穫し、ロゼや軽い赤に向ける房は酸を残して早めに、ブレンドに使う房は主役の品種の収穫に合わせて摘みます。好みのスタイルを見つけてください。

イメレティでのゼルシャヴィの収穫。農家の戸口へ空の籠を積み上げて運ぶ人と、台に並べた紫がかった黒い房(イメージ)
ゼルシャヴィの熟す時期と育ち方
成熟期・収穫中晩生(イメレティでは芽吹きから約168日で熟す)
木の勢い強
収量多い(1 haあたり8〜10トン)

成熟期・樹勢・収量はジョージアのブドウ品種を記録した図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)によります。

1つの品種、3つの顔。

STYLE 01

ブレンドの構成品種

量と軽さを補う、伝統の使い方。

造り
発酵前にオツハヌリ・サペレなどと混ぜる
産地
イメレティ全域

家族経営の畑で育てられ、品種名を表示しないブレンドの赤に多く使われます。

STYLE 02

補助品種(PDOラチャ)

ラチャの辛口赤を支える補助品種。

造り
アレクサンドロウリ、ムジュレトゥリが主体

PDOラチャは2025年4月に登録された辛口赤の呼称で、ゼルシャヴィは補助品種として使えます。

STYLE 03

単一品種のロゼ・軽い赤

淡い色を生かした、軽やかなロゼ。

色
淡い
味わい
軽い

国立ワイン庁が「シンプルなロゼ」と記すスタイルです。分布はイメレティから、ラチャ、レチュフミに及びます。

05 — ブドウとしての性質

房、粒、葉の形。

濃い赤から黒に近い大きな丸い粒に厚い白い粉、幅広の円錐形の房。畑でゼルシャヴィを見分ける手がかりを、ジョージアのブドウ品種図鑑『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)の測定値で紹介します。

ゼルシャヴィの特徴の解説図。幅広の円錐形で枝分かれした房、濃赤〜黒で果粉により紫に見える果皮、丸くやや大きい果粒、淡色の果肉と無色の果汁、上側の切れ込みが深い葉(イメージ)
果皮色
濃い赤〜ほぼ黒
表面に白い粉(果粉)が厚くつく
果粒
円形
長さ16〜20 mm、幅15〜19 mm
房
幅広の円錐・密〜かなり密
長さ12〜20 cm、幅8〜16 cm(平均15×9 cm)
葉
3つに裂ける
楕円
もっと詳しく見る(皮の厚さ、果肉、葉の裏、熟す時期など)
ゼルシャヴィの形態
果皮薄い
果肉・果汁多汁、無色、甘い
房の重さ平均120〜200 g(カヘティ)、100〜225 g(イメレティ)
葉の切れ込み上側は深く主脈の半分に達することも。下側は浅い
葉の裏面裏面は白灰色で、厚いクモの巣状の毛。若葉の表面は黄緑

出典: 『ジョージア・アンペログラフィア』(1960年)。英訳を掲載するジョージア国立議会図書館のウェブ辞典(NPLG Wiki Dictionaries)で確認しています。同じデータは品種マスターリストでも確認できます。

06 — PDOと産地

ゼルシャヴィが加わる、1つのPDO。

PDO(原産地呼称)は、産地と造り方が法律で定められたワインの名前です。ラチャ地方の辛口赤「ラチャ」は、アレクサンドロウリとムジュレトゥリが主体。ゼルシャヴィは補助品種として使えます。

PDOの一覧を見る(1件)
ゼルシャヴィを使用品種に挙げるPDO
PDO区域タイプ使用品種
ラチャRachaラチャ(オニ、アンブロラウリ)辛口赤アレクサンドロウリ、ムジュレトゥリが主体。ゼルシャヴィは補助品種

07 — よくある質問

よくある質問。

ゼルシャヴィはどんな味? どんなワインに使われる? 気になる9つの疑問に、短く答えます。

ゼルシャヴィはどんなブドウですか?

ジョージア西部イメレティを主産地とする古い黒ブドウ品種です(VIVC 3785)。国立ワイン庁は、イメレティとラチャ・レチュフミの全域に見られる古い品種と記しています。

ゼルシャヴィのワインはどんな味ですか?

淡い色で軽く、赤系果実の穏やかな香りのワインになります。タンニンは軽く、ボディはライト。単一で仕込むと、淡いロゼや軽い赤になります。

ゼルシャヴィはどんなワインに使われますか?

伝統的には、発酵前にオツハヌリ・サペレやムガロブリシュヴィリなどと混ぜるブレンド用です。色と骨格は相手の品種が受け持ちます。PDOラチャの辛口赤でも、補助品種として使われます。

ゼルシャヴィに合う料理は?

軽い赤・ロゼとして、鶏や豚の料理、豆やクルミを使う西ジョージアの家庭料理、イメレティのチーズを使ったハチャプリなどと合わせます。

ゼルシャヴィを使うPDOは?

2025年4月に登録されたPDOラチャで、補助品種として認められています。ラチャは、アレクサンドロウリとムジュレトゥリが主体の辛口赤です。

ゼルシャヴィの栽培面積は?

国立ワイン庁の報告では、2004年に685 haで、すべて家族経営の畑でした。同庁は「比較的少ないが古い品種」と記しています。

ゼルシャヴィという名前の意味は?

後半の「シャヴィ」はジョージア語で「黒」。前半を「古い」と読めば「古い黒」、「木」と読めば「黒い木」という意味になります。

「ズヴェルシャヴィ」と同じですか?

はい、同じ品種の別の書き方です(ラテン文字では Dzvelshavi)。なお、ラチャで育つ同じ名前の品種は、別品種「ラチュリ・ゼルシャヴィ」(VIVC 3786)として紹介しています。

ゼルシャヴィのワインは、どこで買えますか?

ジョージアワインの専門店や輸入元の通販で入手できます。品種名を表示しないブレンドに使われることが多いので、イメレティの赤のブレンドや、PDO名「ラチャ」の辛口赤が出会う近道です。

出典と検証。

ゼルシャヴィは、国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC に3785番(イメレティ・オブチャ系)で登録され、11の別名が記録されています。ラチャ系の同名の品種は3786番として別に登録されており、本サイトでも分けて紹介しています。

詳細な参照情報は出典一覧および品種マスターリスト(CSV / JSON)で公開しています。

このページの検証状態

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執筆ジョージアワインストア データベース編集部
レビュー編集部(品種データ担当が相互確認)
初回公開2026年9月5日
最終確認2026年9月28日
根拠の強さB(公的資料。国際的なブドウ品種の登録簿 VIVC と国立ワイン庁の資料で確認)
主要出典VIVC、国立ワイン庁、PDOの規定(ラチャ)

根拠の強さ(A〜E)の定義は方法論、運営体制はこのサイトについてを参照。

資料は、こう書いている。

このページの根拠になった資料を、資料ごとに紹介します。

2024
国立ワイン庁

「比較的少ないが古い品種。イメレティとラチャ・レチュフミ全域に見られる」(表記 Dzvelshavi)

政府機関
2025
国立ワイン庁(PDOラチャ)

PDOラチャの補助品種として「ゼルシャヴィ」を許可

政府機関
2026
VIVC

登録番号 3785(DZVELSHAVI OBCHINSKII、黒、ジョージア)。同じ名前の別登録: ラチャ系 3786、サチヘレ系 3787、41873(詳細情報なし)

国際データベース